世の中の二乗>75の二乗

話せば長くなる話をする。知っても特にならない話をする。

開始後5分

2010年06月13日 00時37分24秒 | Weblog
篠田正浩監督作品「心中天網島」を見た。
開始後5分でこれはおもしろい作品だと確信する。
人形浄瑠璃の「曽根崎心中」を原作に、
人形ではなく、人間が演じる。
でも人形を操るような黒子がいる。
しっかりばっちり黒子がいる。
黒子の半透けの黒布から白い息が漏れている。
すごい。この映画すごい。
すっげえおもしろかった!!!
私の中で、近年稀に見る名作。
すげえよ、これ、すげえ!
黒子が死神のようで不気味で、
でもロボットのように実直で、
演出家のようにストーリーを大切にして、
世間のように冷たい。
女郎小春と女房おさんをどちらも岩下志麻が演じていて、
どちらもすごくいい。
私は途中まで断然おさん派だったけど、
最後の最後で小春の鬼気迫る感じに圧倒された。
女のお客さんはきっとおさん目線でこれを見ると思うんだけど、
最後、小春の姿にぱくっと飲み込まれてしまって、
それでどっちの側にたって見るとか、そういうレベルの話じゃなくて、
すさまじい人間の側面を圧倒されながら見るしかなくなるという感じ。
いや、すばらしい。
治兵衛はほんとうにダメな男だなあ。
途中までずっと腹が立っていた。
でもやっぱり最後の最後で人じゃなくなって鬼になったようですごかった。
「義理義理うるさいんじゃ」という二人が
結局最後まで義理に縛られているというのがすごかった。
「死ぬ死ぬ」といっている二人が
最後やっぱり生きたい、嫌だ、怖い、というのがすごかった。
ラストの締めがすっげえかっこよかった。
死ぬのを美化していなくて、
でも壮絶にキレイで、
なんてすごいものを見ているんだろうと思った。
最初の本物の人形がでてくるとこで、
黒子の実に巧みな人形さばきも地味だがよかった。
アタリの一本。

舞台「パンク侍、斬られて候」DVD見た。
もともと私は町田康の原作小説を読んでいて、好きな作品だったので、
たまたま下北に行ったとき本多劇場で舞台版やってるのを知ってたまげた。
で、もはや御用達の新宿ツタヤにDVDがあったので見てみた。
けっこういい俳優も出てるし、ちょっと新感線っぽいポスターとか、
この原作にあってる感じがして期待して見た。
開始後5分でおもしろくないだろうと思った。
最後まで見たけど、最初の感どおりだったよ。
これはもう、100%俳優に落ち度はなく、100%脚本と演出のダメさだ。
やっぱりちょっと新感線っぽくて、新感線より数段落ちたものだった。
映像を駆使しているが、それが舞台空間とぜんぜん溶け込んでないし、
映像長くてたるむし、そんなに映像自慢したいなら映画でやれと思うし、
クライマックス、小説で読んであれをどう舞台にのっけるんだ!?という最大の見せ場を映像使って逃げたし。
あと、群集の使い方とか下手だと思う。
あれじゃあ2000人の群衆に見えないし、ただの8人じゃん。
あと、宇梶さんがずーーーーとちんこ出してて、それに映像規制のモヤかかってるのがうざい。
これはDVDだからなんだと思うんだけど、
でも途中からあれ、このちんこ作りものじゃん、と思ったらモヤいらなくない?という話になった。
作りものならなぜモヤがけするんだ?
DJオズマは生放送でやったのに。
あと最後、小島聖のバックに大きな青布が降りてきて、真ん中に白字の「青空」って。
「そりゃないわ~」と思わず叫んでしまった。あんまりダサくて貧相だったから。

舞台と映画だけど、
つまらないものと抜群におもしろいものを摂取した一日。
職場では倉庫の掃除をして、段ボールで靴箱を作り、子供を2回怒って泣かせた。

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