ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(26)「夏の訪問者」

2022年03月03日 18時52分00秒 | 日記
ある夏の日、
ちいチャンの家の中に、巨大な黒いトンボが入って来ました。
トンボは、開け放した縁側の、一番奥の部屋からスイ~~~~~~っと飛んで
来て、ちいチャンの目の前をまっすぐに通り過ぎ、どこにもぶつからずに、ま
たスイ~~~~~っと玄関から出て行きました。
あまりに巨大なので、ちいチャンは、思わず逃げそうになりました。
至近距離10センチ。
玄関から出て行った時は、
(あ~、良かった~、恐かった!)
と、思いました。
後になって、それは、「オニヤンマトンボ」というのだとわかりました。
男の子たちが、とても欲しがっているトンボのようでした。
それから、また別の日の夜、
ちいチャンが外にあるトイレに行こうとすると、門の外灯の灯りに誘われて、
大きな虫が、羽音をさせて飛んでいる時があります。
それはカブトムシだったり、クワガタムシだったり。
カブトムシは、門にぶつかって下に落ち、仰向けになって手足を、モジャモジ
ャと動かして、起き上がれないでいたりします。
ちいチャンは、おばあちゃんを呼びに行きます。
「おばあちゃーん!変な虫が落ちてるよー!」
おばあちゃんは、カブトムシをつまむと、庭の木の枝につかまらせてあげました。
翌朝、ちいチャンが庭の木を見ると、カブトムシはいなくなっていました。
(山に帰ったんだな~。良かったな~。)
ちいチャンは、家の裏の山を見上げました。
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