ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

Play back ちいチャン物語(134)しるし

2017年04月26日 23時53分14秒 | 日記

ちいチャン物語は、133話めに一旦終了の告知をしましたが、まだ少しだけ続きます。

ちいチャン物語134話「しるし」

ちいチャンとおばあちゃんは、海に沿った道を歩いています。

ふと見ると、電信柱や塀に何かしるしが書いてあります。

おばあちゃんは立ち止り、じっとしるしを見ています。

「ちいチャン、これはな、津波の波がここまで来たというしるしなんだよ。」

と、おばあちゃんが言いました。

そのしるしは、小さいちいチャンの背丈より、ずっと高い位置にありました。

ちいチャンは、泳げないので、

(こんな高さまで波が来たら、おぼれてしまう。)

と、思いました。

近所の人が数人出て来て、おしゃべりを始めました。

「津波が来た時、うちのばあちゃんは、庭の木に登ったそうだ。」

「若だんなは、電信柱に登ったんだと。」

「生きた心地がしなかったそうだ。」

と、伝え聞いた話を始めました。

そして、ちいチャンは、おばあちゃんに、

「おばあちゃん、浮き袋をふくらませて、枕のとこに置いておく。そして、津波が来たら、浮き袋で泳ぐよ。」

と、言いました。

おばあちゃんは、返事をせずに、小さく微笑むだけでした。

今、大きくなったちいチャンは、

何も言わなかったおばあちゃんの頭の中を、覗いた気がします。

おばあちゃんは、どんな気持ちで、電信柱や塀のしるしを見ていたのかと。

 

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Play back ちいチャン物語(132)咳が止まらない夜・その2

2017年04月26日 00時11分15秒 | 日記

コンコン!コンコン!コンコン!コンコン!

布団の中で、ちいチャンが咳をしています。

コンコン!コンコン!コンコン!コンコン!

止まりません。

おばあちゃんは、台所に行って、ネギを火であぶります。

ネギに少し、焦げ目が付きました。

おばあちゃんは、そのネギをガーゼに乗せて、くるくるっと巻きました。

「ちいチャン、これを首に巻きなさい。」

と、言って、おばあちゃんは、ネギをくるんだガーゼを、ちいチャンの首

に巻きました。

焼いたネギは、少し温かいです。

首に巻いたネギは、ネギの匂いがします。

ちいチャンは、ネギの匂いに包まれなから、うとうと眠ってしまいました。

翌朝、首に巻いたネギは、ぐるっと首を回って後に行っていました。

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