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まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

立秋前、今朝の偶然

2016年08月06日 | 日記
 連休の週末にひとり早起きしてクルマを出し、咲き終わってしまっていないことを願いながら、薬師池公園の大賀ハスを見にゆく。午前八時少し前、かつての谷戸田だった地にひらかれた蓮田に到着、ゆっくりとひとまわりしても十数分たらずのほどよい広さだ。この時間になると、もう蒸し暑さが大気を覆っていたけれど、朝露をわずかに残した大きな緑の傘々の合間から、薄ピンク色の清楚なハス花があちこちに顔をのぞかせている。それを眺めているとやっぱり、この夏も見にこれてよかったと思う。

 小高い丘の上の東屋先にある萩の植生を生かしたトンネルには、はやくも立秋の兆しが覗いていて、明日が二十四節季のその日なのだと思い至る。植物が知らせてくれる自然の流れは確かなものだ。その隣にある巨大な自由民権運動の記念碑にくると、突然広域行政放送が流れてきた。何かと思って聴くと、今日の広島原爆投下時間にあわせての黙祷を案内している。明治時代中期に勃興した自由民権運動とは直接の関係はないのだけれど、あまりの偶然に誘われて、手のひらの上に鳩をいただいたモニュメント(三橋国民制作)の前でこうべを垂れる。

 帰路、来た方向と逆回りで歩き出しながら蓮の花を写していると、向こうから男女二人ずれが歩いてくる。すれ違ってすぐに男性に目が行き、あれっと思って声をおかけする。むこうも気がついて表情が変わった。何度か公演の機会に知り合った京劇俳優の殷(いん)さんである。やはりハスの花を見に来たのだという。この日の偶然の出会いは、殷さんの地元、鶴川ポプリホールでの桜美林大学生教え子たちの舞台を拝見して以来だ。

 公園をでて蓮見橋を渡り、車を止めておいた地元神社脇に戻ると、今が旬のブルーべりー摘み取り園畑の脇に家族三人連れが収穫を終えて座っていた。何気なく前を通りかかって男性をみると、ポプリホール開館イベントでご一緒した編集者のTさんではないか! たてつづいた偶然の出会いにびっくり、こんなことってあるものだ。ひさぶりの再会に近況を交わして、神社の横でお別れする。

 それにしてもハスの花とポプリホールが招いてくれたとはいえ、世の中は偶然の連鎖にみちている(ときもある)から恐れ入る。



今朝の薬師池公園の大賀ハス、すこし小ぶりで花びらは縮れていたりする(2018.8.6 早朝)



 こちらは同じ公園内の田圃跡に咲く睡蓮。葉っぱは水面の高さに浮かんだまま、キリッとした表情の花だけが顔を出す。

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