世の中の二乗>75の二乗

話せば長くなる話をする。知っても特にならない話をする。

女神が笑う

2008年10月03日 08時08分52秒 | Weblog
「アキレスと亀」を見てきた。
北野作品は、わりと好きだ。
絵がたくさん出てくるHANABIが一番好きだ。
そう思っていたら、今回はもっといっぱい絵が出てくる話で、
わあわあと思って見に行った。

以下、ネタばれるかもしれません。
主人公の男の人が愚鈍だけど絵にはまっすぐで、純真な心で自分の絵を描き続けている。
という話かと思ったら大違いだった。
もっとダメーな男の人だった。
まず、長年描いたもの描いたものがダメだしされまくってて、もう何を描いていいやら自分でもわけわかんなくなっちゃってる。
それで、画商の人の言いなりになんでもやってみるんだけど、それで描いたやつは個性がないとか言われてまだダメだされる。
もはや、いい絵を描きたいというよりも売れたい、がある人で、
売れるためと思って人の真似はするし、自分の表現方法をころころ変える。
権威に弱く、そのために理解者も切り捨てる。
この男の人には、絵を描きたいという欲求しかなく、
なにを描きたいかとか、どう描きたいかというのがない。
いいやつでもなんでもなく、
むしろひどいやつで、
職も家族も世間体も全てを捧げて描いている絵が、
身捨つるほどの芸術なりやをいうありさまなのでなお救いがない。
それでも、最後にちゃんと救ってくれる。
救ってくれる人は女の人で、
それで私は、この人はこんなダメな男の人を許せたり、愛したりできるのだから、きっと人間ではなくて、女神かなにかなんだろうと思った。
その神様が最後ふふふと笑うのだけど、それがめちゃくちゃよくて、
私はこの最後の笑い声のためにある映画だと思った。

劇中の絵はダメな絵として扱われてますが、
ステキな絵ばかりです。
ああいうビビットな色使いは憧れる。

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