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アメリカ中西部の竜巻

2021-12-11 | 日記

アメリカの中西部で広範囲に同時多発的な大きな竜巻が発生して大きな被害が出たとのこと。12月に発生した竜巻としては、史上最大の竜巻になるという。6つの州で合計30個ほどの竜巻が次々に発生し、中には数百キロにわたって被害を与えながら移動したものもあったらしい。

 もともとアメリカの中西部の平原は、世界的に見ても珍しいほどに大きな竜巻が起きる条件が揃っているのだとか。自分も若い時に2人のアメリカ人と一緒にカンザスに向けて1泊のドライブ旅行をしたが、同行の2人は何度も「途中で竜巻が起きるかも?」と冗談半分に話していた。それくらい、アメリカ人にとって中西部での竜巻は身近な現象で、日本で言えば「台風シーズンの旅行で飛行機や電車が止まるかも?と心配する」のに近いのだと感じた。

 それほど身近で何度も経験のあるアメリカが政府を上げて「重大な災害」と捉えているのは、今回が例を見ない広い範囲で大規模な竜巻発生であったということに加えて、「これが地球温暖化の影響の一端かも知れない」と感じられるところにあるのだろう。つまり、「今後、この規模の大きな竜巻の同時発生が毎年のように続くかも知れない」という底知れない不安を物語っているように思った。

 地球温暖化による現象と思われるものは、大きな気象災害だけでなく、アメリカ中部平原地帯の歴史的干ばつや北極圏でのかつてない気温上昇などに表れている。それらの中で「気温上昇」は素人にもそれとはっきり感じ取れるが、大雨や干ばつが果たして温暖化の影響なのかどうかは直感的には分からない。まして、漁業における歴史的な不漁や収穫魚種の変化などが地球温暖化とどのように関わっているかは、様々な因子の複雑な関わり合いを知らなければ理解できない。

 その複雑な因子の関わり合いの本質を簡潔な数式で表し、気候変動という複雑な現象へのシミュレーション作成に道を付けた先人が同じ県の出身者だったことを誇りに思うと同時に、彼をはじめとした科学者たちが1980年頃から想定していた事態が現実化する時代に入ったことを感じる。その気候シミュレーションへに挑んだ先駆者にノーベル賞が与えられる年、我々を包む地球の大気圏や海では彼らの「予見」を証明するかのような天候異変が続いた気がする。まるで、「仮にも彼の仕事を認めてノーベル賞受賞を喜ぶ人々であるなら、その仕事の成果の先に来る結果を予測し、真摯に対応しなければならない」との地球からのメッセージのようだ。

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