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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

花粉の少ないスギ採種園

2007-03-02 | その他あれこれ
・北海道は花粉はまだ飛んでいないはずだ(が、実は少々、鼻の調子がおかしい)。本州では、もはや花粉の最盛期になっているようで、マスク着用率が増えていることだろう。当方も”富良野市”でもっとも症状が重い患者と断定され、毎年、通院して治療を受ける代わりに、樹木種の花粉散布状況をレポートするという妙な契約関係(?)が続いている。ちなみに、育種の分野では、花粉の少ないスギを作出する、というのが大きなトピックとなっており、色んな方面で研究が進められている。

・雑誌”林木の育種”の最新号が届いたので、何気なく見てみると、花粉の少ないスギにまつわる報告がある。タイトルからしてすごいのだが、”花粉の少ないスギミニチュア採種園の雌雄花着花性と結果率について”となっている。今回の報告では凶作年における採種園構成クローンの雄花量、雌花量、結果率などのクローン変異、採種園内の位置と結果率の関係などが示されている。それはいいのだが、通常の採種園よりも、花粉の少ないスギの採種園の方が20%程度も結果率が低かったらしく、それについても触れられている。

・結果率が低かった要因として、花粉の少ないスギを構成木に使用したために、花粉量が不足したのではないか、という文脈がある(ここで当方はぶっとんでしまったわけですが・・・)。花粉の少ないスギ自体は、当方にとっても朗報なので、大いに進めてもらいたいところだけど、やっぱり花粉の少ないスギの採種園ってのは、言葉からして矛盾しているんじゃなかろうか。つい近年まで、どうやって花粉をたくさん着けさせて、健全な繁殖をさせるかが、採種園の命題だったわけだし。この迷走感が何とも・・・。

・徐々に迫りつつある生態学会シンポの準備。Kさんから3月14日が締め切りだという連絡が来る。ところで、このシンポのタイトルは、「高山帯・亜高山帯の生物集団の維持機構ー遺伝子流動の観点からー」とあるのだが、全然、その観点からまとめていないことに気がついた。自分の発表内容を見ると、いかにも林学(実学)的で、基礎生態学が弱いところが実に露呈している。

・どうしても種子産地とか復元生態学といった方面に関心が向いてしまい、個体群維持機構とか進化生態学的解釈とかが”おざなり”になってしまう。そもそも、自分はこのシンポの話題提供者として適任なんだろうか・・・とだんだん自信がなくなってくる。と、ぼやいていても仕方ないんで、こつこつと作成。1)植栽地全体の解析で適応の有無を検出、2植栽地を標高によって分割して、それぞれに適した種子産地を評価、3)復元生態学的な観点での応用、という流れにすると、少しすっきりしたような気が・・・。

・先日からtexの導入について進めているのだが、texを動かすプラットフォーム(?)とも言うべきMeadowという代物がなかなかの強敵だ。ちょっといじっているうちに元のことができなくなったりして、2歩進んで3歩下がるといった感じ。散々Iくんの手を煩わせた挙句、ついにMeadow上でRが起動するようになった。やはり、.emacsは微妙な代物であった。いやあ、Iくんにはまたもやお世話になってしまった(申し訳ないっ)。ようしこれで、いよいよ新しい世界に突入じゃー。