しょぼい毎日

いつも理想はでっかいが、結果はしょぼい・・・。そんな日常を綴ってみました

鬼とタンゴと左ハンドルと

2008-04-07 23:49:53 | 旅行記

4月5日(土)

Img_2832 明石海峡大橋開通10周年を記念して本四間の通行料がこの5日・6日に半額(ETCかつ乗用車のみ)になります。ガソリン代が安くなった事でもあるし、この機会を利用してJ南高校映画部1年先輩のF谷氏と日本海側までの<お出かけ>を企画しました。

今回は事前に同行者である先輩と予定を相談しています。目的は以下の3つ、

  1. 先輩の希望する大江山付近にある鬼の銅像を見に行く事。
  2. 「旧加悦鉄道のSL広場」に立ち寄っていただけたら、という私のささやかなお願い。
  3. 「タンゴ北近畿鉄道に残る私の未乗区間の乗車に協力して頂ければ、嬉しいのですが・・・・」という私の厚かましいお願い。

今回は(いつもながらか?)3つ目の要望が特に先輩の気持ちを害したようで、「何でおまえの都合に合わせないかんの?」と小言を言われましたが、何とか了解を取り付けました。いつもながら先輩、すみません。

朝6時に徳島を出発。明石海峡大橋を経由し福知山ICまで高速道路を北上します。

やがて旧大江町に到着。この由緒ある町も今では福知山市になっています。非鉄な先輩が、何故か大江駅に寄ろうと言います。Img_2855 駅前とおぼImg_2846 しき場所につきましたが、そこは鬼に関するモニュメントで埋め尽くされていました。駅の施設の方が付属物の様です。圧巻だったのは日本中から集めた鬼瓦コレクション?鬼瓦の表情は恐ろしかったり、それでいてユーモラスであったり、知人の誰か似ていたり・・・・。とにかく見ていて飽きません。駅前がこれだけ充実しているのですからこれから行く鬼の博物館はものすごいに違いありません。

2人を乗せた車は、大江山の奥深くに分け入ります。まず博物館を通り越し、険しい山道を登り続けます。やがて山の頂を切り開いた場所に唐突に立つ「鬼」の銅像に向かいます。この像は、知る人ぞしる成田亨先生の作品です。ウルトラマンを始めとする初期の円谷作品のヒーロー・怪獣達をデザインした人です。セブンのウルトラホークやポインターと言ったメカもデザインされています。先輩がこの像にこだわるのは、成田亨先生への深い尊敬と数年前の冬に当地を訪れた際、積もった雪の為、この像の近くまで来ながら、像を見ることが叶わなかった無念からのようです。雪のない本日、やっと念願が叶いました。先輩は、三体の鬼の像に見とれています。

実際、迫力あります。こんなすばらしい作品の前にいる観客は、我々2人だけです。贅沢というか、もったいない。そこでひとつ疑問が・・・・。こんなに素晴らしい像を(お金もたっぷり掛かっているだろうに)なぜ人々が気軽に来れないような、山奥深くに造るのか・・・?ひょっとしてImg_2878見せたくないのかとさえ思ってしまいます。先輩が言うには、大江山の鬼が京の都を見下ろせる様な場所は、このImg_2866ような高い山の上しかないからだと言っていましたが、見に来る人がいないような場所にモニュメントを建てることが、税金の使い方として正しいのだろうかと考えてしまいます。

「鬼」の像を見た後は「鬼の交流博物館」に立ち寄ります。一般に開放されている駅前でさえ充分堪能出来たのですから、きっと素晴らしいに違いないと思っていましImg_2891Img_2881た。が、有料のこちらの方は、「?」

鬼と関係のない展示でスペースを埋めていたり、鬼の暮らしをユーモラスに再現していたジオラマの鬼が倒れていたり、首が取れていたり、やる気が有る無し以前の問題だと思います。唯一の救いは成田亨先生の鬼を描いた原画が多数展示されていたことです。

まあ、当ブログも<しょぼい>を冠にに戴いていますので、人様の事をとやかくは言えませんが・・・・。

第2目標

Img_3052鬼の交流博物館から山道を通り旧加悦町にある、「SL広場」に向かいます。ここからは、私の希望に沿った行程になるため先輩の機嫌も心なしか斜めになった様な気がします・・・・。

Img_2895駐車場に見慣れない車が止まっています。先輩の表情が急に生き生きしています。今乗っているスマートの兄弟車だそうです。そのスマート・ロードスターという車の隣に駐車すると、その車のドライバーが話しかけてきました。珍しい(比較的)車の持ち主同士ですっかりうち解けています。先輩の機嫌の良い今の内に館内を見学する事にします。一時間後、駐車場に帰ってくる旨を約して、入館します。その時は、40~50分もあれば全て見学可能と思っていたのです。が先ほどの「鬼の交流博物館」とは違い、全てが濃く感じました。展示車両の数やバラエティー、心憎いまでの展示方法(要は撮影に対する配慮)等マニア心をくすぐります*。

