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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

大麓山山頂

2008-06-18 | フィールドから
・樹木園にてIくんをピックアップして大麓山登山。アウトランダーはパワーがないが,なんとか登山口まで到着。登り始めると,うっ,きつい。やはり運動不足のつけが。二日酔いの影響もあいまって・・・。傍らの高山植物が疲れを癒してくれる。それにしてもいい天気である。



・長めのいいカーブで写真を撮る。この広がりを切り取るのは難しい。と,後で写真を見ると何か不思議な影が映っている。このサイズでは見えないのだが、UFO疑惑?



・チシマザサの開花幹。昨年もごく近い場所で開花していたので,もしかするとあるクローンの咲き残りかも。とにかく,ササは何があるかまるで分からない。「ササだけに・・・」というKさんの言葉は重い。



・高山ロガーからのデータ回収。あれれ,どうにも値がおかしい。高すぎるのでは・・・。直射日光の影響を受けてしまったのか,あるいは雪に埋もれたのか・・・。はたまたロガーの故障か・・・。ロガーを設置しなおしなどをしていたら,あっという間に時間が経ってしまった。高山の1350m付近のロガーは大丈夫のようである。と,車に戻ると早くも11時すぎ。午前中で終わるという見込みは甘すぎた。

・11林班はアカエゾマツの集団でTくんも気に入った様子。サイトとしてもいいところに位置している。ロガーデータも無事に回収。4林班のハクサンシャクナゲが発見されたというところにいく。この付近の林は岩ががらがらしており,かつてはナキウサギもいたという・・・。「ちょっと歩くんすよ・・・」という言葉に「ほいほい」とついていくと,いきなりの直登で息が切れる。へとへとになりながら,ようやく現地到着。

・森林としてはフツーのところで,ちょっと不思議な感じである。確かに付近にはアカエゾマツがあるものの,優占するというほどでは到底ない。シャクナゲは5-6株といいたいところだが,全てがつながっている1クローンでは?という疑惑が・・・。皆で何か面白い題材がないか,現地で頭をひねる。いかにしてサイズを測るかという議論で盛り上がる。確かに,胸高直径というのも変な値となりそうである。Tくんのアイデア,葉の枚数を数える,というのは面白い。少し根を見てみると,かなりつながっていそうな予感・・・。実生か伏条更新かというのは案外と簡単に判別できそう。まずはクローンかどうかを調べてみることに・・・。

・27林班もアカエゾマツの着花はパラリ・パラリ。今のところ,最初にみた90林班が最も良かったような気がする。前山の湿地林は上下ともにまるでダメ(一昨年開花)。高山帯もほぼなし(昨年開花)。11,26,27林班はパラパラとというところ。全体としては,“並みの下”というところか。興味深いのは,個体群間で豊凶が同調しないところだ。もし,気温などがトリガーになっているとすれば,そんなに地域内で変化があるとは思えないのだけれど・・・。今のところ,仮説するないけど,少し気になるお話である。



・だいぶ予定より遅れて樹木園到着。カウンターを借りて,トドマツ標高別試験地の見本林の雌花をカウント。実は5月9日の霜で,雌花のかなりの数が障害を受けている。これもせっかくなので記録できる限りしてみようということで,カウンターを持っておのおのがカチカチと・・・。数え残しや測定ミスというのはありそうで,最終的には50以上は50区切り位でカテゴライズするのがよいかもしれない。それでも実数があるとやっぱりイメージが湧く。雌花の数は個体差が非常に大きいのだが,標高間でどういう関係になっているのか・・・。明日の調査でデータが出揃う予定である。

水位計

2008-06-17 | フィールドから
・Kさんと合流。アカエゾマツの調査へ。今回の主目的は、新たな4サイトへの温湿度ロガーの設置と湿地3サイトへの水位計の設置である。なぜか,UくんとTくんも一緒に行くことになり,5人でわいわいと調査。その前に、樹木園のOさんをトラップし,水位計を設置するための道具の製作をお願いすることに・・・。頼ってしまうのだが,今回は注文している当方にもイメージが湧かないという無理難題。しかし,そこは職人魂とでもいうべきか。見事なエンビパイプの工作物を作っていただいた。感謝。



・まずは90林班の調査地へ。と,その前に北海道らしいランドスケープを写真に収める。農地・カラマツ林・天然林と移行する景観。スイスの牧草地から天然林に移行するランドスケープにも通じる景色。これは講義で使えそう。林内に入ると、いきなりエゾシカに遭遇。まるで、逃げない。ここまでくるとかわいいというよりも、ふてぶてしくも見えてくる。



