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やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

映画『シャイニング』のドキュメンタリー

2014-02-06 | 映画
キューブリック監督の映画『シャイニング』(1980年公開)を
徹底分析するドキュメンタリー映画『ROOM237』を見にいく。

5人の研究家が自説を展開するとの触れ込みやけど、映画の興行
として成立するんやろか?テレビ番組としてはアリだろうけど。。
そんなことは杞憂というかすぐに忘れ去った・・



まず撮影場所となったホテルがセットだと知って驚いたくらいだ
からボクのレベルが知れるwカリフォルニア州ヨセミテ公園にあ
Ahwahnee Hotelっていうホテルがモデル。

 
左が本物。右が映画                        

この現地に3人のスタッフを2ヶ月間、キューブリック監督は送り
込む。ホテルの様子だけでなく、歴史、風土まですべてリサーチ
したそうだ。本人は行かないで。

いかに綿密に構想をねったかがわかるエピソードやけど、そんな
話の連続。同じシーンなのにセットがちょっと変えてある話も満載;

ジャックと奥さんのウェンディが話しているシーンの背景にあった
椅子が、二人が立ち上がるときには消えている、とか。気付く人な
んて映画館で誰もいないだろうに。でも不思議な感覚が残存すること
を狙ったのかも。監督はサブリミナル効果をかなり研究したそうだ。

息子のダニーが廊下で遊んでいると、どこからかボールが転がって
くるシーン。彼が顔をあげるとカーペットの模様が変わっている。
開かれた模様だったのが、閉じている。ホテルの幽霊の力を暗示。



ホテルの平図面を起こして想像したり、矛盾をついたりしている。
矛盾も計算されているって、もう十二分に納得。ダニーが三輪車を
どう走らせたか、双子の姉妹とどこで出会ったかの検証とか、面白
すぎ。



原作者のスティーブン・キングが、原作を改作していることに、制
作中からキューブリックへの批判を繰り返したそうだ。監督からの
返事が冒頭のシーンでスティーブン・キング愛車が赤いビートルを
黄色に変えて、走らせた、という話はどうかと思ったど。

コックの主任がかけつける時、国道沿いで雪道のためにクラッシュし
ているのが赤色のビートルであると見せられると、参ったと思う。



などなど、面白さ満載。それもこれも『シャイニング』にたくさん
の謎をキューブリックが仕掛けたからだ。そしてその謎が画期的な
ホラー映画の怖さを生んでいる。

そんなことを知らなくっても映画は楽しめるけど、このドキュメン
タリーを見れば見方が変わる。

ネタバレになるだから書かないけど、原作での部屋番号は“217”だ
そうだ。それを“237”に変えた理由がまた凄い。渋谷シネクイント
では2/14まで。

高畑監督「かぐや姫の物語」

2014-01-15 | 映画
アニメ続きで、ジブリの高畑監督「かぐや姫の物語」のこと。
黎明期のアニメとはぜんぜん違うけど、アニメに魅了されて
いることや、新しい試みをしようという実験精神は共通する。

高畑監督は他のアニメ監督と異なり、絵を描かない。「他人
に描かせることで、革新的なものが生まれるから」と考える。

今回も新しい作り方に挑戦しているから凄い。今は82歳なの
に。制作期間が8年とのことだから、70歳過ぎてから新しい
手法に挑戦してはるとは。そのために新しいスタジオも三鷹
のジブリ内に作ったとか。



従来のジブリと違う、水彩画の様なタッチが生みだす動き、テ
ンポにはまるし、気持ちがいい。竹林が風で揺れるシーンを初
め山の暮らしや風景に心底やられる。京へ移住した住まいや暮
らしのアニメもいいなぁ。





竹取物語は昔読んだきりで、忘れかけていたお話。今回映画を
見て、月というのはあの世のことだと思った。前世までの記憶
を失って地球で生をうけ、月に帰る時に地球での記憶が失われ
ることを知っているとは、まさにこの世とあの世の関係。

清らかで美しく、年をとることもなく心配事もない月の人と
ちがい、地上の人々は喜怒哀楽に身を焦がして、愛別離苦の
情に振り回されている。 高畑監督

でも、だからこそ、かぐや姫は地球に行ってみたかった。幼少の
山での暮らしが理想的だったのに、豊かなんだけど、みやこでの
生活や世俗の欲のかたまりである貴族たちにだんだん幻滅し、月
へ助けをもとめて帰ることになる。

