やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

映画『ニーチェの馬』

2012-03-26 | 映画
ハンガリーの監督タル・ベーラの
映画を初めて見る。こんな有名な
監督を知らなかったのって言われると
ちょっと恥ずかしい。でもこれが
ボクにとっての出会い。

しかも今後は撮らないで後進の指導に
回るとベーラ監督が言ってるそうだから、
『ニーチェの馬』は最後の作品になるのかも。
同時進行をぎりぎり共有できたのか。




「聖書には、神が6日間でこのクソみたいな
世界を作ったという創世記がある。
この映画はその時間を逆行していて、
日々のうちに何かを失い、やがて終末を迎える。」

茹でたジャガイモを食べること、井戸水を汲むこと、
寝起きするときは着替えること・・それを終末の6日間
繰り返す。

ちゃんと生きているかと問われている気がした、
「このクソみたいな世界」に生きているボクが。
ジャガイモは茹でてるかもしれないが、選んで
買ってくるだけ。水に至っては蛇口をひねるだけ。

「映画はショービジネスの一部であるとみんなが信じている。
でも、自分はそうは思わない。映画とは第七芸術だと思う。
観客はもっと知的で賢いよ。」

そう信じて映画と撮ってきた姿勢の凄さ。



細野晴臣さんがコメントを寄せていて
「21世紀、タル・ベーラは堕落した世界に幻滅し、
映画から去ろうとしている。何処に向かうのだろうか。
凝視しすぎて、目に砂埃が入ってきた。」

吹きっさらしの風が全編を覆う。
ボクには砂埃を鼻で感じる。

第61回ベルリン映画祭銀熊賞と
国際批評家連盟賞をダブル受賞。
渋谷イメージフォーラムでは4/13まで。