昔,昔の話です。
天竜川のほとりに,魚をとるのがとても上手な若者が住んでいました。若者は,毎晩のように天竜川に魚をとりに出かけました。
ある晩のことです。
若者が,川の中にあみをしかけると,あみがいっぱいに魚が入りました。
「こりゃすごい。あみを舟に持ち上げるのに一苦労だ。」
若者は,あみの魚を舟に移すと,また、あみを仕掛けました。すると、あっという間にあみ中は魚でいっぱいになりました。
「こりゃすごい。こんな大漁は初めてだ。」
若者があみをしかけるたびに魚でいっぱいになり,舟はとれた魚でしずみそうです。
若者は,今までにない大漁に大喜びで,家に帰ることにしました。土手をこえて,もう少しで家に着く時のことです。若者の頭の上を「ヒュッ,ヒュッ」という音が聞こえました。若者が,何の音だろうととまどっていると,「ヒュッ,ヒュッ」という音がまた聞こえ,頭の上を何かが飛んでいく気配がしました。
「おかしなことがあるものだ。」
「こんな暗やみの中を自由に飛べるのは,いったい何だろう。」
「まさか,天狗様の羽音じゃないだろうな。」
若者は,天狗様が天竜川に住む魚を一か所に集めることがあるという噂を思い出しました。
「ひょっとすると,せっかく天狗様が集めた魚をとってしまったので,おこってい るのかも‥‥‥。」
若者は,空を見わたしましたが,天狗の姿はどこにも見えません。家に着くと,急いで戸じまりをして布団に入りました。少したつと,屋根の上で何やら物音がし始めました。その音は次第に大きくなり,若者はとてもねていられません。とうとう屋根だけでなく,家全体が大きな音を立ててゆれ出しました。
「このままでは家がこわれてしまう。」
「天狗様,魚は全部返すから,お助けを!」
若者は,とった魚を一匹残らず川に投げ入れました。
するとどうでしょう。さっきまであんなに大きな音を立ててゆれていた家は,物音一つしなくなり,若者はようやくねむることができました。
天竜川のほとりに,魚をとるのがとても上手な若者が住んでいました。若者は,毎晩のように天竜川に魚をとりに出かけました。
ある晩のことです。
若者が,川の中にあみをしかけると,あみがいっぱいに魚が入りました。
「こりゃすごい。あみを舟に持ち上げるのに一苦労だ。」
若者は,あみの魚を舟に移すと,また、あみを仕掛けました。すると、あっという間にあみ中は魚でいっぱいになりました。
「こりゃすごい。こんな大漁は初めてだ。」
若者があみをしかけるたびに魚でいっぱいになり,舟はとれた魚でしずみそうです。
若者は,今までにない大漁に大喜びで,家に帰ることにしました。土手をこえて,もう少しで家に着く時のことです。若者の頭の上を「ヒュッ,ヒュッ」という音が聞こえました。若者が,何の音だろうととまどっていると,「ヒュッ,ヒュッ」という音がまた聞こえ,頭の上を何かが飛んでいく気配がしました。
「おかしなことがあるものだ。」
「こんな暗やみの中を自由に飛べるのは,いったい何だろう。」
「まさか,天狗様の羽音じゃないだろうな。」
若者は,天狗様が天竜川に住む魚を一か所に集めることがあるという噂を思い出しました。
「ひょっとすると,せっかく天狗様が集めた魚をとってしまったので,おこってい るのかも‥‥‥。」
若者は,空を見わたしましたが,天狗の姿はどこにも見えません。家に着くと,急いで戸じまりをして布団に入りました。少したつと,屋根の上で何やら物音がし始めました。その音は次第に大きくなり,若者はとてもねていられません。とうとう屋根だけでなく,家全体が大きな音を立ててゆれ出しました。
「このままでは家がこわれてしまう。」
「天狗様,魚は全部返すから,お助けを!」
若者は,とった魚を一匹残らず川に投げ入れました。
するとどうでしょう。さっきまであんなに大きな音を立ててゆれていた家は,物音一つしなくなり,若者はようやくねむることができました。