月からの迎えの一団はまさに観音様を筆頭に仏様達。高畑さんだけ
でなく、奈良絵本「竹取物語」などでも仏様たちが描かれている。



月からの迎えの使者が携えた、思い出を全て消し去る天の羽衣は
あまりに悲しい。生まれて生きて、泣いて笑った愛おしい時間が、
無限のように消えてしまう哀れ。

視野別離顔もたらす深遠な忘却悩みに、人はどう立ち向かったら
よいのでしょう。 俳優 山口智子。

大いなるテーマとともにもののあわれが様々に埋め込まれている。

手回し活動写真上映会・続き

2014-01-14 | 映画
地元のギャラリー◯ミで開催された「玩具フィルム
手回し活動写真上映会」
の続き。昨日紹介した、ア
ニメの『なまくら刀』以外に見たものの寸評。

どれも松本夏樹さんが集めはったモノ。活動弁士は彼の
弟子である尼口優樹さんがデビュー。初舞台とは思えな
い慣れた口調。途中でストップして(当時はご法度だっ
たそうだ)説明を加えるのも新手法でよかった。



『血煙り高田馬場』

これだけが実写版。大正昭和の大スター大河内伝次郎が
主演の仇討ちチャンバラ劇。強い強い。余裕あるし。

高田馬場の果たし合いの助太刀に向かうために、彼が江
戸城下から市ヶ谷を経由するシーンが当時の風景(武蔵
野と田畑)を撮ってるのも面白い。

同じ原作を別編集しているバージョンをyoutubeに見つける;

血煙高田馬場 無声映画弁士:元村康人



『あっぱれガル助』(アニメ)
江戸時代の化け物(竜とかっぱ)退治モノ。動きがなかなか。



『只野凡児東京見物』(アニメ)
明治時代の東京見物なんだけど、カット割りが大胆だったり
してとても新鮮。

『カチカチ山』(アニメ)
切り売りしたのを無理くり編集したものらしく、あちこちで
数コマ飛ぶ。有名な話だからそれで行こうって話になったの
か。当時の人はどう楽しんでたんだろう。



使用しはった手回しの映写機は裕福な家庭か地方興行用らし
い。初期の映画興行もみな手回しで、映写技師は1秒に16コ
マを回せる技術が必要だったとか。

電車や自動車も走ってる時代になぜ、手回しだったたかと
いうと、当時の電気は電灯用で一口だけだったと教わる。

それで大正期に松下幸之助さんが二股ソケットを発売して
電灯以外にも使えるようにしたわけだね。写真はいずれも
松本夏樹さんのサイトから。

日本最古の短篇アニメーション映画

2014-01-13 | 映画
昨年11月にオープンした地元のギャラリー◯ミの
第一弾=野性味あふれるリースは壁に飾って毎日
楽しんでる。

第二弾は「玩具フィルム手回し活動写真上映会」で、
黎明期の短編映画の上映会。これにもやれる!

会場は12名で一杯っていうし、「玩具フィルム」だ
から冷やかし半分行ったら、驚きの連続。



まず、用いられているのは35ミリフィルム、当時映画
館興行で使われたモノと同等レベルやないの。

プログラムの1本目が「なまくら刀」。これが、大正6年
(1917)に作られた、映画館上映用短編アニメーション
で日本最古、と聞いて期待と興奮が高まる。



切れない刀を買わされた武士が坊主、飛脚らを相手に試し
切りしようとするが、逆に打ち負かされる物語。2分。1
尺(=約1フィート)16コマのアニメーションが2メート
ル先のスクリーンに小気味よく動く。

音楽がつくのはトーキーからだから、まだ音楽はなし。
カタカタとフィルムを回す音と、活動弁士の声の小さい
声が、部屋で充溢する。



活動弁士役と、手回しフィルム技師役を兼任しはった松
本夏樹さんが2007年、「なまくら刀」のフィルムを発見。

大阪の四天王寺境内の骨董市で、紙筒状のフィルムケース
が無造作に置いてあったそうだ。日本のアニメ映画創始者
の一人、幸内純一っていう人の作品が「発見」される瞬間。



