死んだら談志2024

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回文は行く その九十六

2006年03月10日 00時00分56秒 | Weblog

キスがずれ咲くか若草レズが好き

もう時効だから、いいかな‥って話を。
祖父は今でいうヘヴィスモーカーの部類だった。
ただ喫い続けるというタイプではなく、
かなりキツイやつを好んで喫う、いわゆる煙草呑み。
重い木を手前に倒して机にする座卓。
その中に缶入りのピース、通称缶ピーがあった。
煙草の匂いは嫌いではなかった。いや好きな香りとして馴染んでいた。
よく煙を輪ッかにして吹きだし、膝に抱いた孫を楽しませた祖父。
その場所は甘い香りに充ちていた。
可愛がられた孫は小学生2年生になったある日の午後、
祖父の真似をして缶ピーから一本を抜き出す。
まずは香りを嗅ぎ、その甘い香りにうっとりとする。
苦手だったがマッチを擦って煙草の先に火を点ける。
吸うという行為がよく分からなかった。
銜えたものの、火はさほど燃えず香りもしない。
吹いてみた。
先が真っ赤になって燃えた。
で、息継ぎのために、そのまま胸いっぱいに吸った。
煙が一気に口から肺に流れ込み、一瞬喉がきゅっと閉じ、
次の瞬間激しくむせた。
その後はお決まりの痛い、苦しい目が回る・・・ということになる。
それ以降、煙草は一切喫っていない。
近隣で喫われるのもどちらかというと好まない。
ただ、あの甘い香りは別だ。
あの香りを自分から吐きだすことができたら・・と夢想する。
大人の証。そして遠い記憶。
叶わない望みではない。
が、その禁断の果実には触れるなと、遠い声がする。
叶わない望みも、時にあった方がいい。



鎌倉熊か
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2 コメント

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ふかぶかと・・・ (furiko)
2006-03-11 22:24:16
>叶わない望みも、時にあった方がいい。



なんと美しい言葉!



それにしても、いつも近隣でぷかぷかとやっている迷惑者としてここに謹んで「ごめんなさい」を言わせてください、深々と。
返信する
いえ、あの (gororin)
2006-03-12 03:40:14
香りは嫌いではないのですよ。

周囲が煙状態でも大丈夫。

ただ、無闇に煙を吐きかけられるのはNOなだけであります。(いるのよ、お仕事関係に)
返信する

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