井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

果実でも日本で最大級のホオノキ

2010年11月18日 | 日記
ホオノキは、花も直径が15cmを超えるものがあり日本で最大級ですが、果実も最大級で長さで15cmを超えるものがあります。



ホオノキの果実です。モクレン科モクレン属。
多くの袋果が集まる集合果です。菱形の中央に横線が見えていて、そこで口を開いて赤い種子が出てきます。
果皮は硬く、後に松かさ状になりますが、果柄の方にはいろんな痕跡が見られます。
集合果そのものは雌しべの変化したものですが、直ぐその下に雄しべの痕跡、更にその下には花弁の跡・萼片の跡が見られ、少し離れて苞葉跡があります。



ホオノキ、果実から出てきた種子です。
松かさ状になった各袋果には、通常2個の種子が入っていますが、1個のこともあります。
木質化した果皮と種子とは、糸状のものでつながっていてぶら下がります。この糸状のものは胚珠とつながっていた珠柄の導管が変化したものだといいます。
種子が袋果から転げ落ちず、果実からぶら下がるのは、そうすることで鳥が見つけやすくするためと考えられています。



ホオノキの赤い種子とその中の黒い真の種子です。
ホオノキの種子の赤い部分は外果皮で、黒い部分が真の種子です。中間部は白い脂肪層で、この部分が鳥に散布の見返りとして提供する代償(ご馳走)です。
赤い外果皮のままでは発芽せず、鳥の胃腸を通過して外果皮が取り除かれて初めて発芽できるようになります。
人間がホオノキの種子を蒔くときには、外種皮を機械的に取り除いてやる必要があります。
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