それ以前に松本夏樹さんは日本最古の35mmのアニメーシ
ョンフィルムも京都の旧家から発見してはる。セーラー服
の少年が振り向いて敬礼するという動作のアニメ。これも
見てみたいなぁ。



上映会での他のアニメーションについてはまた明日でも。
引用したアニメーション映像は、松本夏樹さんのサイトより。
彼の記事はたくさんあるけど、このインタビューも秀逸。

吉田六郎・雪の結晶撮影

2013-12-02 | 映画
雪の結晶などを研究した故・中谷宇吉郎博士のことを書い
時に、博士と雪の映画制作を行い、雪や結晶の撮影に生
涯を尽くされた吉田六郎さん(1919~95)のことに触れた。

どんな方だったのかとアマゾンで探すと、谷川俊太郎さん
が詩をつけはった絵本『きらきら』が出てるのでゲット。



きれいだね
てんから おちてきた ほしみたい

きれいだね
とっても ちいさい ほんとうは

微笑ましいなぁ。写真を眺めているといつのまにか、
雪の結晶が大きいものにイメージしていることに気づ
かされられるから。



吉田六郎さんは戦争高揚映画を作っていた日本映画社
に入社(1943)。戦後改組させられ、新生・日本映
画社に生まれ変わる。

若かった吉田さんは中谷宇吉郎の北海道大学低温研究
所に派遣されたのが、新しい運命の始まり。霜の結晶
を映像化した『霜の花』の製作に取り組む中で、企画
製作の東宝映画部が争議のため製作不能に。

撮影、製作チームの吉野馨治さん、小口禎三さん、吉
田六郎さんは日本映画社から機材を借用し、自費を出
し合って、零下10度の北大低温研究室にて立てこもり、
ついに完成したそうだ(1948)。すごい情熱。20分もの。



音楽は後にゴジラ映画に携わる伊福部昭さん。 英語版
をオスロ国際学術会議に出品したり、朝日新聞文化賞を
受賞している。たまに上映会が行われているから、観て
みたいなぁ。



中谷宇吉郎博士はこの3人(吉野さん、小口さん、吉
田さん)や岩波書店小林勇さん、共同通信の記者・羽
仁進さんら共にその翌年、中谷研究室プロダクション
を設立したんだね(1949)。

翌(1950)年には岩波映画製作所となる。写真家名取洋
之助さんが参加し、岩波書店の「岩波写真文庫」の制
作を担当していく。このあたりはまたいつか。



吉田六郎さんは科学映画監督として活躍。監督・演出・
撮影を一人でこなし、教育・科学映画史に残る作品を数
多く手がける。低予算のなかで、制作する方法を見いだ
したというか、確立していきはった。

『雪・結晶の観察』(1960東映)で「1光源2色照明法」
も開発。雪の結晶の標準的撮影法として定着しているそう
だけど、特に雪の結晶の中心部にあ る気泡の形の美しさに
ひかれて撮影したそうだ。

撮影は大雪山のふもとのの勇駒別荘に長期滞在し、雪洞の
中で行われた。方法を確立するとか、結晶のためなら寒さ
を厭わないとか、博士の薫陶を感じる。


勇駒別荘で撮影する吉田六郎さん

中谷博士没後も雪の結晶の写真を撮り続け、1000 点を超
える作品を遺している。

是枝裕和監督『そして父になる』

2013-10-28 | 映画
是枝裕和監督の『そして父になる』を観る。現代の小津安二郎監督、
といったら褒めすぎだろうか。殺人があるわけでもない、警察だっ
てヤクザも出てこない。

普通の家族に降りかかるくる「とりかえしのつかないこと」に2組の
家族がどう感じてどう行動するのか、静かに物語が進んでいくからだ。
以下、ネタバレ満載で。公開1ヶ月たったからいいでしょ。



子供が大きくなって6歳になったとき、病院で子供を取り違えられて
しまったことに、大人たち主導で、驚き悩み決断を下していく。そこ
には子供たちの意見や気持ちはそんなに顧みない、ある意味無視。

福山雅治さん演じるエリートサラリーマンが、ちょっと孤立していく
のがとてもいい。妻役の尾野真千子さんと3人家族なんだけど、彼女
が自分を責めてばかりいるのに手を差し伸べない。