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Img_3005←キ165 裏側から内部に入れる様になっています。ラッセル車内に入ったのは初めてです。中に入って車内の機構に感心することしきりで「へー。へー。」まさにトリビア<20へー>状態でした。

Img_3048←知る人ぞ知る森製作所の機関車<森ブタ>の愛称で有名。

ほとんどの車両は中に入れます。外観(前・横・後ろ)+内部のカットを撮影していると、時間はあっと言う間に過ぎていきます。それを柵の外側から先輩があきれて見ています。が、そこで止められないのが「人の道」じゃなくて「マニアの道」。ついには約束の時間が来てしまいました。ここで私は退館するのではなく、躊躇無く「先輩、申し訳ありません!あと10分延長お願いしますー。」と携帯で先輩に連絡していました。またもや「人の道」を外れてしまった・・・・。

Img_3066施設を出て昼飯をとります。近くのおそば屋「そば工房くり」に入ります。すでに先輩の不機嫌さは、レベル4に達しています。幸いな事に美味なそばを食べてレベル3位に良くなった様な気が・・・・。

第3目標

宮津駅まで車で送ってもらい、そこから私ひとりが、列車に乗り西舞鶴に向かいます。先輩は車で西舞鶴に先回りしてもらいます。何でこんな事をするのかと言うと、<その区間のみ未乗車だから>という理由。一般の人からすれば「何で?」という疑問が湧く事でしょうが、これに対する答えはただひとつ!「マニアだから」

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Img_3126列車は風光明媚な海岸線を走ります。景色の良いところに来ると停まってくれます。やがて長い由良川鉄橋をこれまたゆっくりと渡ります。高校時代に読んだ三島由紀夫の「金閣寺」のなかで、主人公が金閣寺に火を付ける前に駅から由良川河口まで歩くシーンが描かれていましたが、読書時に私が思い描いた通りの風景で大いに感動しました。途中でタンゴエクスプローラーと交換したりして、列車は定刻15時に西舞鶴に到着。

そして第4目標

西舞鶴駅前ロータリーで<何かをすっかり諦めてしまった表情の>先輩と合流。「もう行きたい場所は無いね?」と念を押されます。「何もありません。満足です。」と私が答えると、帰途に着くことになりました。が、まだ日没まで時間があるので、先輩の提案で京都美山地区の古民家の群集落を見に行く事になりました。私の方は最初は美山地区に興味ありませんでしたが、実際の集落を見て感激しました。昭和40年代以前の日本の風景がそこにあったから・・・・。いつの間にかこの風景を撮影するのに夢中になってしまい、ひとりで集落に入っていってしまっていました。我に返り、車に戻ってみると置いてきぼりを喰った先輩の不機嫌な顔がそこに・・・・。

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最後の目的地

少々気まずい雰囲気になってしまいました。ともかく間もなく日が暮れます。我々は、周山街道経由で京都市内に入り名神高速を使い箕面市に向かいます。先輩お気に入りのラーメン店黒兵衛箕面総店に向かいます。市役所の側にある店舗に行くと、店の扉が堅く閉ざされています。「がーん!お休みかアー」と2人同時に叫んでしまいました。気落ちした2人でしたが、店舗移転のお知らせの張り紙を発見し、再び元気に。市役所から南に1ブロックほど下ると開店したばかりのお店を発見。人気店だけあってしばらく待たされます。

Img_3194 くろとんラーメンを注文します。見かけと違いあっさりしており、やみつきになりそうです。

そして最後の試練は・・・

ここまでずっと運転し通しだった先輩に代わり、私が運転を代わることに。ここで問題が!今回乗車している車は左ハンドル車です。けれども、私は左ハンドルは初めて。ものすごいプレッシャーを感じながら、ハンドルを握ります。高速に入ると先輩より「車が右に寄りすぎている!」と警告を受けます。右ハンドル車の感覚では真ん中ぐらいを走っている感じでしたが、助手席の先輩は隣のラインを踏み越えそうで怖かった様です。先輩の顔が鬼のように怒っているように見えました。そんな先輩の形相から逃れるため、私は目一杯アクセルを踏んで走行しました。そうすると、先輩も小言を言わなくなります。再度先輩の表情を伺うと怒りの表情ではなく恐怖の表情になっている事に気が付きました。結局、次のサービスエリアで、私の左ハンドルデビューは終わりを告げることになりました。そこから、徳島へ帰り着くまでは、お互いあまりしゃべらなくなりました。

とにかく収穫もあり楽しい一日ではありましたが、反省すべき点が多い一日でありました。やはり私は団体行動は無理のようです・・・。