もとの平穏な観光地にもどることを祈る
箱根・火山活発化2年 完全復旧、
高まる期待 05月06日 神奈川新聞
箱根山(箱根町)の火山活動活発化の影響で
支障を来していた大涌谷からの温泉供給は、2年
を経て「完全復旧」が視界に入ってきた。ことし4月に
全ての供給先に温泉を届けられるようになり、今後
の課題は湯量や温度などの回復に移った。大型連休
真っただ中の5日には大勢の人でにぎわい、箱根を
訪れる観光客の数も戻りつつある。年内が目標と
される温泉利用施設の全面的な再開は一層の弾み
になると、関係者の期待は大きい。
「温泉の湯が出ますよ」。同町仙石原の民宿
「伊藤山荘」に連絡が入ったのは4月3日。
程なくして乳白色の湯が注がれ、浴槽を満たし
ていった。
2015年6月29日に大涌谷でごく小規模な
噴火が起きてから、温泉の供給は完全に止まっ
ていた。以降は、水道水を湧かした湯にハーブ
やユズを浮かべたり、日帰り温泉を紹介したり
して穴埋めするしかなかった。客足は遠のき、
以前と比べて3割ほど減った。
「自然が相手だから待つしかなかった。でも、
2年というのは長い」。まだ湯量が限られている
ため、露天風呂には使えないが、オーナーの伊藤
恭二さん(73)は安堵(あんど)の表情を浮か
べる。
大涌谷の蒸気を利用して温泉供給事業を営む
「箱根温泉供給」は、箱根山の噴火警戒レベル
が2(火口周辺規制、現在はレベル1)に引き上げ
られた15年5月6日以降、立ち入り規制や地表の
局所的な隆起の影響で設備のメンテナンスができな
い日々が続いた。 さらに小規模噴火に伴う土石流
で配管などが損壊。同社からの温泉を日常的に利用
している旅館や保養所約250軒のうち、約70軒
に提供できない状況に追い込まれた。別荘なども含
めれば、大きな影響を受けた供給先は最大で100
軒ほどに上ったという。 再開への道筋が見え始め
たのは、メンテナンスの立ち入りが認められた昨年
4月。
火口に近く、硫黄が詰まるなどした蒸気井や配管の
修復作業を始め、温泉を届けられなくなっていた供
給先への提供を12月以降に順次再開、この4月で
全施設への供給にこぎ着けた。 同社の担当者は
「大型連休前に再開できてよかった」と胸をなで
下ろすが、供給量はかつての7〜8割程度という。
湯の温度が本来より10度ほど低い供給先もあり、
「まだ完全復旧と言える段階ではない」とも話す。
活発に蒸気が噴出している斜面で、損壊した蒸気井
などを修復する作業を進めなければならず、「年末
までには何とか復旧させたい。そうすれば100%
に近い状態に戻るはず」と今後を見据える。
「温泉は箱根の生命線。町の観光振興にとっても
大きな一歩」。町観光協会の高橋始専務理事は全
施設への供給再開を喜ぶ。 年間の観光客入り込
み数2千万人という箱根観光の目標は、火山活動
の影響を受けた15年は達成できなかったが、回復
基調となった16年は「届いたのではないか」との
手応えがある。今年に入ってからは、さらに上回る
状況が見込まれ、小田原箱根商工会議所が2月に行っ
た景況調査でも商工業者のマインドが大幅に改善し
ている。
大型連休も客足の改善を裏付けるような混雑ぶりと
なっている。箱根の玄関口である箱根登山鉄道箱根
湯本駅は5日、家族連れや外国人観光客など、多く
の人でにぎわった。海老名市の主婦牛山敦子さん
(42)は「思ったより人が多くてびっくりした。
温泉やガラス細工を楽しみたい」と話し、都内から
家族で訪れていた佐藤蒼太君(4)は「楽しかった。
外の風呂が気持ちよかった」と笑顔を見せていた。
大山神事能、観光客にぎわい 伊勢原
05月07日 神奈川新聞
300年以上の歴史を持つ大山神事能が5日、伊勢
原市大山の大山阿夫利(あふり)神社で行われた。
住民や神職らが能や狂言を演じ、観光客らでにぎ
わった。
大山能は江戸時代、大山で争っていた神職と僧侶、
山伏の3者に、幕府が融和のため能を演じさせた
故事が発端。互いにうまくなろうと練習と上演を
重ねるうち争いはなくなり、平和な山になったと
いう。
今年は神社下社で狂言「蟹山伏」や独吟「葵上」
などを披露。狂言「呼声」では、主人の叱責を
逃れようと居留守を使う太郎冠者の熱演に、観光
客から大きな拍手や笑いが湧き起こっていた。
観光の集客は山が命です。
山々が修まらないとみんな安心して来られん