・水場を過ぎたところで,クマイザサの一斉開花に遭遇。これは立ち止まらないわけにはいかない(というのも,Kさんはササ愛好家&専門家だからだ!)。黄色と紫色の二型が確認できる。小規模の開花はあちこちで毎年見られるが、これだけの規模は初めてだ。これなら種子が取れそうという,Kさんのお墨付き。



・すんなりと90林班調査地へと行き着けるかどうかが問題だったわけだが,まっすぐに90林班到着。おやおや,アカエゾマツは,結構,球果がなっている。ロガーを設置して,13林班湿地林へ。問題の水位計設置である。泥を抜くという作業が手間取っているのだが,実は抜く必要もなかったことが後で判明。うまく押し込んで地表からロガーまでの長さを測る。73cm(コケ3cm含む)。なんとも奇怪なロガーとなったが,これでネズミ対策も万全のはず。温湿度ロガーからのデータ回収は無事終了。



・5月10日朝の霜についてデータを眺めてみると,午後10時過ぎから-2.7℃の温度になっている。最低気温は10日の午前3時ごろで-3.7℃にも達している(ここの標高は700m程度と高いせいもあるが・・・)。午前8時40分まで-2.4℃が続き,9時以降にはプラスに転じている。これは樹木には厳しかったわけである。K林長の解説(つぶやき?)はなるほど納得である!

・昼食後,前山下で再びロガー設置。ここではアカエゾの豊作を期待していたのだが,実はまるで球果が見られない。上湿地はさらに衰退していることが確認され、ここも同様に不作。3箇所の水位計設置はめでたく完了。25林班に向かう。25林班では多少の開花が見られる。

・4時過ぎに樹木園到着。みんなの目を総動員して,苗畑のエゾマツ実生調査をやってしまう。新しい発芽は少なく,立ち枯れで消えていくのがちらほらと。1箇所だけは,前の数値とどうにも合わないプロットがあった。が,Uくんがサブプロットの順番の謎解きをしてくれてめでたく完了。



・5時半ごろから皆さんと焼肉飲み。Uくんがダニにかまれるが,Kさんの”ダニ専用ファジーな毛抜き”によって見事に完全に抜き去ったという快挙もあった。そんなこんなで,実に楽しく夜は更けいき・・・。合宿での二次会にて、HBCが撮影した演習林のビデオを皆で見てみると,これは実によくできている。前半27分は講義で見せても良さそうである。

エゾマツ播種試験

2008-06-16 | フィールドから
・5時起床。気がつけば7時前に空港に着いている。ラウンジでトマトジュースを飲むと,早くも搭乗の時間となっている。少し遅れたものの,11時には富良野に到着。久しぶりにTさんと再会。麓郷集合になっているため,途中のコンビニに立ち寄って弁当を調達。レジでふと見上げると,なじみのある顔である。バスケットで一緒に応援していたIちゃんのお母さん。さすがに驚きつつも,レジを完璧にこなすあたりはさすが・・・。Iちゃんも中学でバスケットをやっているそうで,頑張っているとのこと。



・麓郷にて皆さんと集合。麓郷には穴あきの丸太が並べてあり、嫁入り先がいよいよ決まったらしい。昼食後、標高別の試験地を見に行く。自生と外来を含めた13種が4標高に植栽され,現地適応を調べているという試験地。気になりながらも,手をつけられなかった試験地の一つである。海外では例があるが、日本ではこれだけの規模は他に類を見ない。



・930mの試験地でもアカエゾマツはかなりの生存率で全個体の樹高を調べるのは大変そうである。730m,530mでも然り。530mでは隣がシラカバだと既に成長に影響を受けており,これらを外す必要がある。全個体をやらないとすれば,いかにして適切に個体を選ぶかが課題になりそう。



・Iさん,第二掛の皆さんに手伝ってもらい,エゾマツの天然林播種試験の現場へ。いきなり道に迷ってしまった。高標高では、新たな発芽がかなり見られる。相変わらず,ピートブロックは平均的にいい成績を残している。当方の提案のピート板はぱらぱらと発芽が見られるものの,今ひとつ伸び悩み。かえって,保水力が高すぎるのが悪いのか・・・。これからの推移に注目、である。

武蔵野

2008-06-15 | その他あれこれ
・”武蔵野の遺跡を歩く-郊外編-”という本を図書館で借りた。この本を読むと、この付近には実に多くの遺跡がある。その中で”八国山の遺跡を歩く”というコースの一部を試してみた。



・西武園からバスで将軍塚まで行き、そこから八国山緑地の散策コースを西武園へと戻ってくるというコース。八国山という名前から、鋭い人はピンと来たのかもしれないが、実はこのコースには、”となりのトトロ”でお母さんが入院していたという”七国山病院”のモデルになった場所がある(ていうか、だから七国山だったのか!)。



