ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ベイシティ刑事』1987~1988

2019-02-09 12:05:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
1987年の10月から翌年3月まで、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠で全24話が放映されました。

ほぼ同時に日本テレビ系列の水曜夜8時枠では『あきれた刑事』がスタート。このシーズンは同じ曜日の8時と9時に『あぶない刑事』の亜流番組をやってたワケです。

だけど、当時は軽いノリの刑事ドラマにちょっと辟易してたせいか、私はどちらも熱心に観る気にはなれませんでした。特に『あきれた刑事』の方は初回で見切りをつけちゃった。

そして一方の『ベイシティ刑事(コップ)』は、主役が藤 竜也&世良公則。『太陽にほえろ!』OBである世良さんが出てるというのに、こちらは最初からスルーしちゃってました。

まず、横浜を舞台にした刑事コンビのアクション物って事で、やっぱり『あぶデカ』の二番煎じっていう先入観があるし、神奈川県警・港町署のお荷物セクション「別動班」って設定は『大追跡』の「遊撃班」をも彷彿させ、ちょっと「バッタもん」的なイメージが強かったんですね。

その別動班のメンバーが、藤竜也&世良公則の主役コンビ以外に、いかりや長介と石川秀美の2人しかいないってのがまた、申し訳ないけどバッタもん臭さに拍車をかけてるように感じてましたm(_ _)m

当時のいかりやさんは『踊る大捜査線』にも黒澤映画にもまだ出演される前で、私は「ドリフの長さん」としての認識しか無かったし、’80年代アイドルにあまり思い入れが無い私にとって、石川秀美さんの起用も手放しでは歓迎しづらいキャスティングでした。

さらに、あの個性的すぎるオープニングですw 別動班の4人が、それぞれ色んなポーズを取った写真を切り貼りして動かす、NHKの『みんなのうた』とかでやってそうなコミカルなアニメーション。

数年前に多部未華子さんご出演のドラマ『東京バンドワゴン』でもOPタイトルに使われた手法で、ああいうホンワカしたホームドラマなら違和感ないけど、アクション物の刑事ドラマでそれをやるか?っていう話ですw

マジメぶらない、深刻ぶらない姿勢がカッコイイって事なんでしょうけど、いくらコメディータッチとは言え犯罪を描き、人が殺されたりする番組に、そういう茶化したような軽さを持ち込んで欲しくないんですよね。

そこには目をつぶっても、刑事ドラマのオープニングはあくまで格好良くあって欲しい! あんなガキっぽい演出だけはヤダ!って。そういう想いは今も変わらないですね。

というようなワケで、私は当初『ベイシティ刑事』を相手にしてませんでした。ところが、そんな私に「ベイシティ刑事をなぜ観ない!? すぐ観ろ今観ろ早く観ろ!」って、やたら勧めて来る男がいたんですよね。その男は、私が創ってた自主映画で銃器の特殊効果を担当したスタッフで、要するにガンマニアだったんです。

『あぶデカ』と同じくBIG SHOTさんが銃器効果を担当してた『ベイシティ刑事』は、従来の刑事ドラマでないがしろにされがちだった、GUNアクション描写におけるリアリティを格段に進歩させた番組だったんですね。

特に、世良さんがオートマチック拳銃を撃つ際に、スライドが後退して空薬莢が排除される「ブローバック」をしっかり見せたカメラワークとライティング。

更に、排除された空薬莢が地面に落ちる「チャリ~ン」っていう効果音まで入れたのは、恐らく日本のTVドラマでは『ベイシティ刑事』が最初だったと思います。

現在では当たり前になっちゃったけど、当時にしてこのリアルさは画期的でした。それまでの刑事ドラマは大抵、ブローバックなんかしない電気発火式のステージガンで、装弾数も気にせず無限に撃ち続けてましたからねw

これに先がけて『太陽にほえろ!』でもドック刑事=神田正輝さんがオート拳銃のリアルな描写にこだわりを見せてましたから、ボギー刑事として共演した際に世良さんも影響を受けられたのかも知れません。

あるいは、それ以前からガンマニアだったのに、興味が無いフリをされてたのかも?w ボギー刑事は射撃が苦手な設定で、銃は犯人を殴るハンマー代わりに使うようなキャラクターでしたから、射撃スタイルも無勝手流で自由奔放な感じでした。

ところが『ベイシティ刑事』における世良さんは「日本で最もオート拳銃の扱いが上手い俳優」みたいに言われるほど、ガンマニアも認めるリアルさで射撃シーンを演じておられました。

