心臓は左にはないの?
人間のからだが、左右対称ではないことは以前語ってお解りいただけたと思う。
そしてそれは、内臓にいたるとさらに顕著だということも述べた。
内臓には肺のようにふたつあるものもあるが、ひとつしかないものは、
肝臓や盲腸が右より、そして、なんとなくからだの真ん中にあると思われている
胃や膵臓、脾臓が左よりというように、だいたいがどちらかによっている。
そして、だれもが左胸にあると思っているのが心臓だ。
ところがじつは心臓は左胸というより、胸の前面、胸骨の真下に
その3分の1か4分の1が位置している。つまり、思っているより左右の
真ん中に近い位置にあるということになる。
では、どうして左にあると思われがちなのだろうか?それは、心臓の働きと
構造に大いに関係がある。
ここで、心臓の働きを簡単に説明してみると、からだの血液は下大静脈と
上大静脈によって、まず右心房に集められる。そこに集まった血液は
右心室を通って肺動脈へいく。肺からの血液は左心房へ流れ、左心室に入る。
そして、左心室から全身へ送り出される。
これが血液の一連の流れなわけだが、とくに、血液が左心室から全身に
送り出されるときには、かなり高い圧力が必要になる。そのため
左心房の壁は、他にくらべて厚めにできている。そのため、血液が
送り出されるときの振動が増幅され、それが、左側からの鼓動と
なって聞こえるのだ。
つまり、心臓の鼓動を左胸に感じるのは、タネを明かせば左心室の鼓動が
大きいせいだったというわけだ。
今日の花 かすみそう
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