覚え書きのようなもの・・・分室

私の好きな音楽のこと(主にクラシック)や日々の出来事、思ったことなどをつたない言葉で記してみます

チェルカスキーのラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番

2005年08月01日 | 音楽
・8月になりました。早いですねえ・・・。

・昨日、NHKの「思い出の名演奏」という番組でシューラ・チェルカスキーの演奏を放送していました。録画だけしてまだ見ていないのですが・・・。チェルカスキーと聞いて思い出したのがこの演奏。ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。ルドルフ・シュヴァルツ指揮のBBC交響楽団との共演で1957年のライヴ録音です。この演奏、「レコード芸術」の視聴記にも取り上げられたことがあるのでご存知の方も多いかもしれません。

・チェルカスキーの演奏で持っているのはこの盤と、ベルリン・フィルと共演したチャイコフスキーの1,2番の協奏曲の録音だけなのですが、それらを聴いた感想は「面白いおじさんだなあ」ということ。それに抜群のテクニックを持っていることもよくわかります。

・このラフマニノフ、第1楽章が始まった途端になんだか聴きなれない音が・・・。あの有名な主題をオクターブで弾いているではありませんか! この時点でこの演奏が「普通じゃないな」という空気が漂い始めます。指揮者やオーケストラにはお構いなく、突然「ツツっ」と走ったかと思えばブレーキをかけてみたり、「ババン」と大きな音を鳴らしたかと思えば聴こえないくらい音量を落としてみたり、悪く言えば「やりたい放題」の演奏が繰り広げられます。

・チェルカスキーが何かする度に指揮者とオーケストラは「ええっ!!!」という感じで必死に合わせようとするのですが、残念ながら置いていかれることばかり・・・。そして極め付きは第3楽章の終結部分。まるでCDの回転が狂ったかのように突然猛烈な勢いでピアノが走り始めると、もうその後はグッチャグチャ。演奏が終わると聴衆も呆気に取られたかのように、一瞬の間が空いてから拍手が起こります。普通、この曲のライヴ録音だと最後の音が鳴り止まないうちに「うわーっ」という喝采が起こる事が多いと思うのですが、この日の聴衆の素直な反応がこの録音にもしっかり記録されているようで面白いです。

・この演奏の映像が残っていたらぜひ見てみたいですねえ。指揮者やオーケストラがどんな顔で演奏していたのか、演奏が終わった後、指揮者とピアニストは握手をしたのか・・・興味津々です。そういえばこのおじさん、チャイコフスキーでもこんな感じだったような・・・。

・チェルカスキーは最晩年にデッカにこの曲を再録音しているようなので、それがどんな演奏になっているか聴いてみたいものです(現在は廃盤のようです)。顔からして「いたずらっ子」がそのまま大人になったような感じがしますよね。とっても愉快な演奏で聴きながら何度もニンマリとしてしまいました。
コメント
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