・ここがそのモデルになった場所”ほっこり広場”。オニグルミの実がパンパンになっていた。この散策コースはよく整備されていて、実に気持ちがよい。市民の人たちも大勢、散策している。



・この付近、狭山丘陵は”武蔵野の雑木林”としての面影を強く残すコナラを主体とした二次林である。今回の目的の一つはこの雑木林を見ることにあったわけなのだが、木漏れ日の雑木林を堪能。

ゾウさん

2008-06-14 | その他あれこれ
・幼稚園の父兄参観。一緒にゲームをしたり、レーシングカーを作ったり、歌を歌ったり・・・。初めてクラスのお友達をゆっくり見れたので、ようやく名前がよく登場するお友達の顔が分かった。父の日ということで、言葉を添えて、プレゼントをもらう。「いっぱい虫を採ってくれて有難う」という言葉。やはりそれが一番の存在意義だったのか・・・。予想はしていたけどね。

・壁には「お父さんの顔」が一面に貼ってある。当方の顔がどうも妙だ、と思いながらふーむと眺めていると、心配をしたのか、先生がわざわざ駆けつけてくれて説明をしてくれる。「お子さんがどうしても、”ゾウさん”を描きたいとおっしゃって・・・」。そうか、ゾウさんが笑っている顔だったのか!しかし、みんながお父さんの顔を描くときに、一人でゾウさんの顔を描くとは・・・。子どもに聞いてみると、「だって、ゾウさんの顔を描くのが大好きなんだもん」。そうだったのか!?



・実は今日は、もう一つスペシャルなイベントがあった。さるお方からなんと、”オオクワガタ(!)”をつがいで分けていただいたのである。これは、そのお方がとある森で捕まえた”つがい”を育て、卵から孵したという、なんとも貴重なもの。ウチの子があまりにも(?)虫にはまっているという噂(1?)を聞いて、譲ってくださったのである。当方も、さすがにオオクワガタを見るのは生まれて初めて。黒々とした姿はクワガタの王様。申し分なく、かっちょいい!

ハチの話

2008-06-13 | 研究ノート
・今朝、樹液の出ているクヌギにオオスズメバチが来ていたので気をつけてね、という話をTさんにしていたところ、お昼には「やっつけた」と淡々と語ってくれた。樹液に集中して背を向けているところを狙ったとのことだが、すごい早業である。ハチといえば、狩バチが尺取虫を捕らえたところを発見。こうしたシーンを間近でみるの初めてである。



・本日は、午後から当試験地で実習がある。この実習もここで見るのは初めてなので、様子を見に行く。生物の分布について、ランダム分布か集中分布かを調べるための題材として、ノイバラに着く虫こぶ”バラハタマフシ”の分布を調べるとのこと。



・学生達にくっついていくと、なるほどノイバラには金平糖のような虫こぶがついている。これはバラハタマバチというハチが産卵したあとにできるものらしい。この事実自体はよく知られているようである。が、この虫にさらに別の虫(ヒメバチ?)が寄生する(といっても、これまた単純ではないらしい・・・)とこぶの形が変わるらしい!ちょっと調べていると、ノイバラと虫たちなどという本まで出ていることが発覚。いやはや、すごい世界である。

マニュファクチャー

2008-06-12 | 研究ノート
・朝から激しい雨。蛍光色の合羽を着こんでの出勤。雨が降るとこの時期でも部屋の中は結構寒く、未だに電気ストーブが手放せない。全体的にじめっとしているこの部屋が多少なりとも乾燥する気もするので、なかなか有用である。

・10時からIくんとの論文打合せ。会う直前の30分ほど前まで、せっかく構築したイントロを、ほぼ完全に書き変える必要があるのではないか、と思っていたのだが、実は、大幅修正する必要はないことが判明。それでも、議論する中で、少しずつ、主題がはっきりと見えてきた気もする。日本語の時には何気なく通過していた解析も、英語にしようとした途端、引っ掛かったりする。英語のフレーズが論理的思考に向いているのか、言語の不自由さが論理的思考を促すのか、少し面白い感覚である。

・茨城のTさんに富良野のブナ産地別試験地の晩霜害の話をしたところ、来週の北海道行きでTさんも合流することが急遽決定。今回の出張では、関東にいる人ともなぜか富良野で再会、という感じになりそう。たしかに、今年度のブナの晩霜害はK林長が既にデータを取っていてくれているそうなのだが、そうそう経験できるものではないので、一度自分でもチェックしておいた方がいいことは間違いない。

・富良野での調査を前に、調査シートの印刷など。こうした野帳を準備しておかないと、後で痛い目に合うのは自分である。今度は、忘れたからちょっと取りに戻るってわけにはいかないもんねえ・・・。エゾマツ、アカエゾ、ブナ、トドマツ、と次々とデータシートが印刷されていく、うん?こんなに調査できるのか・・・。

