覚え書きのようなもの・・・分室

私の好きな音楽のこと(主にクラシック)や日々の出来事、思ったことなどをつたない言葉で記してみます

ベームのモーツァルトとモントゥーの第9

2006年12月31日 | 音楽
・大晦日。毎年同じ事を書きますがやっぱり今年も一年早かったです。去年に比べて、自分は何か少しでも進歩した事があっただろうかと考えると甚だ疑問ではありますが、とりあえず家族で無事に年を越せるという事が何より良かったと思っています。

・毎年、大晦日は第9を聴く事にしていますが、今日はその前に、今年のモーツァルト・イヤーの締め括りとしてベームとウィーン・フィルの演奏で交響曲第29番を聴きました。ベーム最晩年の演奏らしくゆったりとしたテンポで進みますがこの曲にはそれがぴったり! ウィーン・フィルの演奏は、もうとろけるような美音の洪水。すべて夢の世界での出来事のようでうっとりしてしまいました。

・続いていよいよ第9、未聴のCDの中からモントゥーとフランス国立放送管弦楽団のライブ録音を聴く事にしました。相変わらず年齢というものをまったく感じさせない活気溢れる引き締まった演奏。押す所も引く所もすべて心得た、まさに巨匠の至芸とでも言うべき見事な指揮。オーケストラもソリストもコーラスも渾身の演奏で応えています。終楽章のスケールの大きさは聴いていて実に心豊かな気持ちになりました。ベームとモントゥーの素晴らしい演奏で一年の締め括りができて本当に良かったです。

・皆様、今年もありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎え下さい。そして来年もよろしくお願い致します。
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ラインスドルフとボストン交響楽団のモーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」

2006年12月17日 | 音楽
・ラインスドルフとボストン交響楽団の「ジュピター」、先日取り上げたA・チャイコフスキーの録音と同じモーツァルト名盤撰シリーズの中の一枚。最近、タワーレコードの企画でも復刻されているラインスドルフ。人気が出てきたという感じはしないが評価が見直されているのだろう。晩年のライヴは大変素晴らしかったというから、例えばオルフェオから出たバイエルン放送響とのマーラーみたいな録音がどんどん出てくればさらに評価も高まるだろう。

・この「ジュピター」は全楽章のリピートを世界で初めて行った録音だとか。確かに、この録音がされた頃(1963年)のスタジオ録音でリピートを行っているものというのはちょっと思い浮かばない。時代を先取りしていたという事なのだろうか。

・心地良いテンポと軽やかなリズムが聴いていてとても爽やかな気分になる演奏だった、と言うとたださらさらと流れるだけの演奏のように思われるかもしれないが、重くなりすぎないくらいの適度な重さもあり、そのあたりのバランスが絶妙。それがボストン響(好演)の落ち着いた音色と共に演奏を格調高いものにしていると思う。私が今まで聴いたこのコンビの録音の中でも出色の一枚だった。
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シューリヒトとフランクフルト放送交響楽団のブラームス 交響曲第1番

2006年12月14日 | 音楽
・シューリヒトのブラームスはどれも名演揃い。正規のスタジオ録音が決して多いとは言えないシューリヒトだが、ブラームスに関しては2番から4番の交響曲、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲第2番、悲劇的序曲、ハイドン変奏曲の正規録音がある。交響曲第1番に録音状態の良い正規の録音が無いのが残念だが、スイス・ロマンド管とフランクフルト放送響との放送録音を聴く事ができる。今日は久々にフランクフルト放送響との録音を聴いてみた。

・1965年録音というデータが正しければシューリヒト最晩年、85歳の時の録音になるが、この録音を聴く限り、とてもそんな事が信じられない熱い熱い演奏なのだ。晩年のシューリヒトは、高齢なのはもちろん、リューマチを患って指揮台に上るのも大変だったという話を読んだことがあるが、この録音を聴いているとそんな人が指揮をしているとは到底思えないのだ。

・第1楽章からノリにノッている。その気迫が凄まじい。この楽章の終結部や終楽章のクライマックス、頂点に向けてぐんぐんテンポが上がりオーケストラを追い込んで行く様子はまさに「怒涛の如く」という言葉がぴったり。聴いていて体がぞくぞくしてくるし、「次はどうなるんだろう」とワクワクさせられる。とにかく挙げていったらキリが無いほど、「こんな表現、今まで聴いた事が無い」というところがある。それはまるでその場のひらめき次第、即興で指揮をしているような感じ。悪い意味で言っているのではない。聴く人によっては「やり過ぎ」と感じるかもしれない。でも私はその意欲に満ちた発想・表現には感嘆してしまうし、そんなシューリヒトの演奏が大好きだ。

