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その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

メタエンジニアの眼シリーズ(184)「メタ認知」

2021年01月09日 13時03分19秒 | メタエンジニアの眼
メタエンジニアの眼シリーズ(184)  TITLE: 「メタ認知」
書籍名;「深い学びの科学」 [2020]
著者;北尾倫彦 発行所;図書文化社
発行日;2020.2.10
初回作成日;R3.1.9最終改定日;
引用先;メタエンジニアリング



 著者は文学博士だが、日本教育心理学名誉会員で、教育関係の著書を10冊以上出している。この書も、第1章は、「深い学びとはどういうことなのか」との題で始まっている。
 博識者と思慮深い人のどちらが深い学びをしてきた人かの考察から始まっている。そして、世間で役に立つのは、知識よりも思考力であると結論している。深い学びは、主体的・対話的の教育から得られるというわけである。(pp.8-9)
 そこから、知識と思考の関係の話が始まり、子供の教育の在り方を語っている。そして、主題の「メタ認知」は、第3章で纏められている。
 
「メタ認知」という用語は、1980年頃から記憶や読解の研究において使われ始めた、とある。(p.36)
そして項目別に、「算数文章題解決におけるメタ認知」、「国語説明文読解におけるメタ認知」、「高校数学の学習相談におけるメタ認知」、「評価のフィードバック機能とメタ認知」などについての例を示している。成績の違いは、メタ認知力の差によって生じるのである。これらすべては、「認知」ということが、頭の中でどの程度論理的かつ具体的に行われているかどうかの議論になっている。(pp.37-44)
 
「メタ認知プロセスモデル」の図が示されている。(p.37)  教育現場のことのようだが、一般に適用できるので、それを解読する。
 人の頭が、具体的な認知や思考のために使われているときに、その奥ではメタ認知が働いている。メタ認知の機能は、「メタ認知知識」と「メタ認知制御」の二つがある。
「メタ認知知識」とは、認知を深めるためには、どのような要因や方略が影響し、それらを何時、どのように適用するかを知るもの。
「メタ認知制御」とは、認知知識の活動のプランづくりと、その監視と制御とある。
 
随分と分かりにくい表現だが、メタ的に解釈をすると、認知とは、通常の読み書きや問題解決のための思考の中で働く。その場合に、頭の奥で、対象に対する理解が何処まで深く、広く行われているかが決定されるのが、メタ認知というわけであろう。
 つまり、目や耳から入ってくる現象の認知において、頭の中でメタ認知がどの程度働くかによって、理解度が全く異なるというわけである。このことは、通常ではあまり意識されないが、例えば、数学や国語の試験中に、問題を次々に解かねばならない際に、メタ認知能力が働かないと、応用問題が解けなかったり、もっとひどい時には、問題の意味が分からないということが起こってしまう。
 
一般的に社会で起こっていることに対しても、メタ認知をどこまで瞬時に発揮できるかは、その後の行動や思考に大きく影響することになるのではないだろうか。


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