『つまらない住宅地のすべての家』 津村記久子 双葉社
とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。
十軒のの家族の隠れた事情に目が離せない。そして、点と点がつながって線になっていく話の作り方はお見事!最後もあたたかい。
住宅地図と家族構成が扉に載っているが、名前も書いておいてくれると、混乱せずに読めたのだが。
『いわずにおれない』 まど・みちお 集英社be文庫
童謡『ぞうさん』を書いた詩人 まど・みちお。96歳の時のインタビュー、話に出てくる詩、まど・みちおが描いた絵などが本に収められている。一世紀近くを生きてきた詩人から、こんこんと湧き出る詩。そのほとんどは、ひらがなで書かれた短いものだが、驚くほどの生命力にあふれ、読む人の渇きを潤してくれる。
詩心がこぼれだしている。人と違う視点を持ち、愛、優しさやユーモアにあふれている。まどさんの謙虚で穏やかな人柄がにじみでている。
「私たちは、人と自分を比べ、人のマネをして、かけがえのない自分を自分で損なっている」
「私たち人間は、自分が食いしんぼうなのは心得ていても となりの人やほかの生きものもそうだっちゅうことは忘れてしまう。それを覚えておったら この世の中はずいぶんとよくなると思うんだけど・・・」
「この世の中のありとあらゆるものは、すべて自分としての形や性質をもっていて、それぞれに尊い。そこにあるだけ、いるだけで祝福されるべきものであり、みんながみんな心ゆくままに存在していいはずなんですよ」
命の賛歌ともいえる、まどさんの言葉は、詩でなくても美しい。
とある町の、路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。
十軒のの家族の隠れた事情に目が離せない。そして、点と点がつながって線になっていく話の作り方はお見事!最後もあたたかい。
住宅地図と家族構成が扉に載っているが、名前も書いておいてくれると、混乱せずに読めたのだが。
『いわずにおれない』 まど・みちお 集英社be文庫
童謡『ぞうさん』を書いた詩人 まど・みちお。96歳の時のインタビュー、話に出てくる詩、まど・みちおが描いた絵などが本に収められている。一世紀近くを生きてきた詩人から、こんこんと湧き出る詩。そのほとんどは、ひらがなで書かれた短いものだが、驚くほどの生命力にあふれ、読む人の渇きを潤してくれる。
詩心がこぼれだしている。人と違う視点を持ち、愛、優しさやユーモアにあふれている。まどさんの謙虚で穏やかな人柄がにじみでている。
「私たちは、人と自分を比べ、人のマネをして、かけがえのない自分を自分で損なっている」
「私たち人間は、自分が食いしんぼうなのは心得ていても となりの人やほかの生きものもそうだっちゅうことは忘れてしまう。それを覚えておったら この世の中はずいぶんとよくなると思うんだけど・・・」
「この世の中のありとあらゆるものは、すべて自分としての形や性質をもっていて、それぞれに尊い。そこにあるだけ、いるだけで祝福されるべきものであり、みんながみんな心ゆくままに存在していいはずなんですよ」
命の賛歌ともいえる、まどさんの言葉は、詩でなくても美しい。