・熱い演奏になったのはライヴと言う事も影響しているかもしれない。しかしこの時、一体どんな風に指揮をしていたのか見てみたかった。ああ、やっぱりシューリヒトは素晴らしい!!!
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オッテルローとハーグ・フィルのベートーヴェン 交響曲第9番

2006年12月13日 | 音楽
・先日立ち寄った店で、オッテルローとハーグ・フィルのボックスセットが通常の半額の値段で出ていたので喜んで購入。オッテルローという指揮者、今まで聴いた事があるのはハスキルやマガロフの協奏曲の録音くらいしかなかったので、交響曲や管弦楽曲がたっぷり収録されたこのボックスは以前から気になっていたのだ。

・ボツボツと聴いているのだが、この年代の指揮者としては感覚が新しいというか、今の耳で聴いても古さを感じさせない。リズムや表現がとてもシャープだ。大半がモノーラル録音なのだがもともとがフィリップスの録音だし、マスタリングも丁寧に行われたそうなので大変聴きやすい。

・昨日はベートーヴェンの第9を聴いてみたのだが、速めのテンポで推進力はあるし、合唱が入ってからの高揚感が実に見事! テンポの変化の付け方がスムーズに決まっていて終盤に向けてどんどん盛り上がってくる。「第9って、やっぱりいいなあ」と素直に思わせてくれる演奏だった。
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サヴァリッシュとバイエルン国立管弦楽団のブルックナー 交響曲第6番

2006年12月10日 | 音楽
・木曜日の帰宅後から急に体調が悪くなる。熱が出たらしく食欲もなくなる。参ったなあ・・・と思ったが、幸い翌朝には熱も下がり、体のだるさと胃の不調は残ったものの予定の仕事はこなす事ができた。風邪と言うより溜まっていた日頃の疲れが一気に出たのかもしれない。仕事でちょっと嫌な事があったのが引き金になったのかな?

・今日はサヴァリッシュとバイエルン国立管弦楽団によるブルックナーの交響曲第6番を聴いた。1981年、デジタル初期の録音だが残響も程よく潤いもあり素晴らしい音質だと思う。

・ブルックナーの交響曲の中では演奏される機会の少ない曲。確かに5番や7番以降の曲に比べると物足りなさが残るが、この曲の第2楽章に関してはブルックナーの書いた曲の中でもとりわけ美しい部類に入ると思う。今日のサヴァリッシュの演奏、オーケストラの渋く落ち着いた音色とややゆったり目のテンポがこの楽章によく合っていたと思う。第1楽章のメリハリの効いた快活な演奏も印象的だった。
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シェリングとモントゥー指揮ロンドン交響楽団のブラームス ヴァイオリン協奏曲

2006年12月05日 | 音楽
・シェリングは後にドラティやハイティンクとこの曲を再録音していて、どちらかというとそちらの録音の方が有名で入手もしやすいようだが、今回聴いたモントゥーとの共演盤もそれらに勝るとも劣らない魅力があって素晴らしい。

・円熟という点ではハイティンクとの録音かもしれないが、気迫や鋭さ、熱気ではこちらの方が勝っているように思う。背筋がピンと伸びるような研ぎ澄まされた音色も美しい。

・この演奏のもう一つの聴き物はモントゥーとロンドン交響楽団の見事なサポート。これだけ充実した聴き応えのある演奏は中々ないと思う。冒頭からやる気が漲っている。この気迫がシェリングにもびしびし伝わったのだろう。モントゥーの指揮の素晴らしいのはオーケストラがたっぷり鳴っていてもその響きが明瞭でフットワークが軽いところ。どの録音を聴いても本当に年齢を感じさせない。ロンドン交響楽団の熱演にも拍手を贈りたい。
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クリュイタンスとフランス国立放送管弦楽団のブラームス 交響曲第4番

2006年12月04日 | 音楽
・クリュイタンスとフランス国立放送管弦楽団によるブラームスの交響曲第4番。CD-R盤である。音質は・・・私の耳で聴く限りはそれ程悪いとは言えない。それぞれの楽器の音は割合くっきりと捉えられているのだが、時々耳障りなビリつきやドキッとするようなノイズが入るのがなんとも残念。

・クリュイタンスがフランス物だけでなく、ベルリン・フィルとのベートーヴェンに代表されるようにドイツ物にも素晴らしいの演奏を数多く残している事は有名なこと。今日聴いたブラームスも実に素晴らしい。