・気がつけば既に4時を過ぎている。ほとんど何もしていない気がするのだが、あっという間に、今日という一日が終わりかけている。あまりの脱力感に、となりの建物にふらりと舞い込む。彼の地では、とある実験用具を製作するために、みんなで家内制手工業のようなことをやっている。お菓子をつまみながら傍で見ている分には、実に楽しそうである。



・朝からの雨がウソのように晴れ上がった(天気予報はすごい!)。試験地内には、4倍体のスギなど育種材料を集めたエリアがあるのだが、そこには針葉樹(スギ)の葉緑体ゲノムが父性遺伝であることを示した材料”黄金スギ”も植栽されている。西陽に輝く黄金スギは、これまたなかなか美しい。

忘却の彼方

2008-06-11 | 研究ノート
・梅雨に入った東京では、多くの花の時期は終わり、今咲いているのは梅雨を代表するアジサイくらいのものである。その色はうすいブルーから白、ピンクと鮮やかである。







・試験地内には十数種類のカエデがあるのだが、多くが種子をつけており、そのサイズや色は様々。まずは種ごとに比較をすると面白そうである。

・パソコンがついていると、ついメール連絡などをしてしまうので、しばらく消して文献読みに集中。ブナ関連の更新初期課程の論文を数本読む。Shibata & Nakashizuka(1995)Ecologyなど。やはり、主題がはっきりしている論文は読みやすい。こうした文献をテーマごとにまとめて読むと、足りない部分が見えてきたり、論点が整理できそうな予感がある。

・来週から再び富良野出張の予定。いくつか連絡を取ってたり、GPSデータをアップロードしたりするうちに、ようやく頭がアカエゾ・モードになってきた。ロガーを直射日光や雪から守るためのカバーなど、多少の工作もしないといけないのだが、これがまたあまり器用じゃなかったりするんだよねえ・・・。

・忙しさにかまけて後回しにされ続けていたアカエゾマツの針葉の形態解析(SHAPE)を復活。SHAPEを動かす上での細かい設定だけでなく、そもそも、どこまでが終わっていたのかなど、根本的な部分が恐ろしいくらい忘れさられており、思い出すのに30分くらいかかってしまった。やっぱり、早めにデータにしておかないと、ヒトの(いやもとい、当方の・・・)記憶なんて、あてになるもんじゃない。

・校閲から戻ってきた原稿の担当部分をチェックする。ちなみに、同じモデルをトドマツの種子散布データに適用すると、なるほどマングローブの種子散布の特徴が際立つような気もしてくる。一度コードを書いてしまえば、少しデータセットを直せば、簡単に動かせるのがいいところである。

春雷

2008-06-10 | その他あれこれ
・昨晩の春雷はすごかった。近くで落ちたのではないだろうか。今日は一転、いい天気である。午前中、ハチのアレルギー検査ということで、連れ立って近くのクリニックへ。やたらと明るいロビーでは、常連らしき人々が集まっており、お年寄りの社交場となっている。

・午後から会議やら、電話連絡・メールなどなど。で、気がつけば陽が傾いている。一体何をしておるのやら・・・。試験地内をくるりと回りながら、何か”ひらめいかないかな・・・”と散策してみるものの、かつての旭化成のCMのように、そう簡単に思いつく、というものではなかった。

JFK

2008-06-09 | その他あれこれ
・弥生で会議二件。色々と締め切りが迫っている案件が多くなってきた。今週中には片をつけないとまずいものも多数あり・・・と。弥生の行き帰りの電車で,伊坂幸太郎の“ゴールデンスランバー”を読破。JFK暗殺の犯人とされた”オズワルド”を題材にしている異色なジャンルの小説である。

・登場人物もそれほど多くなく,最初はなかなかキャラクターに感情移入できずにいたのだが,途中から一気に引き込まれてしまった。一見無駄のように思える小さなこぼれ話が実は伏線になっていて,見事なくらいつながっていく。読み返してみると、すごいとしかいいようがない。詳しく書くとこれから読む人には悪いので、「読んだ後から、すぐにもう一度読み直したくなるような小説だ」といっておこう。



・子どもが幼稚園の帰りにきれいな虫を見つけたというので、調べてみると、ルリカミキリらしい。本ブログもだんだんと都会のマイナー昆虫図鑑的になりつつある。

・トドマツ交雑論文の投稿がようやく完了した(らしい・・・)。相変わらず、投稿プロセスの複雑さには参ってしまうが、ようやく1本は手元を離れたので一安心(している場合じゃないけど・・・)。