一日の労働を癒す。
人間関係の中で荒みきった心とくたくたになった身体を、
湯の中で解きほぐす。
ああ、それはまるで睡眠のようだ。
ああ、気持ちいい。温かくてお布団のようだ。
ついつい眠ってしまい、湯面に鼻先を突っ込んで、ぴちゃんと飛沫が上がり、
驚いて目が覚める。
『ここはどこだろう?どこだ?温かいな…』
……お風呂だった……
ああ、まだ私はお湯に浸かっていたのか。
さすがにいつまでも浸かっているわけにはいかない。
この後には人生最大のお楽しみ、『睡眠』が待っているのだから(最近オババの一番の楽しみは、寝ることです)。
あーあ、出たらなんとなくゾクッとするし、身体拭かなきゃいけないし(オババはこの行為が好きではありません。なかなか水気が取れないからです)。
面倒だな~。
ぶつくさ心の中で呟きながら(口にしたら、きちがいっぽくてそれはイヤ)、湯からあがるのですが。
洗面所にはまだ暖房を入れていないので、お風呂場の中で身体を拭きます。
そっちの方がいくらかあったかいからね。
水気が取れれば暖房のない洗面所でも耐えられるけどね。
そしてやっと睡眠へ辿り着くことが出来るのです。
湯に浸かっているとき、ここはどこだと思うというのも何だけど、
もしかしたら極楽かもしれないと思ったりして。そしてそれは本当に極楽につながっているのかも。
本当に寝ちゃってお湯の中にすべりおちたら私はどうするかな、と考えます。
あわててバチャバチャして溺れ死ぬかな。
あわてながらも心の中で、『ここは浴槽なんだから、落ち着いて、動きを止めて、お湯の外に顔を出しなさい』
という命令を湯に沈んでいる自分に下すことが出来るだろうか?
ああ、さすがにそれはまだないです。
しかし、お風呂と言うのは本当に極楽です。
だからなかなか出られないんだよね。
特にぬるい湯にはご用心。
入った瞬間は熱いくらいだけど、そのうちなじんで、今度はぬるく感じられて、
出ると寒いから出られなくなる。
これだよね。
だから、まあ、熱いくらいのお湯がいいのかもね!やけどしない程度のね。