








『ドーベルマン刑事』と同じ1977年に公開された、野田幸男 監督、東映&嘉倫電影の製作による日本&香港 合作映画。言うまでもなく、さいとう・たかを氏の超有名劇画『ゴルゴ13』の映画化、高倉健 主演作に続く第2弾、千葉真一バージョンです。
『ドーベルマン刑事』とは対照的に極限まで劇画のゴルゴ13=デューク東郷に近づけた千葉真一さんのビジュアルに、まずは笑うしかありませんw 世を忍ぶ暗殺者としてはあまりに濃すぎて、こんな人間が町を歩いてたら目立ってしゃあないやろ!って思いますからw
ゆえにパロディやコントの感覚で最初は観ちゃうんだけど、そこはさすがのソニー千葉。超ストイックな役作りと生まれ持ったカリスマ性で、じわじわと我々を惹きこんでいくんですよね。
そして前半の見せ場。ゴルゴが10人近いチンピラ集団をあっという間に皆殺しにしちゃう場面は、近年流行りの元特殊工作員アクション(『96時間』『イコライザー』等)にも全く引けをとらないシャープさと残忍さで、一瞬にして我々から笑顔を奪ってくれます。
このド迫力はやっぱり、本当にそういう訓練を積んだ人でなければ表現出来ません。つまりパロディやコントじゃない、ホンマもんだけが成せる技。ブルース・リーやジャッキー・チェンらが魅了された所以です。
アクションだけでなく、ただ突っ立って葉巻を吸ってるだけのシーンでも、その全身から醸し出すオーラ(つまりは殺気)でスナイパーの内面を表現されてる。だから目立って仕方ないワケですw
リアルさにこだわれば、逆に殺気をいっさい消してしまうのがホンモノの暗殺者なんでしょうけど、これは劇画の世界なんだし、それより何より「千葉真一の映画」なんです。映画館に足を運んだ人は皆、全身からオーラを振り撒くソニー千葉こそを見たかったに違いありません。
ブルース・リーの殺気とジャッキー・チェンのユーモアを併せ持った千葉さんこそ、世界最強のアクションスターじゃないかと、私は今頃になって気づいちゃいました。
そんな千葉さん演じるゴルゴ13が、香港を舞台に大活躍するこの映画。志穂美悦子さん、新藤恵美さん、鶴田浩二さんも登場しますが顔出し程度で、ほとんどが外国人キャストで固められてます。
志穂美さんは香港警察の潜入捜査官役でアクションシーンもあるんだけど、暗闇のなかのロングショットなもんでご本人かどうか判別できません。が、敵に捕まって拷問を受けるシーンは明らかにご本人で、着衣のままなのが死ぬほど残念だけど、ちょっとだけドキドキしますw
もちろんゴルゴですから超絶テクで女性をイカせるシーンもあるし、断崖絶壁で宙吊り状態からヘリコプター内の標的を1発で仕留めるなどムチャな見せ場も満載で、これまた原作のイメージに縛られさえしなければ、存分に楽しめるプログラムピクチャーだと私は思います。
この時代にはCGが存在しないことを思えば、昨今のハリウッド映画に引けを取らないどころか凌駕してます。あらためて、昭和のアクションスターたちは凄いです。