町田市のはずれ、というか八王子との境に近い相原の地に法政大学多摩キャンパスが開設されて30年になるという。当時は大学が学生数の増加に対応した敷地の拡張が難しい都心の立地を飛び出して、郊外の広大なキャンパスに移転するのが相次いだ時期だ。当初は市ヶ谷飯田橋から全面移転する構想だったらしいが学部ごとの思惑もあったようで、現在は経済学部、社会学部と移転後に新設された現代福祉学部とスポーツ健康学部と大学院、研究所から構成された組織となっている。いまとなっては、みかけ上の一体性や効率性よりも都心と郊外両方にキャンパスを構えたこの複眼方式が、法政大学全体の多様性や活力という面ではよかったのではないかと想像する。
その多摩キャンパスに地域社会との交流と連携を目指してこの春に開設されたのが「多摩地域交流センター」で、その記念に開催されたトークショーとシンポジウムがなかなか興味深い顔ぶれだったので、紅葉が始まりかけていた丘陵のキャンパスを久しぶりに訪れてみた。
町田街道を高尾方面に進み、JR相原駅を過ぎて車で約15分、桜並木とケヤキ並木を進むとキャンパスにつく。警備窓口で駐車券を受け取り、道なりに経済学部校舎前まで進み車を止める。山間を繋ぐ形で車道橋と歩道橋が並行してキャンパスを繋いでいる。そこから眺める城山、津久井方面の景色はなかなか雄大でちょっと感動もの。
今回のシンポジウムは7号館と呼ばれる大教室が会場である。開始まで時間があったので、生協売店でおにぎりを買って外で食べながら広大なキャンパス風景を楽しむ。まるで多摩丘陵の緑に浮かぶかのような感じで、同じ大学でも都心キャンパスとは全く異なる環境であり、学生たちにとっては、まったく異なる大学生活を送ることになる。
午後一時半、トークショーの始まり、三浦しをんと藤沢周の作家同士お二人の対談、なんと藤沢氏は大学教授なのでした。「言葉の海を渡って」のタイトルどおり、ベストセラー「船を編む」をおもなネタにテンポよく話は進む。地元を意識してか、「まほろ駅前多田便利軒」にでてくる喫茶店「アポロン」のモデルとなった実在の店「喫茶プリンス」の話から始まり、古書店「高原書店」でのアルバイトの話、小説創作の過程での取材方法など興味深い話題満載だった。しをんさんによると取材のし過ぎは、かえって想像性を限定させてしまい、自由な創作につながらない、という話はなかなかおもしろかった。藤沢氏によると、三島由紀夫や現代だと村上龍なんかは、ルポルタージュかと思えるほど克明に取材するそうで、お二人とも外見のイメージからするとちょっと意外な気がした。見かけ以上に繊細であるがゆえに、その補償行為として意識的に強面イメージであろうとするのかもしれない。
休憩となってお二人が退席する際、私の座っているすぐ横の階段通路を退席するご両人が通られたのだが、なんと藤沢周氏が声をかけてきてくださったのでびっくり。なんでも早く到着してうろうろしていた姿が怪しげで目に留まったらしい。じつは藤沢氏とは同じ新潟県の出身である(実は1959年の同年生れ)。思い切って名刺を交換させていただいて、自分の勤務先が横浜市内で三浦しをんさんが来年一月、横浜能楽堂で伝統芸能についての対談に出られることを話すと、「それでは、三浦さんにお伝えしておきます」と言って下さったので随分丁寧な方だなと思っていたら、本当に話されたようで、シンポジウム開始前にわざわざまた声をかけて下さったのには、再びびっくりして恐縮した。
うーん、今度著作を読ませていただきます。
その多摩キャンパスに地域社会との交流と連携を目指してこの春に開設されたのが「多摩地域交流センター」で、その記念に開催されたトークショーとシンポジウムがなかなか興味深い顔ぶれだったので、紅葉が始まりかけていた丘陵のキャンパスを久しぶりに訪れてみた。
町田街道を高尾方面に進み、JR相原駅を過ぎて車で約15分、桜並木とケヤキ並木を進むとキャンパスにつく。警備窓口で駐車券を受け取り、道なりに経済学部校舎前まで進み車を止める。山間を繋ぐ形で車道橋と歩道橋が並行してキャンパスを繋いでいる。そこから眺める城山、津久井方面の景色はなかなか雄大でちょっと感動もの。
今回のシンポジウムは7号館と呼ばれる大教室が会場である。開始まで時間があったので、生協売店でおにぎりを買って外で食べながら広大なキャンパス風景を楽しむ。まるで多摩丘陵の緑に浮かぶかのような感じで、同じ大学でも都心キャンパスとは全く異なる環境であり、学生たちにとっては、まったく異なる大学生活を送ることになる。
午後一時半、トークショーの始まり、三浦しをんと藤沢周の作家同士お二人の対談、なんと藤沢氏は大学教授なのでした。「言葉の海を渡って」のタイトルどおり、ベストセラー「船を編む」をおもなネタにテンポよく話は進む。地元を意識してか、「まほろ駅前多田便利軒」にでてくる喫茶店「アポロン」のモデルとなった実在の店「喫茶プリンス」の話から始まり、古書店「高原書店」でのアルバイトの話、小説創作の過程での取材方法など興味深い話題満載だった。しをんさんによると取材のし過ぎは、かえって想像性を限定させてしまい、自由な創作につながらない、という話はなかなかおもしろかった。藤沢氏によると、三島由紀夫や現代だと村上龍なんかは、ルポルタージュかと思えるほど克明に取材するそうで、お二人とも外見のイメージからするとちょっと意外な気がした。見かけ以上に繊細であるがゆえに、その補償行為として意識的に強面イメージであろうとするのかもしれない。
休憩となってお二人が退席する際、私の座っているすぐ横の階段通路を退席するご両人が通られたのだが、なんと藤沢周氏が声をかけてきてくださったのでびっくり。なんでも早く到着してうろうろしていた姿が怪しげで目に留まったらしい。じつは藤沢氏とは同じ新潟県の出身である(実は1959年の同年生れ)。思い切って名刺を交換させていただいて、自分の勤務先が横浜市内で三浦しをんさんが来年一月、横浜能楽堂で伝統芸能についての対談に出られることを話すと、「それでは、三浦さんにお伝えしておきます」と言って下さったので随分丁寧な方だなと思っていたら、本当に話されたようで、シンポジウム開始前にわざわざまた声をかけて下さったのには、再びびっくりして恐縮した。
うーん、今度著作を読ませていただきます。