持続可能な国づくりを考える会

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大井玄より当日の質問への解答

2006年12月07日 | パネリスト
 皆さんの質問を読んだ限りでは、1)閉鎖系の倫理を行き渡らせるためには日本型よりもヨーロッパ型のほうが参考になるのではないか、2)アメリカ人の意識を変えることは困難ではないか、3)現状分析は説得力があるが解決の方向性がはっきり見えない、の三点に絞られているように思います。 それぞれの質問のいくつかについては、会場でもある程度はお答えしたと思います。


 1)の指摘のついて、世界的な規模で考えるならヨーロッパ型のアプローチしかありません。 多くの国がコンセンサスを形成し温暖化ガスの放出を制限する、という手法は京都議定書として結実しました。 そこには、カントが唱えた「永久平和のための世界政府」という理想が――もちろんずっと緩やかな不完全なかたちですが――ヨーロッパ人には見えているように思います。 日本の場合は、江戸時代幕府主導型の緑の保全政策があったとジャレッド・ダイアモンド(Collapse-how societies choose to fail or succeed 日本語訳あり)が指摘しています。 つまり、一国規模でも世界規模でも、「中央政府」が賢明な政策を策定し、それに皆が協力できる体制があるか否かが、集団の将来を決めるらしい。 (ダイアモンドは、沢山の事例をもとに、人間がどう環境の人間収容能力の制約下で存続し続けたか滅びたか、その存続条件を提示しています)
 京都議定書が地球温暖化の進行を食い止める上で、現在もっとも「賢明な政策」に近いものであることには異議がないでしょう。 しかしアメリカはそこに参加しなかった。 私がシンポジウムで指摘したのは、アメリカのその方針は、アメリカという国を建国する上での生存戦略指針に基づいており,そしてそれが倫理意識化されているという事実です。 それは心理の側面、経済システムの側面、医療制度の側面などに切り離しようなく現れている。 戦略は戦術と違ってそんなに容易には変えられない。 ましてや「生存」に直接関連した戦略意識つまり倫理意識はすぐには変えられません。  
 
 以上の論旨から2)、3)の点に対する私の答えを読み取っていただければと思います。
                              大井玄

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上記は、シンポジウム当日にいただいた各パネリストへのご質問に対する直接の回答です。
今後、各パネリストの回答を順次アップしていく予定です。
当日の時間の制約をこのブログで補えればと思っております。

事務局齊藤


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