栃錦―若乃花の「栃若時代」が終わり、柏戸―大鵬の「柏鵬時代」の幕開けとなったのは1960年(昭和35年)初場所でした。12日目、新入幕で11連勝の大鵬は、小結2場所目の柏戸と初対戦しました。結果は、力でねじ伏せるような下手出し投げで柏戸に屈しています。
柏戸は、1955年(昭和30年)の初場所に「富樫」で初土俵を踏みました。若い頃から大いに期待され1957年(昭和32年)九州月場所で新十両昇進、1958年(昭和33年)秋場所で新入幕を果たし、若秩父高明・豊ノ海義美と「ハイティーン・トリオ」と呼ばれました。1959年(昭和34年)秋場所、前頭3枚目で12勝3敗好成績を残し、2度目の敢闘賞を受賞し、翌九州場所で新小結に昇進しました。そして、1960年(昭和35年)初場所12日目に新入幕の大鵬と対戦することになりました。
大鵬は、1957年(昭和32年)初場所に「納谷」で初土俵を踏みました。同期には後の大関・清國がいました。
序ノ口時代がら順調に番付を上げていき、1958年(昭和33年)春場所では三段目で優勝、東幕下筆頭となった1959年(昭和34年)春場所で6勝2敗と勝ち越して十両昇進を決めました。1960年(昭和35年)1月場所で新入幕を果たすと、初日から11連勝して12日目に小結柏戸と対戦することになりました。
大鵬は翌場所7勝8敗と負け越しましたが、その後は大横綱と呼ばれるまでに出世しました。柏戸も実績では大鵬に大きく後れをとりましたが、当時は部屋別総当たり制ではなく、横綱以下の力士全員と戦わなければならないというハンデがありました。
また、直接対決でも、1967年(昭和42年)夏場所時点までは16勝16敗と五分の成績を残しています。
柏戸の前みつを取って一気に前へ出る相撲に対して、大鵬は懐が深く相手の圧力を吸収して、自分の得意な組み手に持ち込んで寄り切るという相撲でした。「剛」の柏戸、「柔」の大鵬と呼ばれました。
当時私は小学校6年生でしたが、休み時間は必ず相撲を取っていました。クラスでは男子の間で柏戸派・大鵬派に分かれていたのを思い出します。(ちなみに私は、大鵬が強すぎると言う理由だけで柏戸派でした)
尚、大鵬は2013年1月19日に亡くなりましたが、2月25日に国民栄誉賞を受賞しています。
柏戸・大鵬の生涯成績
【柏戸 剛】 【大鵬 幸喜】
序ノ口(1場所) 6勝 2敗 序ノ口(1場所) 7勝1敗
序二段(1場所) 6勝 2敗 序二段(2場所) 13勝3敗
三段目(4場所) 21勝11敗 三段目(4場所) 27勝5敗 優勝1
幕下 (6場所) 33勝15敗 優勝1 幕下 (6場所) 35勝13敗
十両 (5場所) 50勝25敗 十両 (4場所) 44勝16敗 優勝1
前頭 (7場所) 64勝41敗 技2、敢1 前頭 (3場所) 30勝15敗 敢2
小結 (2場所) 17勝13敗 技1 小結 (1場所) 11勝4敗
関脇 (3場所) 30勝15敗 技2、敢2 関脇 (2場所) 25勝5敗 優勝1、技1
大関 (7場所) 81勝24敗 優勝1 大関 (5場所) 58勝17敗 優勝2
横綱 (47場所)407勝147敗 優勝4 横綱 (58場所)622勝103敗 優勝29
★ 通算成績
柏戸 715勝295敗140休 大鵬 872勝182敗136休
★ 直接対決
大鵬 21勝 柏戸 16勝
(横綱昇進前 柏戸 7勝 大鵬 3勝)
(横綱昇進後 柏戸 9勝 大鵬18勝)
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