ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ベイシティ刑事』#05―1

2019-02-10 00:00:09 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第5話『美少女は俺がヤル!』

(1987.11.4.OA/脚本=宮下隼一/監督=村川 透)

先の記事にも書きましたが、本作のあまりにポップ過ぎるオープニングタイトルは好きじゃありませんw 視聴率が低迷した(最高で9.8%)原因の筆頭がこのオープニングじゃないかと私は思ってます。

って言うのも、ドラマの内容自体は決して悪くないからです。’80年代に大流行した軽いノリのアクションドラマで、現在でも鑑賞に耐えられるのは『あぶない刑事』と『ベイシティ刑事』だけ。

それ以外の作品はとにかくギャグが寒くてアクション描写も稚拙で、要するにガキ臭い。そんな中で『ベイシティ刑事』はイイ線いってたのに、あのオープニングを見ると「これもまたガキっぽいなぁ」って誤解されちゃうワケです。

それはさておき、横浜・港町署捜査課「別動班」の名コンビ=小池警部補(藤 竜也)&星野巡査長(世良公則)は今回、優等生の女子高生=鷲尾 茜(石野陽子)のボディーガードという任務に就きます。

星野「よく見るとなかなかイイ線いってんですよねぇ、あのコは。こういう仕事ならね、鉛弾飛ばなくたってオレ張り切るなぁ……」

小池「残念ながらそれも今日でお終いだ。明日になりゃ俺達あのコの目の前から消えて、ハマから暴力団が1つ消えると。それだけの話だ」

茜は暴力団「竜神会」のナンバー2であるヤクザ・鷲尾の一人娘であり、彼女を危険に晒さないって条件で鷲尾は司法取引に応じ、法廷で竜神会を壊滅に追い込みかねない重大な証言をする約束をしたのでした。

星野「ありゃトンビがタカって言うより、人喰い虎がシャム猫産んだって感じだよなぁ……ま、ドラやミケじゃ相手になんない」

小池「ほら、ヨダレだヨダレ」

こういったノリの会話を、ガキっぽい役者が演じると非常に寒い仕上がりになっちゃうワケです。『あぶない刑事』のコンビ(館ひろし&柴田恭兵)と『ベイシティ刑事』のコンビに共通するのは、悪ガキを卒業したオトナの魅力。このテの作品はやっぱ、主役のキャスティングでおおよそ決まっちゃいます。

さて、下校する茜を尾行中の2人が、そんな軽口を叩いてると、いきなり四輪駆動車が走り込んで来て急停車、乗ってた若造3人組が茜を拉致するやマシンガンを乱射します。

『ベイシティ刑事』が画期的だったのは、こういった場面でちゃんとブローバックや排莢、着弾をリアルに見せ、ご丁寧にも空薬莢が地面に転がる音まで入れる、そのマニアックさです。

現在じゃそういう描写も普通になってますが、『ベイシティ刑事』以前の作品ではほとんど見られませんでした。撮影現場の人達に銃器の知識が無かったのか、あってもそんな仕掛けに時間を掛ける余裕が無かったのでしょう。

『ベイシティ刑事』の製作現場にも決して余裕は無かった筈だけど、それでも「俺達はそこんとこ、ちゃんとやろうぜ」っていう心意気で乗り切ったんだろうと思います。

銃器に興味が無い人は、そんな細かいこだわりに何の意味があるの?って思われるかも知れません。単なるマニアの自己満足じゃないの?って。

決してそんな事は無いんです。マニアックな描写すなわち、リアリティなんですよね。黒澤明監督が日本映画で初めて、斬り合いのシーンにズバッとかグサッていう効果音を入れ、血飛沫を映像化して見せたのと全く同じ事です。

銃器の知識がある者からすれば、ブローバックしないオートマチック拳銃だとか、着弾を見せない銃撃戦なんてのは、いくら斬っても音や血が出ないチャンバラと同じで、ごっこ遊びにしか見えないワケです。

刀や銃の恐ろしさがリアルに描かれる事で、アクションシーンの迫力やスリルが倍増する。S.スピルバーグ監督やJ.キャメロン監督のアクション映画が面白いのは、そういった部分に殊更チカラを入れておられるから。そのお手本が黒澤監督なんですね。

さて、小池&星野コンビは各々の愛銃=「ジョン」ことS&W・M629センチネルアームズ、「マギー」ことコルト・ナショナルマッチ・コンバットカスタムで応戦、カーチェイスしながらの銃撃戦となりました。ちなみに覆面パトカーの装着式パトライトは(進行方向に向けず)横向けに着けるのがベイシティ刑事の流儀です。