もう一組の リリー・ フランキーさん& 真木よう子さんの大家族
(子供3人、父親同居)は貧しいんだけど、楽しい家族でちょっと
理想的な感じなのね。かっこなんてつけないし、ホンネ丸出し。

「(病院から)どのくらい貰えるんだろうな」



尾野さんも一人っ子の息子もだんだんあっちの家族に惹かれていくの
が、福山さんには面白く無いっていうのも、ほんと台本も演出も演技
もウマイ。その上リリー・ フランキーさんから、子育てが間違ってる
って指摘まで喰らう。シリアスなんだけど随所に笑えるw

「なんで電気屋にあんなこと言われなくちゃいけないんだ」

その上、交換された子どもたちの反撃だ。そういうもんだとか、そうし
ろとか、そういう大人の論理がだんだん崩れていく。ちょっと前まで子
供だったのに、子供の気持ちがわかんない。。



そのまま破綻してしまっては映画にはならないから、最後に揺り戻しも
あるんだけど、でもどうなったかはわかんない。どうなっても終わりが
ない、もう新しい物語が重なっていってるんだから。

STEIDL「世界一美しい本を作る男」

2013-10-02 | 映画
洋書のなかでも美術書や写真集好きにはたまらないドキュ
メンタリー映画
だ。ドイツの地方都市であり、生まれ故郷
のゲッティンゲンに創業した小さな出版社の制作の秘密に
迫る。



STEIDL(シュタイデル)さんという方が創業者で、オーナ
ーで、出版社の名前もSTEIDL。本社スタッフは35名。社長
がすべてを行うこと、印刷所ももっていること、など現代の
出版社では考えられない独特のプロセス。

それで年間200冊近い出版物を世に送るのは驚異的。いくら
部数が少なくても。1日に1冊ペースやないの。


現代美術家エド・ルシェと画集の打合せ。先日の TOKYO PHOTOでも展示。

映画は写真家との打ち合わせシーンの連続。多くは写真家
の仕事場や自宅なので、彼は世界を旅する。

旅は好きじゃない。仕事のためだ。数時間でも直接
打ち合わせをするのが一番早い。2、3ヵ月かかる仕
事も4日間の旅で片付く。

とはいえ、一冊の写真集を作り上げるために、なんども通
うのは凄まじ情熱だ。欧米そしてアラブと世界中を移動す
る。移動中も仕事をするか仮眠をとるか。休みはない。
60歳を超えてるとは想像できない。


「ブリキの太鼓」作者ギュンター・グラス

STEIDLは彼にとって、「出版社というより、作品を作り上
げるための研究室だ」というシーンがある。

この映画監督はフレンチの革命を起こしたレストランのド
キュメンタリー「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれな
いレストラン」を制作したゲレオン・ヴェツェルと、フリ
ーの映画製作者ヨルグ・アドルフ。(映画の感想はここに

エル・ブリも新作料理の研究所を持つ共通点を感じる。アー
ティストに近いディレクター/プロデューサーに焦点をあてて
いる映画だからボクにとって面白い。1年間の密着取材。


写真家ロバート・フランク/すべての写真と映像はSTEIDL

代々木から恵比寿に引っ越したPOSTがSTEIDLを2度特集し
て知った身。この映画のこともPOSTで知ったことはここに
書いた
。代表の中島佑介さんが映画のカタログに寄稿してる。

STEIDLさんは有名な写真家やアーティストだけでなく、無
名な人の発掘にも熱心だという例として、アレック・ソス
さんの初写真集の話もでてくる。増版を楽しみにしている
ことはここに書く



新潮社「考える人」の河野通和編集長の愛着のこもった、そ
してちょっと羨ましさを隠していない紹介文はこちら

STEIDLに関する美術展はスイスとパリで開催され、現在「How
to Make a Book with Steidl展」が韓国・ソウルの大林美術館で
10/6まで開催中だとか。日本にも巡回しないかなぁ。

東京での上映はイメージフォーラム単館。

映画/堺雅人 vs 香川照之

2013-09-16 | 映画
堺雅人さんと香川照之さんが主役で対決する・・といえば
テレビドラマ『半沢直樹』。毎週楽しみで、来週いよいよ
最終回。放映を楽しみにするテレビドラマなんて久しぶり。
『あまちゃん』と2本もあるやからw

