・この演奏を聴くのは久しぶり。大体この演奏を聴いたのも遅かったのです。リヒテルは好きでしたが、以前マゼールにはちょっと偏見を持っていたし、オーケストラがパリ管というのも「どうなんだろう?」という気がしていたので。若気の至り、とでも言いますか、今考えればもったいないことをしたものです。
・久しぶりに聴きましたが、こんなに面白い演奏だったとは!!! 「耳が釘付け」まで言うとオーバーかもしれませんが、思わず聴き入ってしまいました。リヒテルのピアノは相変わらず凄いですね。確かな力強い打鍵、非常に良く考えられた強弱、壮年期の迫力十分です。
・びっくりするのはマゼールの指揮。この曲でこんなに刺激的な指揮をした演奏って、タイプは違いますがほかにアーノンクールぐらいじゃないかと思います。聴いていて「えっ、ここでこんな音がするの」とか「こんな旋律を弾いていたのか」というような、ほかの演奏では中々聴こえないような部分が聴こえてきたり、強弱やリズムも思わず「ハッ」とさせられるようなところがずいぶんありました。まさに才人の面目躍如。大変面白く聴かせて頂きました。
・パリ管の演奏も、フランスのオーケストラだから・・・などと言う心配はありませんでした。第1楽章冒頭のホルンも、確かにドイツのオーケストラに比べれば少々明るいかなという程度で、ミュンシュのブラームスの録音の頃よりフランス色が薄まったような気がします。でもやっぱり音色としては(録音の影響もあるかもしれませんが)明るめでしょうか。マゼールがとっても豪快に、また重厚にオーケストラを響かせるので、ちょうどバランスが取れていいのではないかと思いました。元々ブラームスにしては明るい気分に満ちた曲ですから。
・この曲は大好きなので、一度聴くと次々にいろいろな人の演奏を聴いてみたくなるんです。さて、次は誰の演奏を聴こうかな? これからの季節の楽しみです。