大坂で雑居ビルの火災が起きた。階段・エレベーターが一箇所にまとまり、入っているテナントには入口が一箇所しかないという日本の都会でよく見かけるビルでの火災だ。焼失面積は２５㎡ていどと小さかったにもかかわらず、入り口近くからの出火で多くの方が逃げ遅れ３０人近くが心肺停止で病院へ搬送されたという。ほぼ一瞬の小規模火災で２０名以上の命が失われたという悲惨さに、言葉も出ない。
火事は放火によるものという可能性が強いようで、そのような憎むべき行為が何故起きてしまうのかと無念でならない。ただ、例えそのような行為が行われてしまったとしても、出火場所の反対側にももう一つの逃げ道があれば焼失面積２５㎡程度の火事で人命が失われることすら無かったのではないかという思いが、どうしても湧いてくる。未だに、そのような二方向の逃げ場を確保できない建物が消防法で許されているということにも無念さが募る。
敷地面積や建築費用などの制約によってもう一つの出口を確保できないなら、せめて不特定多数の人々が出入り・滞在する全ての建物に緊急の消火装置や排煙装置とかの設備を義務化できないものだろうか。３０分で消し止められた火事で、３０人近くの心肺停止者を出してしまうという日本の雑居ビルの存在を、先進国の一つとして多くの分野で世界をリードしていくはずの国が許してしまっている現状が残念でならない。