そのお二人が主演で活躍する映画が去年公開されていたの
ね、『鍵泥棒のメソッド』。台風で家に籠もってたからDVD
で見る。



堺雅人さんが演じるのが売れない役者で、冒頭、雑然とした
ぼろアパートで自殺未遂する。かたや香川照之さんは凄腕の
殺し屋。手際よく殺しを成功させる。

ところが殺し屋は銭湯で転んで記憶喪失に。たまたま出くわ
した役者と人生が入れ替わるっていう物語。殺し屋は仕事が
できるから、売れない役者という新しい人生に直面しながら、
徐々に役者として腕を上げてしまうっていう設定が最高!
役者が下手な役者を演じるって。



ぼろアパートはきれいに片付けちゃうし、演劇論も数冊読破
しちゃうし、記憶や経験をノートに几帳面に書くし。

いっぽう殺し屋になった堺雅人さんは、それっぽいふりは、
なんとかしようとするんだけど、だからって本物の殺しが
できるわけもない。



香川照之さんが記憶が戻った時、どうなっていくのかという
のが映画の見どころなんだけど、脚本も書いた監督が一点お
おきな仕掛けというか騙しが仕込まれていて、あっとなる。

だまされたことに気づくのは大分後半だから、また映画を観
たくなるw 監督は内田けんじさん。これまで手がけたのが
運命じゃない人(2005年、監督・脚本)
アフタースクール(2008年、監督・脚本)
と、とても好きな映画だ。

騙しがスタイルというか、舞台の様な設定が快感をうむ。基
本喜劇だし。必ずピストルとヤクザからむし。



2012年9月とちょうど一年間の公開。『半沢直樹』のドラマ
化にあたって関係者はこの映画もヒントになって、主役の二
人を決めたのでは。まだでしたらオススメ。

脇を固める、広末涼子さん(婚活にはげむ役!)森口瑶子さ
ん(愛人の役!)荒川良々さん(ヤクザの役!!)も見どころ満載。

引退・宮崎駿監督

2013-09-07 | 映画
ジブリの宮崎駿監督が記者会見を行って引退を正式に発表。
長編アニメーションの制作にはタッチしない、とのこと。
おつかれさま、とお伝えしたいけど、ちょいと寂しい。

ジブリ美術館展示の手直しはやるそうだし、短編は手がけ
るかもしれないけど、もう彼の長編アニメは見れない。



長編アニメを11本。11本しかなかったのだろうか、もっと
たくさん見た気もする。ずっと映画館で楽しむことができた
のはちょっとした幸せだし、日本人としての誇りも感じる。

記者会見の中で、描かなきゃいけないタイプだと話している;

僕はアニメ映画出身なもので描かなきゃいけないんです。
どんなに体調を整えて節制しても、集中していく時間が
年々減っていくことは確実なんです。実感しています。

打ち合わせとか、これをああしろとかこうしろとかは
僕にとっては仕事じゃないんですよ。それは余計なこ
とで、机の上に向かって描くことが仕事で、その時間
を何時間とれるかっていう。

打合せや指示している時間は仕事でないというのが
強烈に響く。ボクは打合せや指示や相談が多いから。

では違うやり方をすればいいじゃないかという意見があ
ると思いますが、それができるならとっくにやってます
からできません。

ということで僕は僕のやり方で自分の一代を貫くしかな
いと思いますので、長編アニメーションは無理だという
判断をしたんです。



何万枚も描く。ジブリ美術館に行った時、ゲド戦記だっ
たかのすべての絵が重ねて置いてあった。膨大。一秒に
24コマ分必要だからね。

『風立ちぬ』は16万枚を越えるそうで、作画枚数をグラ
フにした人
がいるけど、意外に作画枚数が増えているこ
とがわかる。上映時間も伸びてるみたい。



宮崎監督が引退を事前に相談したことはなさそう。記者会見
では、鈴木プロデューサによれば『風立ちぬ』の初号(試写)が
あったのが6月19日の直後にあって、今回は引き留められない
って感じて納得。