箱根・火山活発化2年 完全復旧、
高まる期待 05月06日 神奈川新聞
箱根山(箱根町)の火山活動活発化の影響で
支障を来していた大涌谷からの温泉供給は、2年
を経て「完全復旧」が視界に入ってきた。ことし4月に
全ての供給先に温泉を届けられるようになり、今後
の課題は湯量や温度などの回復に移った。大型連休
真っただ中の5日には大勢の人でにぎわい、箱根を
訪れる観光客の数も戻りつつある。年内が目標と
される温泉利用施設の全面的な再開は一層の弾み
になると、関係者の期待は大きい。
「温泉の湯が出ますよ」。同町仙石原の民宿
「伊藤山荘」に連絡が入ったのは4月3日。
程なくして乳白色の湯が注がれ、浴槽を満たし
ていった。
2015年6月29日に大涌谷でごく小規模な
噴火が起きてから、温泉の供給は完全に止まっ
ていた。以降は、水道水を湧かした湯にハーブ
やユズを浮かべたり、日帰り温泉を紹介したり
して穴埋めするしかなかった。客足は遠のき、
以前と比べて3割ほど減った。
「自然が相手だから待つしかなかった。でも、
2年というのは長い」。まだ湯量が限られている
ため、露天風呂には使えないが、オーナーの伊藤
恭二さん(73)は安堵(あんど)の表情を浮か
べる。
大涌谷の蒸気を利用して温泉供給事業を営む
「箱根温泉供給」は、箱根山の噴火警戒レベル
が2(火口周辺規制、現在はレベル1)に引き上げ
られた15年5月6日以降、立ち入り規制や地表の
局所的な隆起の影響で設備のメンテナンスができな
い日々が続いた。 さらに小規模噴火に伴う土石流
で配管などが損壊。同社からの温泉を日常的に利用
している旅館や保養所約250軒のうち、約70軒
に提供できない状況に追い込まれた。別荘なども含
めれば、大きな影響を受けた供給先は最大で100
軒ほどに上ったという。 再開への道筋が見え始め
たのは、メンテナンスの立ち入りが認められた昨年
4月。
火口に近く、硫黄が詰まるなどした蒸気井や配管の
修復作業を始め、温泉を届けられなくなっていた供
給先への提供を12月以降に順次再開、この4月で
全施設への供給にこぎ着けた。 同社の担当者は
「大型連休前に再開できてよかった」と胸をなで
下ろすが、供給量はかつての7〜8割程度という。
湯の温度が本来より10度ほど低い供給先もあり、
「まだ完全復旧と言える段階ではない」とも話す。
活発に蒸気が噴出している斜面で、損壊した蒸気井
などを修復する作業を進めなければならず、「年末
までには何とか復旧させたい。そうすれば100%
に近い状態に戻るはず」と今後を見据える。
「温泉は箱根の生命線。町の観光振興にとっても
大きな一歩」。町観光協会の高橋始専務理事は全
施設への供給再開を喜ぶ。 年間の観光客入り込
み数2千万人という箱根観光の目標は、火山活動
の影響を受けた15年は達成できなかったが、回復
基調となった16年は「届いたのではないか」との
手応えがある。今年に入ってからは、さらに上回る
状況が見込まれ、小田原箱根商工会議所が2月に行っ
た景況調査でも商工業者のマインドが大幅に改善し
ている。
大型連休も客足の改善を裏付けるような混雑ぶりと
なっている。箱根の玄関口である箱根登山鉄道箱根
湯本駅は5日、家族連れや外国人観光客など、多く
の人でにぎわった。海老名市の主婦牛山敦子さん
(42)は「思ったより人が多くてびっくりした。
温泉やガラス細工を楽しみたい」と話し、都内から
家族で訪れていた佐藤蒼太君(4)は「楽しかった。
外の風呂が気持ちよかった」と笑顔を見せていた。
大山神事能、観光客にぎわい 伊勢原
05月07日 神奈川新聞
300年以上の歴史を持つ大山神事能が5日、伊勢
原市大山の大山阿夫利(あふり)神社で行われた。
住民や神職らが能や狂言を演じ、観光客らでにぎ
わった。
大山能は江戸時代、大山で争っていた神職と僧侶、
山伏の3者に、幕府が融和のため能を演じさせた
故事が発端。互いにうまくなろうと練習と上演を
重ねるうち争いはなくなり、平和な山になったと
いう。
今年は神社下社で狂言「蟹山伏」や独吟「葵上」
などを披露。狂言「呼声」では、主人の叱責を
逃れようと居留守を使う太郎冠者の熱演に、観光
客から大きな拍手や笑いが湧き起こっていた。
観光の集客は山が命です。
山々が修まらないとみんな安心して来られん