「くそっ、あの野郎、俺のシャム猫どうするつもりだ!」

「気合いが入ってるね、ドラ猫くん」

「フニャアー!」

……まぁ、そういう時代だったワケですw

残念ながら、犯人の車は四輪駆動の特性を活かして石段を駆け上がり、まんまと逃走しちゃいます。

茜が拉致された事を知った父=鷲尾は、当然ながら法廷での証言を拒否。公判までの残り20時間で、何としても茜を奪還し、鷲尾に証言してもらわなきゃいけません。

茜を拉致した三人組には前科があった為、暴走族スケルトンズの元メンバー達である事がすぐに判明。星野刑事は元暴走族の総長であるからして、その繋がりからスケルトンズのアジトも意外に早く割り出されます。

星野の報告を受け、一足早くアジトに踏み込んだ小池刑事ですが、茜を人質にされて手が出せず、あえなく自らの手錠で拘束される羽目になります。

星野が駆けつけた時には、既にアジトはもぬけの殻。小池の警察手帳と血痕を見つけた星野は、不安そうに呟きます。

「何があったんだ、コウさん……」

スケルトンズによるリンチを受けた小池は気を失い、何処かの地下室に監禁されてました。

「おい、あのコは? 鷲尾茜はどこだ!?」

目を覚ました小池が叫びますが、スケルトンズの若造どもは可笑しくてたまんないって風情で、ケラケラ笑うばかり。

「おい、聞いてんのかっ!?」

連中は何がそんなに可笑しいのか? その答えは、高校の制服から私服に着替えた美少女によって明かされます。

「ヤッホー♪ 鷲尾茜です」

茜の服装は当時のヤンキー・ルック。そう、彼女はスケルトンズのリーダー格=長瀬の恋人であり、拉致事件は狂言だった。茜はわざと優等生を演じてたワケです。当時の刑事ドラマって、このパターンがホント多かったw

「は~、この1週間ほんっとに肩凝っちゃったわよ~」

茜を演じる石野陽子(現・いしのようこ)さんはご存知の通り、我らが青春のオナペット=石野真子さんの妹です。

アイドル時代の真子さんには今でも萌える私ですが、なぜか妹の陽子さんには全く惹かれませんでした。その理由はもしかすると、何となくヤンキーの匂いを感じたからかも知れません。(茶髪は天然らしいけど)

それだけに陽子さん、この茜役はとてもハマってます。

「……ふふっ、オジサン見事に騙されたよ。しかし優等生がなんでこんなクズどもと付き合ってるんだ?」

なんだコノヤロー!?って息巻く単純なクズどもを制して、茜は言います。

「オジサン、古いわよ。仲間割れ狙ってんでしょ? でも残念でした。私達そんなアーパーじゃないの」

アーパーって、そんなコトバ流行ってましたっけ?w いつの時代も、若者コトバってのはその時にしか通じないもんです。

それにしても茜さん、さすがはヤクザの一人娘。肝が据わってます。この狂言誘拐もどうやら、茜自らによる発案だった模様です。

だけど百戦錬磨の小池から見れば、まだまだ青いガキンチョに過ぎません。夜になり、ガキどもが眠ってる間に針金で手錠を外し、アッサリ形勢を逆転させる小池。

茜は地下室から逃げ出しますが、今度は外で待ち構えてた竜神会が彼女を狙います。小池は嫌がる茜を連れ、すぐ近くの海へとダイブします。どうやら其処は港のようです。

何とか竜神会の追撃をかわしたものの、小池は海中で何より大事なモノを無くしてしまいます。

「あれっ、拳銃がねえ。拳銃落としちゃった」

この緊迫感の無さもオトナの余裕でしょうか?w 藤竜也さんって、ちょっと抜けたような芝居もまた巧いんですよね。

一方、竜神会は地下室に入り、スケルトンズのガキどもをリンチします。

「もう少し使えると思ったぜ、お前ら」

「待って下さい、会長。もう一度だけチャンス下さい! お願いしますっ!!」

リーダー格=茜の恋人である長瀬も、土下座して竜神会に許しを乞います。狂言誘拐は茜の発案だった筈なのに、なぜ竜神会がスケルトンズを操ってるのか?

この事件、どうやらまだ何か裏がありそうです。

(つづく)
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ベイシティ刑事』1987~1988 | トップ | 『ベイシティ刑事』#05―2 »

コメントを投稿