『風立ちぬ』を公開して落ち着いた時期、8月5日に社内ではみ
んな(スタッフ)へ伝えたそうだし、ご家族には奥様が最初で、

家内にはこういう引退の話をしたという風に言いました

たぶん、この8月5日に社内で話した直後に伝えたと思う。スタ
ッフやご家族と相談した感じがしない。残るは外部か?ボクの
印象だけど、やはり誰にも相談せずに、自分で終えようと決め
たんだと思う。

『風立ちぬ』を描いているなかで、何度か頭をよぎったはずで、
胸の奧にしまいながら、制作に取り組んだのだろう。そう思い
ながら『風立ちぬ』をもう一度見てみたい。ほんと長い間ご苦
労さまでした。ありがとうございました。



最後にマイナビニュースに載った「公式引退の辞」を転写し
ておこう。そこには記者会見の全文書き起こしもある;

「我ながらよく書いたな」と思った「公式引退の辞」(全文)

ぼくは、あと10年は仕事をしたいと考えています。自宅と仕事場を自分で運転して往復できる間は、仕事をつづけたいのです。その目安を一応"あと10年"としました。
もっと短くなるかもしれませんが、それは寿命が決めることなので、あくまでも目安の10年です。
ぼくは長編アニメーションを作りたいと願い、作って来た人間ですが、作品と作品の間がずんずん開いていくのをどうすることもできませんでした。要するにノロマになっていくばかりでした。
"風立ちぬ"は前作から5年かかっています。次は6年か、7年か……それではスタジオがもちませんし、ぼくの70代は、というより持ち時間は使い果たされてしまいます。
長編アニメーションではなくとも、やってみたいことや試したいことがいろいろあります。やらなければと思っていること――例えばジブリ美術館の展示――も課題は山ほどあります。
これ等は、ほとんどがやってもやらなくてもスタジオに迷惑のかかることではないのです。ただ家族には今までと同じような迷惑をかけることにはなりますが。
それで、スタジオジブリのプログラムから、ぼくをはずしてもらうことにしました。
ぼくは自由です。といって、日常の生活は少しも変わらず、毎日同じ道をかようでしょう。土曜日を休めるようになるのが夢ですが、そうなるかどうかは、まぁ、やってみないと判りません。
ありがとうございました。




松尾スズキ初監督「恋の門」

2013-09-04 | 映画
明日、松尾スズキさん作・演出「悪霊」を観に行くから、
彼が初監督した映画「恋の門」(2004)をDVDで観たこ
とを書いておくね。

原作は羽生生純さん「恋の門」。 タッチもディープなら
扱ってるマンガも、コミケ系、アート系とディープだけ
ど小ネタ満載。



松尾スズキさんは、この漫画好きなんだろうし、劇団「大
人計画」を旗揚げする前は漫画家を目指していたから、撮
りたかったのか、撮れると思いはったのかも。

自称漫画芸術家=松田龍平さんと元売れっ子漫画家=
松田スズキさん、サブカル系漫画家でOL=酒井若菜さん
の三角関係が軸にサブカル系シーンを背景にテンポよく
進む。



松田龍平さんは貧乏で童貞だけど志は高く(大竹まことさん
演じるお父さんが保守的な画家で反発してる)、売れない
漫画家っていうより美術系大学出の現代アーティストって
感じ。



気位高いんだけど、酒井若菜さんのかわいさに、溶けて
しまったり、離れようと旅にでたりする役どころがお互い
いい。ほんと酒井さんかわゆくって熱演。

松尾スズキさんは、マンガ家を引退して凝ったマンガバー
の店主って役。「あまちゃん」のアイドルカフェの店主を
ここで先取りしてたってわけw



ちょっと引いた覚めた傍観者なんだけど、酒井若菜さんに
恋とマンガへの情熱を覚醒させれる役どころが面白い。

コミックマーケットの場面に安野モヨコ・庵野秀明夫妻、
しりあがり寿さんがでてるのは見なおしてわかる。原作者
の羽生生さん本人も出演してるそうだけど、どの人かわか
らんちゅうにw

忌野清志郎さんが、松田龍平さんの下宿の同居人として、
3回位登場するのも、懐かしく、嬉しい。ミュージカルみ
たいにみんなが踊るシーンのギター役でも登場し、エンデ
ィングの「恋の門」も歌う。