民平的幸せ体感記3【40代編】

かつて世界一周一人旅をした「みんぺ~」のユルくてどうでもいいブログ。ちょっとハッピーな気持ちになれるとかなれないとか。

不登校

2019年04月09日 | 児童養護施設の仕事
対人関係が苦手で色々が不器用な中学生Kくん。

新年度になり、一度も登校出来ていない。

制服にすら着替えず、朝食にも来ない日々。

たまに朝食に来てもパジャマのまま、そしてまた布団の中へ。

色々が不安で不安で堪らない。

学校に行きたい気持ちはある。

でも行けない。

行かなきゃいけないとも思ってる。

でも行けない。

何日かそれを繰り返した。

お腹が痛い、頭が痛い。

色んな理由を口にするKくん。

そうかそうか、と耳を傾けるボク。

学校に行くコトを無理強いしたりはしない。

昨夜、Kくんは、五分に一回くらい検温を求めてきた。

その都度、検温してあげた。

熱なんてないのは分かっていたけれど。

体調を心配して、アイス枕を渡してあげた。

ありがとう。

Kくんは安心した顔で布団に。

ボクは彼の布団の横に寝そべって、少しおしゃべりに付き合ってから退室した。

おやすみ。

今朝…

いつも通り、声をかけてKくんを起こした。

おはよー朝だよー

プレッシャーにならないように絶妙なタイミングと声のトーンで。

そして朝は必ずカーテンを開ける。

日光を浴びるって大切だから。

でも反応がなかったので、ボクは部屋を後にした。

まぁ今日もダメだろうなー。

そう思ってた。

そしたら数十分後…

Kくんは、制服に着替えて食堂に現れた。

ボクは「おはよー」と声をかけ、特別驚かず自然に接した。

内心、予想外の行動に驚いていたけれど。

朝食後、Kくんは登校していった。

朝から行けたのなんて半年ぶりとかそんな感じだと思う。

いってらっしゃい

ボクは普通に見送った。

でも、すぐ担任に電話し、登校してきたKくんを思いっきり褒めてあげて欲しいと頼んだ。

何がKくんの背中を押したのかは分からない。
誰かが決めたり、誰かに言われて動くのではなく、自分で考えて、自分で決めて、自分から動く。

大人の都合で無理やり動かしても、結局は子どもの力にはならない。

そんな経験を嫌と言うほど積んできた。

ボクたちに出来るコトは多くない。

見守るコト、人生の先輩としてアドバイスするコト、本人の決断をそっと後押しするコト、道を踏み外しそうな時に壁になるコト、共感して喜ぶコト、そして一緒に悩み、苦しむコト。

正直、上手くいかないコトばかりだ。

でも、時々、上手くいくコトもある。

とにかく気持ちの良い朝だった。

青空の下、登校していくKくんの後ろ姿に、ボクは元気を貰えた。

こういうコトが予想外に起きるから、ボクはこの仕事を続けている。

児童養護施設職員…難しいし大変だけど、やっぱりやりがいのある仕事である。