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岡倉天心生誕150年没後100年、小林亜紀子氏講演会

2013年06月16日 | 日記
 今年2013年は岡倉天心(1863.2.14-1913.12.26)のメモリアルイヤー。15日午後、横浜線から東横線に乗り換えて大倉山下車、小高い丘を登って頂上のそびえ立つ大倉山記念館へ。ここは昭和7年の竣工で郷里新潟県高田藩士出身、長野宇平治の最晩年の設計。左右の建物幅に比して搭屋の高さがややバランスを欠いている印象だが、それはもしかしたら承知のことで正面列柱の上方ほど太くなる形状もそうかもしれないが、ひたすら宇宙の真理追求を目指した大倉精神文化研究所創立者大倉邦彦の意志なのかもしれない。
 ここで午後2時からの講演会「天心の中の日本と西洋」聴講。講師は初見の小林亜紀子氏、若手の比較文化研究者。黒のドレスにパンプス、長い髪のすらりと伸びた淑女できれいなソプラノでの丁寧かつよどみのない爽やかな語り口。この好ましい印象は内容以上のイメージを一般に残すだろう。内容は有名なフレーズ「Asia is one」を検証しながらの「多文化主義者としての天心」を丁寧に追ったもの。本業の比較文化論からフェノロサ、小泉八雲、タゴールとの関係性の考察などわかりやすくて丁寧な論考。天心の外国における和服姿への考察、東京芸大創立120周年「岡倉天心展記念シンポジウム」への遡及などなかなか細やかな目配り。ちょっと村上春樹小説の登場者のモデルとなってもおかしくなさそうな印象を持った。

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