貫地谷しほりさんもいくつかの連ドラで刑事役を演じておられますが、自ら看板を背負われた刑事物はたぶん本作が初だし、とても私好みの内容なのでこれも載せときます。
テレビ朝日系列で2017年12月に放映された2時間スペシャルで、’19年に続編も放映されてます。原作は元マルボー担当刑事・二上剛さんによる同名小説。
春に放映予定だったのが渡瀬恒彦さんの急逝→追悼番組への差し替えにより放送延期となった作品で、同じ年に亡くなられた野際陽子さんが重要な役で出演されてたりもします。
そして主役の新米刑事=神木恭子を演じられたのが、貫地谷しほりさん。貫地谷さんが新米刑事役と聞くと明るくてドジなキャラクターを想像しがちだけど、今回は全く違います。
出世願望が無く、交番勤務のままでいたかったのに東京臨海署の刑事課に抜擢され、気が進まないまま捜査にあたる変わり種で、あまり感情を表に出さないクールな役どころ。
だけど優秀な刑事だった亡き父親の血を引いたのか潜在能力はピカイチで、警察幹部が絡むヤバい事件の真相にもグイグイ迫って行く。
そして父を悪事に利用し辞職に追いやった元幹部(津川雅彦)に復讐すべく、その息子であるエリート刑事部長(中村俊介)の弱味を握って脅迫し、最後には親子心中するまで追い詰めちゃう。
出世願望が無いだけに軋轢を恐れず、悪党が相手なら汚いこともサラリとやってのける、ダークヒーロー的な女刑事を貫地谷さんが見事に演じ切り、新たな魅力を開花させてます。驚いたし、とても格好良くてシビれました。クールな貫地谷さんは、なかなかセクシーでもあります。
そんな恭子の良き相棒となるのが、強行犯係の主任にして昭和気質の荒くれ刑事=折原圭作。いかにも昭和顔の岸谷五朗さんが、これまた魅力的に演じてくれてます。
ほか、幹部と内通しながらその情報を恭子に教える、敵なのか味方なのか判んないパイセン刑事に吹越 満、係長に西岡徳馬、鑑識課員に木下ほうか、事件の鍵を握る元ヤクザにでんでん、恭子の母親に丘みつ子と、脇に至るまで豪華キャストです。
単なる謎解きゲームで終わらず、新米の女刑事が才能を開花させる成長ストーリーにバディ物の面白さも加わり、なおかつ淡々と復讐を実行するダークヒロイン物という意表を突いた内容。とても一筋縄じゃいかず、見応えありました。
特に、貫地谷さんのクールな魅力を引き出した功績は称賛もので、さすがは百戦錬磨の和泉聖治監督、さすがは手堅いテレビ朝日の刑事ドラマと言えましょう。
連ドラ化されなかったのは残念だけど、「主人公が親の仇を討つ」以上に燃えるネタはそうそう無いですから、これは単発ドラマで正解でしょう。(’19年の続編はまだ観てません)
とにかくクールで情け容赦ないキャラを、貫地谷しほりさんが演じてる。何よりそこが見どころです。