本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

また将棋の話=奨励会&瀬川さん。

2005-05-27 09:26:14 | 囲碁・将棋
*囲碁界は日本棋院とか関西棋院とかの幾つかのブロックに別れているが、経営に関しては外部から会社経営のプロを理事に招いて、碁打ちのプロは各社トーナメント棋戦を闘うトーナメントプロと、主としてアマ碁界の指導・育成に当たるレッスンプロに大別される。碁打ちは良い碁を打つことに専念すべきであるという姿勢である。

*一方将棋界はというと、最近ようやくレッスンプロの制度を導入し始めたようだが、日本将棋連盟の経営方はとなると、相変わらず将棋指しだけですべてを取り仕切ってしまうという方針らしい。

*囲碁も将棋も、主たる収入源は新聞各社等との契約にある。各社棋戦へ独占的に碁譜・棋譜を提供しその契約金で生計を立てているのである。要は自分の打った碁の譜面、自分の指した将棋の譜面をマスコミへ売って生活しているのである。一時期の羽生七冠のように勝ちまくっていれば自然億単位の収入に繋がるが、仮に負けてばかりいてもプロである以上直ちに生活に困るというわけではない。

*ではその『プロ』というものにどうしたらなれるかというと、プロ棋士の養成機関というものがあって、囲碁なら院生、将棋なら奨励会に入って一定程度の成績を収めないとなれない。囲碁については『ヒカルの碁』でも読んで研究して欲しいが、男女の区別はない。将棋の方は最近女流プロの制度を立て、これは男性プロとは違う制度で運営されており、女流プロ専用の棋戦も沢山ある。また奨励会の予備校(?)のような制度も作られた。囲碁界よりは将棋界の方が間口が広いのである。

*さてここからが本題です。奨励会には年齢制限というものがあって、私は二十歳で初段、30歳までに四段にならないとプロにはなれないと理解していたが、今朝の『特ダネ!』では26歳までに四段と報じていたから制度がより厳しくなったのだろう。囲碁は初段からプロだが将棋は四段からがプロで月給が貰えるようになるのである。三段までは奨励会員で言わば修行中の身であるから、アルバイトをしないと生活できない。現役の将棋棋士に聞くと、大抵は四段になった瞬間が一番嬉しかったと述懐する。法曹界で言えば司法試験に受かったときのようなものだろうか。

*この年齢制限に引っかかってプロへの道を閉ざされた青年は多く、全国の各種アマ大会で活躍する常連の中には元奨励会員が多い。無論これには例外がないわけではない。昔『妖刀の花村』という九段がいて、この方は『東海の鬼』と呼ばれて賭け将棋で名を馳せたが、あまりに強くなり過ぎたため飛び付け五段(?)だったか、プロになるしかなかったという人である。
「しょんない、しょんない」が口癖の、大山・升田と同世代の面白い人だった。

*近年将棋界を騒がせている人が瀬川晶司(35歳)というアマ強豪である。この人もかつては奨励会に在籍し、年齢制限に引っかかってプロへの道を閉ざされた人なのである。

*この人が今滅茶苦茶強い。典型的な大器晩成型なのか、とりわけ『囲碁・将棋チャンネル』が主催する『銀河戦』という早指しトーナメントではこの数年並居るプロたちをバッタバッタと負かしてしまい大向こうを唸らせたのである。プロと言っても峠を越した並のプロでは彼に勝てないのだから仕方が無いのである。

*この瀬川さんが、2月に将棋連盟に対し自分にプロになる機会を与えて欲しいと嘆願書を出したものだからさあ大変、これを巡って職人ギルドのような将棋連盟側は上を下への議論が沸騰したというのである。
 概ね既得権益を損なう怖れのある棋士たちは瀬川さん受け入れに消極的であろうということは容易に推測出来る。プロと言えども末端の将棋棋士は一部スタープロの活躍に「おんぶにだっこ」というのが実情なのである。

*勝負の世界というのは「勝ってナンボ」であり、将棋の弱い連中が将棋の強い瀬川さんを、ルールを盾に除外するのはフェアとは言えないだろう。かつて升田九段は「60歳で名人になる」と公言して憚らなかったではないか。
 ということで、今度将棋連盟の会長が交代したのを機会に、「瀬川さんにチャンスだけは与える」という結論に達したらしい。どういう相手と対戦させられるか知らないが、「五分以上の成績を残せばプロにしてやってもいいよ」ということなのである。
 私見では何もそんなハードルを課すことなく、ノー文句でプロ昇格が妥当と思われるが、試験してみて実力を見極めた上でのプロ昇格というのも、反対派を納得させる論拠とはなり得るだろう。瀬川さんが日頃の実力を発揮出来れば、プロ側が如何に「火事場のクソ力」で抵抗しようと、この難関は必ずや突破出来るだろうと私は思っている。

**以下は時事用語のABCからの引用です。**
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 無料版「時事用語のABC」 2005年 5月27日発行 第1050号(40,101部)
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●今日のキーワードは「奨励会」です。
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日本将棋連盟は26日、アマチュア棋士(35)が提出した
プロ入りの嘆願書に対してプロのフリークラスへの編
入試験を実施することを決めた。
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§奨励会【しょうれいかい】

日本将棋連盟のプロ棋士養成機関

日本将棋連盟内に設置されているプロ棋士の養成機関
のこと。正式名称は「新進棋士奨励会」という。

6級から1級までの級位と初段・二段および三段まで
の段位が決められていて、所定の成績を収めると、昇
級または昇段となる。二段までは関東奨励会と関西奨
励会に分かれて対局するが、三段になると東西合わせ
てのリーグ戦によって上位2名の棋士が四段に昇段す
ると同時にプロ棋士になれる。

ただし、プロ棋士になるには満26歳という年齢制限が
あるため、それまでに四段になれなかった場合は退会
させられる。また、奨励会での対戦成績が悪いと降級
または降段となることがある。

奨励会に入るには、プロ棋士から推薦を受けて、毎年
1回実施されている試験に合格しなければならない。
受験には年齢制限があって、年齢によって受験可能な
級位が決められている。

日本将棋連盟は26日、アマチュア棋士(35)が提出した
プロ入りの嘆願書に対してプロのフリークラスへの編
入試験を実施することを決めた。年齢制限の特例を認
める異例の判断に注目が集まっている。

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