・具体的にどう素晴らしいかを上手く説明できないのは毎度の事だが、少なくとも、クリュイタンスはこの曲がかなり好きだったんじゃないか、と思わせるような演奏なのだ。部分部分のテンポ設定一つとってみても、聴いていて「そうそう、こうして欲しかったんだよねえ」とか「そうしたい気持ち、わかるなあ・・・」というようなところが随所にあるのだ。

・それはただ単に私の好みに合っていただけなのかもしれないが・・・いや、例えそうだとしてもやっぱりこの演奏は素晴らしいと思う。クリュイタンスのブラームスがもっと聴いてみたい。2番や3番もきっといいはずだ。クリュイタンスがあと10年生きて、もっと色々なレパートリーを残してくれていたらどんなに良かったか・・・彼の録音を聴くたびに思う事である。

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グルダとセルのベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

2006年12月03日 | 音楽
・グルダのピアノとセル指揮のウィーン・フィルによるベートーヴェンの「皇帝」のDVDを見た。1966年のムジークフェラインザールでのライブ映像で画面は白黒、音声はモノーラルだが鑑賞に全く支障はない。

・グルダは、登場して客席に一礼。ピアノの前に座るが拍手は一向に止まない。仕方なく立ち上がってもう一度一礼。まだ何にもしていないのに大変な熱狂ぶり。人気の程がわかる。そういえば以前見たクナッパーツブッシュの映像でも同じ様な光景があった。

・グルダのピアノは実に正攻法。セルが手綱をしっかり握っているからかもしれないが、とにかく一点一画も疎かにしない丁寧な演奏。テクニックも万全。ベーゼンドルファーが低音から高音まで曇りの無い音色で鳴っている。

・セルの指揮は心持ちゆったり目のテンポで「皇帝とはこうあるべきだ!」とでも言うかのように威風堂々としている。オーケストラには厳しく目を光らせているようだが、ぎちぎちした感じはせず、品格はあるがどこか春風駘蕩とした空気すら漂うのはウィーン・フィルの持ち味を活かしているからかもしれない。この映像、ピアノも指揮も聴き応え十分。本当に素晴らしい記録だと思う。

・第2楽章を始めようと指揮棒を構えたセルだが、聴衆が静まらないので一旦手を下ろして客席の方を振り返る。気を取り直して再び構えようとするが、まだざわついているので今度は指揮棒で譜面台を叩く。まるで裁判長が「静粛に」とやっているかのような様子がしっかり記録されている。セルはオーケストラだけでなく客席にも厳しかった?
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ブッフビンダーのベートーヴェン 三大ピアノ・ソナタ

2006年12月02日 | 音楽
・ブッフビンダーの弾いたベートーヴェンの「悲愴」「月光」「熱情」を聴く。全集中の録音。ウィーンで教育を受けただけあって、奇を衒ったところのない大変オーソドックスな演奏。テクニックも解釈も申し分ないし音色も美しい。

・数多あるこの曲の録音の中では「物凄く個性的」とは言えないかもしれないが、伝統に根ざしたこういう演奏はこれから先、ある意味「独自の存在感」を誇るのではないだろうか。私にはとても好感の持てる演奏だった。
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A・チャイコフスキーとライナーのモーツァルト ピアノ協奏曲第25番

2006年12月01日 | 音楽
・久しぶりの投稿になってしまった。もう12月かあ・・・。

・アンドレ・チャイコフスキー、初めて聴くピアニストだ。チャイコフスキーなんて名前だからてっきりロシアの人かと思ったらポーランド出身だそうだ。ピアニストとしても活躍したそうだが晩年(と言っても40代半ばで亡くなってしまったそうだ)は作曲家としての活動の方が多かったらしい。

・そのチャイコフスキーがデビューして間もない頃に録音されたこの演奏。この曲、解説にもあったがモーツァルトの(特に20番以降の)ピアノ協奏曲の中ではそれ程人気のある曲ではないと思う。確かに私もあまり聴かない。モーツァルトのピアノ協奏曲のイメージからするとちょっと地味なのかもしれない。

・しかし、この演奏はいいですねえ。ピアノはとにかく粒の揃った美しいタッチを聴かせてくれるし、ライナー指揮のシカゴ響の演奏が実に晴れやか! ゆったりとしたテンポでスケールの大きな指揮。中身のぎっしり詰まった充実した音を聴かせてくれている。私にとってこの演奏は今まで気付かなかったこの曲の魅力を教えてくれるものになると思う。
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