ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『最後の言葉の村へ』『文藝春秋2020年9月号』

2020-08-30 23:08:00 | 
『最後の言葉の村へ 消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』 ドン・クリック 上京恵訳 原書房
 言語が消えるとき、何が消えるのか?グローバリズムに呑み込まれゆくパプアニューギニアの村ガプンの人々と寝食を共にし、消滅危機言語を30年間にわたって調査してきた言語人類学者によるルポルタージュ。
 お下品な言葉使い、子供への接し方、若者のラブレター等、民俗学的にもおもしろいと思う。若者が消えゆく言葉をしゃべると長老たちに違うと馬鹿にされるので、しゃべらないという理由には驚いた。また、熱帯雨林の奥の村に日本軍が来たという話にはビックリ。強盗に襲われ、村人が殺されたことも。そして、だまされるばかりの村人に胸が痛んだ。

『文藝春秋2020年9月号』
 芥川賞受賞作を読む。今期の芥川賞は、読みやすくておもしろかった。
『破局』 遠野遥
 私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。
 突き放したような文体と虚無感がなんともいえない雰囲気をもっている。出てくる人たちが少しずつずれているのが怖い感じ。でも、世間の人って何かが少しずつずれているものかも。
『首里の馬』 高山羽根子
 沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。
 オペレーターの相手に驚く。孤独を意識させられるが、人はつながっていたい生き物なのだと再確認させられた。
コメント
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