世の中の二乗>75の二乗

話せば長くなる話をする。知っても特にならない話をする。

スプートニク

2007年02月27日 19時13分46秒 | Weblog
村上春樹「スプートニクの恋人」にいたく心動いた。
登場人物の年齢設定が近くて、住んでる場所も近くて、抱えている問題も結構似ているせいかもしれない。
あるいはそんな接点は単なる私のこじ付けにすぎないかもしれないが。
似ている、というのは厄介だ。
何もかもそっくりではいけない。何もかも違っていてはなおいけない。
コーヒーの違いを楽しむ、というのはつまり、
コーヒーっちゃみんな黒くて苦くて液体、ってとこから始まって、なおかつ、出身がブラジルとか、アフリカの山とか、味が濃いめとか、酸味ありとか、ミルクと相性よしとか、淹れた人がプロとかいう微妙な違いを楽しんでいるわけだ。
みんなコーヒーの味という点では似ているが、そこには確かにある違いも存在しなくてはいけない。
そんな感じか。今回の「スプートニクの恋人」で私が感じたのは。
いままでは村上春樹の人物像に私は決して似ていない、と思っていた。
第一、私は生活も服装も音楽趣味も癖すらもこんなにきちんとしていない。
似てないからこそ感じる面白さもあるはずだ。
しかし、今回は似ている、似ていると思う点がいくつか発見できた。
それが私にしてはちょっとした事件だったわけだ。
もちろん前にも言ったとおり、それはただの勘違いかもしれなくて、実際ほんのささいなことなんだろうけど、それでもそう感じてしまったものはしょうがない。
いままで読み取っていたものとは違うベクトルでこの作品を読んだことは確かだ。
作家にとってはこういうのがにやりなのかもしれない。
スプートニク。
ソビエトが打ち上げた初期の人口衛星。
この衛星の存在もこの衛星の名を使った「スプートニクの恋人」も衛星の歴史や村上小説の歴史では意外なくらい知られていないけれど、
私にとっては忘れられなくなってしまいそうだ。
偶然にも、幸運にも、出会ってしまいました。



最新の画像もっと見る