医療制度改革批判と社会保障と憲法

9条のみならず、25条も危機的な状況にあります。その現状批判を、硬い文章ですが、発信します。

マスメディアの限界 <追記あり>

2005年12月18日 | マスメディア

 文芸春秋の17年12月号に、関岡英之さんの「奪われる日本―郵政の次は医療・医療保険」というレポートが掲載されました。
  16年4月に刊行された文春新書「拒否できない日本」で、アメリカ政府の年次改革要望書に関わる問題について、詳細に解明されていました。かなりの注目を集めた「新書」であったにもかかわらず、マスメディアはほとんど取り上げることはなく、むしろ、書店でも購入しにくい状況があったようです。 
  また、その「年次改革要望書」について、マスメディアが報道しないことを、そして、国会でも小泉・竹中が『思い過ごし』・『見たこともない』という答弁をしたことを、森田実さんも「コメント」http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/で、いろいろ問題指摘されていました。 
  例の「刺客」を送り込まれて落選した、前衆議院議員の小林興起さんも自分のホームページhttp://www.kobachan.jp/で、関岡さんを招いての勉強会の報告として、郵政民営化だけではなく、年次改革要望書のことについて発信していました。 
  文春12月号も、総選挙が済んだから、載せることができたのでしょうが、関係筋では大きな話題となっています。「知る人ぞ知る」事項であっても、大手出版社の月刊誌に掲載されたことによって、世間の注目を集めました。なぜ、選挙前に教えてくれなかったのかという一般の疑問も出されています。 

  12月17日の朝日新聞のbe on Saturdayに、こんな記事が掲載されました。コラムの前半部分は省略して、後半部分について紹介します。

  【経済】 郵貯は政投銀をのむ 山田 厚史(編集委員)
 
 郵政公社の金融部門は350兆円を抱えるが融資の専門家はいない。明治以来零細預金を集める機関で、運用の差配は財務省がしてきた。その多くが政府系金融の財源になった。  
  政策投資銀行の融資残高は約14兆円。毎年の新規貸し付けは約1兆円あるが、自前で集める資金は2000億円程度。足らない分を政府保証や財務省からの借金で賄う。民営化されれば、債券で資金を集め、大企業へ長期のカネを貸すことになるが、これは破綻(はたん)した長銀や日債銀と同じビジネスモデルだ。低利のカネを自ら預金で集めるメガバンクに比べ不利は否めない。  
  「集めても貸す能力がない」と「貸す能力だけはあって集められない」が同じ地平に存在すれば、どういうことが起きるかは想像できるだろう。  
  両者の民営化は相前後して決まった。郵政会社は07年4月に政府が株式の100%を保有する株式会社として発足し、10年間かけて完全民営化する。政投銀は08年4月に民営化が始まる。先行する郵貯銀行が後から来る政投銀の株を買うことは可能である。  
  同様のことが、やはり民営化が決まった商工中金にも言える。政投銀は大企業融資が中心、商工中金は地域金融に強い。二つの融資機能を郵貯が取り込めば超メガバンクが誕生する。  
  経済財政諮問会議を舞台に、政府系金融の統廃合を強引に進めたのは竹中平蔵氏。内閣改造人事では総務相に回り、郵政改革の仕上げに入る。民営化で放り投げた政府金融を総務相としてキャッチする? 竹中氏が郵政会社社長に指名した三井住友銀行元頭取の西川善文氏は、メガバンク合併を手がけた策士である。  
  公式には誰も語らない「明白な筋書き」が紙幣の透かしのように浮かんで見える。  

  「公式には誰も語らない」などと言っていないで、「明白な筋書き」を、ジーャナリストであるなら、発信しなければならないのでは。
  公式には誰も語らないということは、「非公式には語られている」ということ、知っている人には「明白な筋書き」として、透けて見えるだけでは、そんなことでは良くないのでは。 
  そうした課題・問題を、大衆的に暴露して行くことが、ジーャナリストの使命なのではないかと、疑問に思ってしまいます。 
  事が済んでしまったあとで、この程度のコラムを書くのが精一杯で、それが、現在のマスメディアの限界なのでしょう。 
  年次改革要望書について発言し、郵政民営化に反対していた小林興起さんは、刺客を差し向けられ落選させられる。これが、面白おかしく報道された『刺客騒動』の背景であり、森田実さんがテレビなどから、締め出されていた理由なのではないでしょうか。 
                                                      2005.12.18 harayosi-2

 <追記>

山田厚史さんが訴訟攻撃を受けています (harayosi-2)
2007-12-23 11:26:24
山田厚史さんのコラム記事について、<事が済んでしまったあとで、この程度のコラムを書くのが精一杯で、それが、現在のマスメディアの限界なのでしょう>と、不満を表明しましたが、この程度に抑えた(内容・時期など)発言をしていても、権力側にとっては許しがたいということなのでしょう。
 権力側の手先によって、その言論について提訴されています。山田厚史さんを含め、訴訟攻撃を受けている3人を囲む集会があったはずです。
提訴されている内容などは、ここを参照してください。
http://www.team-aaa.jp/


2 コメント

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国保の制度自体が再検討されているところですが (takeyan)
2006-01-06 23:48:43
時期も時期。裏でもあるのかと思わざるを得ないですね。

森田実さんが画面から消えたのは本当に見事なほどで、干されているという印象を普通は受けると思います。

TBさせていただきます。
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Unknown (n)
2007-12-23 08:15:39
アリコ、アフラック、AIGのテレビ広告に汚染されているから報道しなかったんでしょう。アヒルがガーガー(=第3保険よこせ!)言っているものね。
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