福岡県朝倉市は秋月城下の近くにある数軒の骨董店は
気候のいい季節には家内と二人でドライブがてらによく立ち寄る所です。
先日も少しばかりの陶器類ば買って帰る途中
普段あんまり営業していない店が開いていたので何となく家内が店に入ると
意外にも豊富な帯類があり家内はそれらば選んでおりました。
オイはする事もなく店の前の駕籠に無造作に積み上げとるカメラの中で
キャノンのロゴが刻まれた古い革ケースのカメラば手にしたとです。
くたびれたケースから取り出したカメラは
オイが小学6年生ば卒業する頃に発売されたキャノネット
中学生になり欲しくてたまらんやったキャノネット
シャープな外観と底部にある独特な巻き上げレバー(その時は知らんかった)
もちろん我が家にカメラは無かった。
無いから余計に欲しくなる。
新聞の広告写真ばジッと見ていた事ば思い出したとです。
そのカメラが秋月の骨董屋さんのここにある。
革ケースの紐は片方ちぎれているばってん
55年前のカメラとは思えん位、綺麗かとです。
店主が言ったとです
「あぁ、そのカメラは大事に扱ってあったごたるけん作動に何の問題は無かよ。」
店主の言葉に頷きながら革ケースの裏側を見ると
そこには黒の油性マジックで書かれていた持ち主の苗字が・・・・・・・・・。
オイはそれば見て一瞬、胸がときめき驚いたとです
「そんな馬鹿な・・・」と正直その時思ったとです。
オイと同じ文字の苗字が書かれていた革ケースに・・・・・・。
家内にケースに書かれた文字を見せると笑いながら「何か字までそっくりやんね。」
実はオイも感じておったとですオイの字に良く似ておると・・・
その時、可笑しかばってんオイは少し込み上げてくるもんがあったとです。
このカメラは
最初の持ち主から最後に同性のオイの手元に渡される運命ば待っていた気がするとです。
やっと会えた・・・そんな気持ちです。
そして小説の読みすぎと言われても仕方無かばってん
今、オイは時空ば超えた物語の主人公になったような気にもなっておるとです(笑)。
生涯、大事に使わせて頂きます。