ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいちゃん物語(45)『柱時計とおじいちゃん』

2024年01月01日 21時10分48秒 | 日記
玄関を入ってすぐの部屋の壁に、柱時計がありました。
おじいちゃんは、時々、この柱時計のネジを巻きます。
家のどこからかネジ巻きのネジを持って来て、踏み台に上がり、ガラスの扉を開けて、
ジーコジーコとゆっくりとネジを巻きます。
そして、
「今、何分だ?」
と、おばあちゃんに聞きます。
おばあちゃんが、小さな時計を見て時間を言うと、おじいちゃんは、時計の針に手を
当てて時間を合わせます。
時には、時計の針をぐるっと回し、ボーン!ボーン!ボーン!と音を出させる時もあ
ります。
そして、振り子を軽く動かし、ガラスの扉を閉めます。
柱時計のネジ巻きは、おじいちゃんしか知らないらしく、おじいちゃんだけの仕事で
した。
柱時計は、30分には1回ボーン!と鳴ります。
それから、時間になるとその回数だけ、ボーン!ボーン!と鳴ります。
振り子は、右にコッチン!左に、コッチン!と音をさせています。
コッチン!コッチン!コッチン!コッチン!
振り子の音は、おじいちゃんの眠気を誘います。
おじいちゃんは、ひじ掛けみたいな枕に頭を乗せると、いびきをかき始めました。
柱時計とおじいちゃんの、のどかな昼下がりの光景です。
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