ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『わたしに無害なひと』『がまくんとかえるくんができるまで アーノルド・ローベルの全仕事』

2021-05-18 14:01:30 | 
『わたしに無害なひと』 チェ・ウニョン 古川綾子訳
 誰も傷つけたりしないと信じていた。苦痛を与える人になりたくなかった。……だけど、あの頃の私は、まだ何も分かっていなかった。あのとき言葉にできなかった想いがさまざまにあふれ出る。もし時間を戻せるなら、あの瞬間に……。七つの短編。
 ナイーブな主人公たち。帯にもある、あとがきの「軽るんじられ、大人の都合で利用される幼い体と心について。私はこの物語を書きながら長いこと考えた」が表していると思う。当然のように長男は下の兄弟や姉妹を殴る、搾取する。先生も暴力をふるう。私は、韓国ドラマは見ないが、こんなことが日常にある世界なのだろうか。1984年の作者が見たり、経験したことなのだろうか。自分を軽んじてきた人たちが自分を取り戻し前へ進めたらいいなと思う。

『がまくんとかえるくんができるまで アーノルド・ローベルの全仕事』 永岡綾・大久保美夏編 ブルーシープ
 「がまくんとかえるくん」を生んだアメリカの絵本作家アーノルド・ローベル。ローベルのこと、ローベルの残した絵と物語を原画やスケッチを中心に紹介する。
 子供たちの語るローベルがすごく素敵なお父さん。インタビューから父親への愛があふれている。
 たくさんの原画から、ローベルがレイアウトにもこだわり、音読をして文章を練ったことがわかる。
 『がまくんとかえるくん』シリーズは、「かえるくんが支配し、がまくんが支配されるという関係」に危機感を覚えたローベルが4作で幕を下ろしたという。そうなの?!『がまくんとかえるくん』を読み返したくなった。
 子どもたちへのインタビューにあった、アポロ11号の月面着陸をを見るためにカラーテレビに買い替えた話。うちも一緒だったから、おかしかった。父が「月は何色か見たくないか⁉」と言って買ったのに、白黒の映像に「え???」と思った記憶がある。ローベルは、私の両親の世代、お子さんは私と同世代なんだなあ。

コメント
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