更に、藤さんが使う短銃身の44マグナムには「ジョン」、世良さんが使うコルト・ナショナルマッチには「マギー」と、それぞれ愛称がつけられてる偏愛ぶりで、そこがまたガンマニア達の共感を呼んでましたw

刑事がステンレス・シルバーの拳銃を常備した日本のドラマも、多分これが初めてだったんじゃないでしょうか? 『太陽』で神田さんが使ってたオート拳銃(S&W M59)は半分だけシルバーでしたけどw

……とまぁ、こんな知識を持ってる私自身も、お察しの通りガンマニアの端くれだったりするワケで、『ベイシティ刑事』に通底する無邪気な拳銃愛には、確かに惹かれるものがありました。

それだけじゃなくキャラクター達が、共感出来る魅力的な人物として描かれてる点が、ライバルの『あきれた刑事』とは大違いでしたw(あくまで私感です)

使われてる音楽も、英語は英語でも古き良き時代のアメリカン・ポップスなんですよね。その回の内容に合わせた選曲で、象徴的に使われてました。正直ミスマッチを感じる時もあったけど、決して若い世代に媚びない姿勢が素晴らしかったと思います。当時は私も若かったんだけどw

主役2人のファッションにしても『あぶデカ』や『あきれた~』みたいな高級ブランドのスーツじゃなくて、その辺で売ってそうなスタジャンにジーパンが基本ってのがまた、私にとっての共感ポイントでした。藤さんの「MA1裏返し」は巷でも真似する人が続出し、そういう気取らない着こなしこそが本当のオシャレなんじゃないかと、私などは思ったりします。

そんなこんなで、気がつけば私も『ベイシティ刑事』のファンになってました。『あぶデカ』の二番煎じには違いないけど、追求する格好良さの種類が違ってましたよね。そこが実に小気味良かったです。

いかりやの長さんはまぁ、癒し系のキャラでした。決して格好良くはないw けど、後の『踊る大捜査線』における長さんは、やたら「味のある芝居」を意識しすぎてるように見えて、私は素直に感情移入出来ませんでした。それを思えば『ベイシティ刑事』の長さんは、あざとい感じがしなくて良かったです。味なんて自然に出るものであって、狙って出すもんじゃないですから。

石川秀美さんの「翔んでる女」風のキャラは、ちょっと無理を感じました。あの当時、軽いノリの刑事ドラマにおける紅一点は、みんな判で押したように「翔んでる女」キャラだった気がするけど、それがちゃんと板についてたのは『あぶデカ』の浅野温子さんだけ、だったように思います。ただし、あれはやり過ぎでしたけどw

そんなワケで、少なくともGUNアクション物がお好きな方には、是非ともオススメしたい作品です。

『太陽にほえろ!』ファンの方にも、ブルース刑事こと又野誠治さんが2度に渡ってゲスト出演、ボギーとの対決を見せてくれる必見作があります。(脚本の大川俊道さんが後に監督される東映Vシネマ第1弾『クライムハンター』へと繋がって行きます)

他にも、藤さん繋がりで北方謙三さんが特別出演されたり、安岡力也、竹内 力、成田三樹夫、山田辰夫といったユニークなゲスト俳優さんが数多く出ておられます。

こういうドラマはもう、二度と作られないでしょうね。今にして思えば、とても幸せな時代でした。
 

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3 コメント

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Unknown (キアヌ)
2019-02-10 07:32:30
ちょっとめまいがしたのですが、当時の藤さんより年上になっているみたいてす私汗

当時、MA1裏返し、私もやりました!笑っ
めっちゃイジられました笑っ

フライトジャケットがすごく取り上げられますが、あれは藤さんが、 MA1裏返し 白Tシャツ(ノースリーブかも) 白パンツ というカラーバランスをちゃくようされたことておこって奇跡のスタイルです!

劇中でたまに藤さんかブルーデニムを着用されることがありましたが何か変でしたー

ちなみに私は当時、裏返しMA1は笑われるし、ベイシティー刑事を知らない人からは「ジャンパーそれ裏じゃないの?」と真顔で指摘されたりしてました笑

白デニムにいたっては私が着用すると、ただの不審者でした泣

藤さん偉大!
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Unknown (フルーツブラザース)
2019-02-10 12:40:12
この作品はGanアクションが素晴らしいかったです。後のクライムハンターに継承する形になったんですよね
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Unknown (harrison2018)
2019-02-10 13:43:30
我々がやれば変質者なのに、この人がやればオシャレと見なされる、みたいなこと、ままありますねw もしかすると藤さんは、笑かそうとして裏返しに着たりしてたのかも?w ファッショントレンドなんてそんなものかも知れません。
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