ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『イナズマンF』#17

2023-01-13 00:17:21 | 特撮ヒーロー

『イナズマン』は『仮面ライダー』『キカイダー』等と同じ石森章太郎 原作による特撮ヒーロー物だけど、ブームが下火になりつつあった時期の番組で視聴率には恵まれず、この『イナズマンF(フラッシュ)』は続編というより「テコ入れ」によるタイトル変更だったみたいです。

だけど前作でレギュラーだったガキンチョどもやヒロインが排除され、イナズマンに変身する主人公=渡五郎(伴 直弥)の味方がインターポール捜査官=荒井誠(上野山功一)の1人しかいないハードな世界観が、かえって大人の鑑賞に耐える作品を数々生み出し、後にカルト的な人気を得ることになりました。

確かに、私が東映チャンネルに契約してから観た数本は「子供だまし」と決して言えない面白さがあり、まるでATG映画みたいに渋い回もあったりして、認識を改めました。

正義側のレギュラーがおっさん2人しかいないお陰で、メインゲストに若い女優さんが起用されがちなのも功を奏してます。

この第17話『青い瞳のインベーダー』は特に私好みで、ちょっとウルッと来ちゃいました。本放映は1974年8月13日、山田哲久&楢岡八郎 両氏の共同脚本による作品です。



海辺に打ち上げられたゴムボートにひとりの美少女(郷田ジュン)。このシチュエーションだけで私は「うひょ〜!」ってなっちゃいますw

で、それを見つけた地元の荒くれ男どもが寄って来る。ま、まさかっ!?



「おいっ、やっちまおうぜ!」

期待通りに、いや心配した通りに、少女が襲われます。こいつら、悪の組織「デスパー」の回し者かと思いきや、ガチで女に飢えた普通のオッサンどもだったりする。こども番組やでっ!?



しかしまぁセオリー通り、そこに我らが渡五郎&荒井誠が通りかかり、野郎どもを蹴散らして我々をガッカリ、いや安心させてくれます。

2人がここへやって来たのは「未確認飛行物体」の目撃情報をキャッチしたから。当時、UFOと超能力が空前の大ブームで、あらゆる作品に影響を与えてました。



2人に気を許した少女は、イグアスという星からUFOに乗ってやって来たんだと打ち明けます。名前はクリスティーヌ。

数ヶ月前に友好使節として地球に送られた「ジェット」という男が消息を絶ち、行方を探しに来たと言う彼女はそいつの婚約者であり、イグアス星の大統領令嬢でもある。



「イナズマン!」

いきなりクリスティーヌに名前を呼ばれ、五郎は驚きます。もちろん、彼女は五郎=イナズマンであることを知りません。

「どうしてその名前を?」

「もし危ない目に遭遇したら、イナズマンと叫びなさいと、父が……必ず助けに来てくれると」

どうやらイナズマンの活躍はよその星でも評判らしく、五郎は今すぐ正体を明かしたい気持ちをぐっと堪え、荒井と2人でジェット探しを手伝うのでした。

ここで、思いがけずクリスティーヌ=郷田ジュンさんがパンティーをサービスしてくれます。



これはどう見ても想定外のパンチラで、現在なら女優さんの所属事務所が許さない事でしょう。当時はフィルム撮影ゆえ現場でチェックすることが出来ず、オンエアを観るまでご本人も気づいてなかったかも知れません。ありがとう!



さて、何だかんだあってクリスティーヌはジェットと再会するんだけど、この男、実はとんでもないクズだった!



地球に着くなり悪の組織「デスパー」入りを志願したジェットは、サイボーグ手術を受けて怪人「ジェットデスパー」に生まれ変わったのでした。

「どういう事なの、ジェット!?」

「オレは元々、お前の事など何とも思っていなかった」

以前からデスパーに憧れてたジェットは、大統領に取り入れば地球に友好使節として送ってもらえると考え、令嬢であるクリスティーヌに近づいた。

「あんな平和で退屈な星がイヤでイヤでたまらなかったんだ!」

どっかの国の志願兵とかテロリストを彷彿させる話です。



しかしこれじゃ、遠い星からはるばる地球までやって来たクリスティーヌがあまりに不憫。なのに昭和のクリエイターたちは容赦しません。



監獄に放り込まれた挙げ句、ヒゲのおっさんと並んで磔にされ、今まさに処刑されようとするクリスティーヌは、無意識にこう叫ぶのでした。

「……イナズマン……イナズマン!」



実にあざといタイミングでヒーロー登場!



