やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

上本 ひとし写真展「海域」

2013-11-27 | photo
静かな瀬戸内海の写真。



ちょっと暗いのは、雨雲だろうか、上空を移動していて、
影が海上を覆う。写真家は明るい時に撮る気がしなかっ
た。戦時中、大型魚雷を改造して作られた「回天」って
いう人間魚雷を訓練した海やから。

訓練基地は周防灘周辺の大津島、光、平生と大分湾大神に
あったそうだ。「回天」は、操舵が極めて難しく、訓練中
の事故で多くの殉職者を出している。

ひどい話だ。訓練で生き延びたって、突撃で死んでいく。
1944年の段階では「乗員の脱出装置無しでは兵器として
絶対に採用しない」という条件がついて試作にゴーサイン
がでてたのに、実戦にむけて安全性が無視される。



周防灘は父母の実家に近く、光には親戚もいて、遊びに行っ
たことがある。海が近く、おじさんに舟に乗せてもらったこ
とも。あの海でそんな訓練があったとは。

作品には戦時中をイメージさせるものはない。例外なのは、
「回天」を工場から訓練基地まで運搬したトンネル。軍人
が数名通りかかっている写真が数点ある。



在廊中だった上本さんに、モデルを使ったのですかとお聞き
したら、「たまたま、自衛隊が通りかかったのです。この偶
然で撮影を続けようか迷っていた私に決心がつきました。」

3年通って、まとめ上げる。写真集も発刊してはって、とて
もいいので、買おうとしたら蒼穹舎だった。写真は蒼穹舎の
サイト
から。



写真集をビニール袋に入れてくれはったんだけど、本業の靴屋
のものだった。「店を任せて出てきたんですが、心配でちょい
ちょい電話を入れています。」店主の顔に戻る。大正5年創業、
家業
のようだ。

写真展「海域」は銀座ニコンサロンで開催中。12/3まで。大津
島には回天記念館があるそうだけど、ほとんど訪れる人もいな
いとか。いつか訪ねてみたいし、撮ってみたい。

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