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#2 Open Show CP+ 田中克佳 「虹色の大国、ブラジル」

2015-02-16 | photo
もう1回続いて横浜美術館で開催した第2回Open Show
CP+
のこと。2人目の発表は、ニューヨークを20年以上
拠点にしてはる田中克佳さん。

1人目の伊藤大輔さんが体育会系のノリで主観的に写真を
撮っていきはるのとは対照的に、田中克佳さんはブラジル
の深層を写真を通じて社会学者のように追い求める。

15年もブラジルに通っているというからこれまた筋金入り。
「アフリカ」「捏造(ねつぞう)」「混合」というキーワー
ドで話していく。



植民地化したポルトガルがサトウキビ畑を拡大するために、
16世紀にアフリカから奴隷400万人を連れてきたそうだ。
米国にも400万人だったと言われているから近い数だ。

アフリカの文化、宗教を徹底的に弾圧される。表面的には従
っているフリをしているけど、アフリカ文化は地下水の様に
脈々と受け継がれ混合した人種・文化を生む。

建築においてもポルトガルの西洋様式が町の表通りを形成し
ていても、一歩裏に入れば、アフリカが色濃く残っているそ
うだ。



1888年に奴隷制が廃止になり、大量の奴隷がリオデジャネ
イロに流入。なんとサンバも禁止されてた、と知らないこと
の連続。では何故サンバがこんなに愛されるようになったか?

1930年代に革命で樹立したヴァルガス大統領は国威発揚の制
作を推し進めるために、「ブラジル的なるもの」の誕生が切
望される。

人種や文化が混合することが強みとして浮上し、長年弾圧の
対象だった混血種や文化がいきなり擁護され、国家のシンボ
ルにすえられたそうだ。



最大のシンボルが、サンバであり、カーニバルを国家発揚の
場と位置づける。これに国民が陶酔していく。田中さんは各
地を訪ね、歴史をたぐり、ブラジルを再構成していく。

あとから読み返せば、昨年小学館から刊行した彼の『踊る!
ブラジル』
に書いてあるんだけど、こうして彼の話を写真
を通して聞くことで、一本筋が見えてくるというか、やっ
とブラジルの深層に触れた気がする。



本来、写真ですべてが語られているハズなんだけど、OPEN
SHOWという場を設けることで、写真家の意図や物語を来場
者と共有することが、ささやかながらできて満足w

写真は、200年間ポルトガル植民時代の首都、バイーア州の
サルバドールのもの。彼のサイトから。

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