「あなたがイナズマン?」

そりゃもう、現れたのが例え温水洋一さんでも惚れないワケに行かんでしょう。



必殺の錐揉みキックでジェットデスパー爆死! だけど昭和のクリエイターは甘くない。戦闘中に流れ弾を受け、クリスティーヌが倒れちゃうワケです。



「イナズマン……私、あなたを信じて地球にやって来ました」

「だが、私はジェットを死なせてしまった……」

「いいえ、あなたの責任ではありません。あなたは、私たちの為に全力を尽くしてくれました」

「…………」

「私は、イグアスへ……父の元へ帰ります。イナズマンも一緒に来て下さい。そして、私の星で一緒に暮らして下さい」

「…………」

「お願い、イナズマン。私と一緒に、イグアスの星に来て下さい」



「……分かった。一緒に行こう」



「私……地球に来て、本当に良かった……」

「クリスティーヌ!」



あまりに可哀想なクリスティーヌ。だけど、かりそめにせよ憧れの人と約束を交わせて、最期は幸せだったかも知れません。

「クリスティーヌは本当に、宇宙からやって来たんだろうか?」

「……誰にも分からないまま、デスパーの犠牲になってしまった……」



当時は特撮にせよアニメにせよ、登場人物をポンポン殺しすぎるきらいがあるんだけど、そうしないと味わえない感動も確かにあるんですよね。

俳優さんの演技がリアル過ぎないのがまた良いんです。クリスティーヌ役の郷田ジュンさんは台詞回しがけっこう棒読みなんだけど、その方が異星人っぽいし、最期のシーンもよりファンタジックに感じられる。だからこそ泣けたりするんです。

『イナズマンF』、昭和の特撮ヒーロー、決してあなどれません。
 


コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『キカイダー01』#21 | トップ | 『大病院占拠』2023 »

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Kawakami(偽者))
2023-01-14 06:01:00
視聴率悪かったんですか

ラインジンゴーの破天荒なデザイン(笑)
イナズマンのダイナミックなデザイン
大好きな番組でした
カルト的な人気のある作品で
90年頃仙台のTAC(タック)というショップが
オリジナルのビデオ(実写)を出してました
ところで、渡五郎って鹿児島生まれですかね
”チェスト”って薩摩示現流じゃないでしたっけ
返信する
Unknown (harrison2018)
2023-01-14 09:18:43
視聴率は奮わなかったもののライジンゴーのポピニカ(ミニカー)はよく売れたそうで、私も持ってた記憶があります。破天荒ですよねw

渡五郎が鹿児島出身がどうか判りませんが、幕末ブームとかの影響があったのかも知れません。デスパーの名は間違いなく超能力ブーム=エスパーのもじりかと思います。
返信する
Unknown (ナガシマ)
2023-01-17 16:25:20
ライジンゴーのポピニカ、持っていました。幼稚園の頃で、母親がハーモニカのケースにライジンゴーを刺繍してくれました。内容はほとんど覚えてません。ロボット刑事も同時期だったと思います。

サナギマンにならないとイナズマンに変身出来ない、サナギマンでは力が発揮出来ない…だった気がします。(山中にいる)大きな蛾がデザインの元なんでしょうね。
返信する
Unknown (harrison2018)
2023-01-17 17:03:19
実際のモチーフは蝶だったらしいですが、イメージ的には蛾ですよね。

サナギマンは弱いしスタイリッシュじゃないしで人気が無く、『F』ではかなり出番が削られてます。わざわざ二段階で変身するのは斬新だけど効率悪すぎますもんねw
返信する
Unknown (Bill McCreary)
2023-10-28 17:47:57
このシーンはさすがにすごいですね。ミニスカートがはやった時代性、フィルム撮影のために確認ができなかったこと、あとはテレビ局の考査におけるコンプライアンスが現代ほど厳しくなかったことなどの集積でしょうが、児童向け番組としては凄すぎです。この時代は、けっこう「え!」と思っちゃうのがありますね。

ところで郷田ジュンさんですが、この作品以外活動が確認できませんね。別名での活動はありえます。

http://www.tvdrama-db.com/simple_result.htm?key=%E9%83%B7%E7%94%B0%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%B3&x=56&y=3

もしかしたらこのシーンにショックを感じて芸能界を去ったかもとか思わないでもありません。実際いまでもこのシーン、ネットでも「すごいパンチラシーン」として知られていますものね。

それにしても昔ながらのこういうフィルムのドラマっていいですね。大映ドラマも、VTR撮影オンリーになってつまらなくなったのではないか。「赤いシリーズ」は、やはりビデオでは面白くない。「太陽にほえろ」などもご同様。やはり80年代までがいい時代だったのかもしれませんね。東映化学の現像による白っぽい画面も、華やかさはありませんが、雰囲気はあります。
返信する
Unknown (harrison2018)
2023-10-29 08:24:12
パンチラを撮影現場でチェック出来ない利点は置いといても、フィルム撮影による映像には視聴者を別世界に浸らしてくれる(現実を忘れさせてくれる)効果があると思います。

だから特撮ヒーロー物や大映ドラマみたいにファンタジックな内容にビデオ撮影の映像は釣り合わない。テレビからフィルム制作が消滅したのは本当に残念なことです。
返信する
Unknown (Bill McCreary)
2023-10-30 23:47:42
レスありがとうございます。貴ブログのように70年代~80年代のドラマを取り上げておられるサイトさんにはよくコメントさせていただいておりまして、「フィルム時代の方が雰囲気がよくてよかった」という趣旨のことをコメントしますと、やはりだいたい同感だといっていただいております。

韓国のドラマも100パービデオ撮影ですが、せめて米英仏のドラマのような雰囲気のあるものが、日本のドラマでもまたあればうれしいんですけどねえ。

貴ブログは、刑事ものとあと美女専科だと思っていましたが、これからもちょいちょい遊びに来ると思いますのでよろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