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佐々木中「革命はテクストを書き変えること」

2012-03-05 | カルチャー
『夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル』
という600ページを越える書物で2008年にデビュー
した佐々木中さん

それにはまだ手が届いてないんだけど
次に出た語り下ろし『切りとれ、あの祈る手を――
〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話』はめっぽう面白い。

革命とは縁遠い日本・・というよりボクにだって
革命を起こせる、それは無理でも参加できるって思うに
いたる考えだった。

中世解釈者革命とルターの宗教革命、ムハンマドの革命等を
論じて、「革命はテクストを書き変えることで、
暴力は2次的なものにすぎない。」(P78)と言う。

中世解釈者革命って初めて知る。まだ馴染みのあるルター
(1483- 1546)をwikiの力も借りて振り返ると;

1517年『95ヶ条の論題』(これはラテン語で)

1520年『ドイツ貴族に与える書』『教会のバビロニア捕囚』『キリスト者の自由』
1521年 ローマ教皇がルターの破門を正式に通告
1521年 ルターが帝国議会への召喚
    「聖書に書かれていないことを認めるわけにはいかない。
     私はここに立っている。それ以上のことはできない。」
1522年 過激派を糾弾、暴力を伴う革命を否定し、行き過ぎを警告
1525年 41歳の時に26歳の元修道女と結婚し、三男三女に恵まれる。
1524~25年 ドイツ農民戦争
1530年 帝国議会でカトリックとルター派との和解の道を探る 
1534年 聖書のドイツ語訳完成→ドイツ語の発達に大きな影響

ルターの死後 1555年 アウグスブルグの和議 ルター派容認
1618 ~48年 三十年戦争 ドイツの人口が1200万人→800万人に減る

「革命の本体は暴力ではない。経済的利益でもなければ
権力の奪取でもない。テクストの変革こそが革命の本体です。(P79)」

「テクストを、本を、読み、読み変え、書き、書き変え―
そしておそらくは語り、歌い、踊ること。これが革命の
根源であるとすれば、どういうことになるか。
どうしてもこうなります。―文学こそが革命の根源である、と。
ルターは文学者でした。言葉の人でした。だからこそ、
史上最大の革命家だった。(P80)』

本を読んで、書きかえて、歌って、踊るなら、
できるかもしれないw

革命家たるゆえんがいくつもあって;
・16世紀最大の著作者=文学者
  1500年~1540年 ドイツ書籍の3分の1が彼の著作物
・とはいえ識字率5%なので、説教の達人でもあった
  ルターの教えをみんなで歌ったり囃して踊ったりしていた
・ドイツ語賛美歌の創始者(それまで教会で賛美歌を歌われることなかった)
  「音楽は、最も美しく最も高貴な神の賜物の一つである」

プロテスタントの開祖という記憶の彼方にあった
ルターが活き活きと、しかも革命家として蘇ったね。