前の職場でお世話になった方が亡くなられたという報に接した。
もうすでにご家族だけで葬儀一式をすまされたということだった。かなりの高齢の方ではあったが元軍人だけあって毅然とした心身をお持ちの方で、お元気にされているものとおもっていた。
前の職場で仕事をしていた時に、もう息子さんに仕事を譲られ昼間に時間があって、ちょっとした用事のついでに僕の仕事場に顔を出されていた。
話の中身はいつも、健康を兼ねて鍛錬されていた武術の話と戦時中の第一線での話だった。
南方戦線での戦いは勝ち負けでなく、いかに継続するかの戦いだったようだ。
一定の数の隊員をまとめて活動されているようだったので、伍長の階級だったと思う。
もちろん、アメリカ軍との接触の話も沢山聞いたが、それよりも一番印象に残っているのは・・・
食糧も銃弾の補給、補充もなく・・・鬼畜米兵とか敵兵が憎いとか国家のためとか、もうすでに淘汰されて、いかに生き延びるかが日々の課題だったという話だった。
まず病気にかからない。そして敵兵に見つからないように、生き物を捕獲し料理する。それはもう戦争映画にあるような壮絶な話ではなかったが、人間の一番の奥底にある生存へのあくなき挑戦の日々であったように感じた。
伍長さんの訃報に接し、橋下市長の暴言に端を発した従軍慰安婦問題などのやりとりが・・・
日本国のために最前線で戦ってきた先輩に対しても、ツバをはいているように思えてきた。