診療所だより

開業医gobokuの日記

こんなこと考えながら、
こんな生活しています。

季節の変わり目

2020年08月24日 | 日常
8月も終わりに近づいてきて、季節の変わり目の気配が感じられる今日この頃です。
でも、まだまだ暑い日は続き、熱中症にも要注意です。

この季節の変わり目と言うやつは、人の身体に影響を与えるようで、
何となく風邪気味になったり、
食欲がなくなったり、
だるくなったり、
様々な不具合を引き起こすのですが、
人間だけでなく、機械も季節の変わり目に、調子を悪くなる。
そんなことを考えてしまう先週でした。

先週初めにエアコンが冷えなくなり、ダウン。
週の半ばに車のドライブレコーダーがピーピーとアラームが鳴り放しになり、
土曜日には携帯の電池残量が急になくなるというトラブルが発生しました。
特にエアコンは出てきた修理の見積もりを見てびっくり。
80万円以上の金額で、
見たとたん 季節の変わり目だか、熱中症だかわかりませんが、
こちらの頭がくらくらして、眩暈がしちゃいました。






キンチョールまるまる1本

2020年08月17日 | 診療
暑い暑い日が続いています。
それでも、夜になると秋の虫の音が日ごとに強くなってきています。
季節は間違いなく進んでいます。

ここは田舎の診療所。
周りにはとても大きな家や、古い家もあります。
そしていろんな人が住んでいます。

長くやっていると、どんな人かもだいたいはわかっているつもりです。

近くに住んでいる寺沢さんのおじいさん。
いつも一生懸命に農業を営んでいるご老人です。

その方が診療所にやってきて、
「気分が悪くて吐きそうだ」と話します。
熱中症でしょうか、食あたりでしょうか?
それとも胃の病気?血圧?
いろいろな病気を考えて質問していきますが、
どれも違うようです。
すると、
「昨日 台所にゴキブリ、いっぺえ出たから、
ゴキブリ用のキンチョール、ぜーんぶ使ってから寝たんだ」

どうやら殺虫剤をまるまる1本スプレーして使ってしまったようです。
これを寝ていて吸引したので 気分が悪くなったのかと想像しました。
「寺沢さん、殺虫剤撒いた後、ちゃんと換気しないとゴキブリと一緒に死んじゃうよ」
軽口をたたいてしまいごめんなさい 寺沢さん。

その寺沢さんは今年の春、肺がんでお亡くなりになりました。
二日前初盆に行ったとき、そんなことが思い出されました。




野球少年 その2

2020年08月11日 | 診療
翌日の写真です。

野球少年 その1

2020年08月11日 | 診療
今朝は新聞を取りにいったときには、すでに暑く、
日中の最高気温が心配になりました。

こんなに暑い日は外で運動するのはもっての外でしょう。
ここまで暑くなる前、
数日前のことです。

午後の診察も一区切りついたころ、
野球をやっていて膝をすりむいたという中学生がやってきました。

どれどれを傷を見せてもらうと、真っ黒。
「なにこれ?」細かい土が傷を覆っているようです。
「ユニホーム着てなかったの?」
夏用の薄い生地出できたものなので破けちゃったそうです。

この土をどうやって取ろうかが、問題です。

まず、看護師さんに石鹸で洗ってもらいました。
まったくとれません。
オキシドールでもダメ。

それではと、
以前 自転車で転んで膝をすりむいた中学生の時にやった方法。
一つ一つ砂を取っていくやり方を試したところ、
砂が細かくて細かくて、思うように取れません。
15分やってわずかな範囲。
これじゃダメだ。

最終的には、痛いけど我慢してもらう。
野球少年我慢してね。御免。
手洗い用のブラシでのブラッシングをしました。

これできれいになりました。
よく我慢した。よくがんばった。
有り難う。

野球少年 その2  に翌日の写真だけアップします


イヤになっちゃうなぁ

2020年08月04日 | 診療
長かった梅雨もようやく明け、
暑い夏がやってきました。

急に暑くなると身体がついていかず、
やたらとかったるくなります。

患者さんとの会話もこの話題から入る今日この頃です。
「やっと梅雨が明けましたねぇ、宇梶さん」
「もう暑くて暑くてイヤになっちゃうわ」
つい先日まで「早く梅雨が明けないかしら、雨ばかりでイヤになっちゃう」
と云っていた宇梶さん。
雨が降っても、暑くなっても イヤになっちゃうようです。
ところで、イヤになっちゃうはどうやら宇梶さんの口癖のようで、
洗濯するのもイヤになっちゃうし、ご飯つくるのも、
草刈りするのも、農家の仕事も、なんでもみんなイヤになっちゃうようです。
そして、この「イヤになっちゃう」という言葉を独特の節回しで言うものだから、
僕も看護師さんも妙に耳に残っていて、一度聞くと、忘れないみたいです。

でも僕は、この「イヤになっちゃう」を「大変だ」あるいは「一人じゃつらいわ」と
置き換えて聞いています。
ご主人を10年以上前に見送った後、たった一人で家を守って田植えから稲刈り、
自治会の仕事や町の役員までこなしてきたのですから。

でもなぁ、イヤになっちゃうと言われても、こっちもなんて云ったらいいかわからなくて、
コマッちゃうな~






紙おむつ

2020年07月27日 | 診療
今年の梅雨はよく雨が降る梅雨です。

築25年のこの診療所も、寄る年波には勝てず、
これだけ降られると、泣きが入ります。

ちょうど建物の角に雨漏りがするところがあります。
それがダンダンひどくなり、工事を頼んでいるのですが、
工事予定日に雨が降り、延期延期の繰り返しです。

仕方なく、何枚もの雑巾を敷いてしのいでいるのですが、
大雨が降ると、一面水浸しで大変なことになります。

毎年、学生さんに話をしに行っている准看学校は
これまた古い建物で、雨漏りの大先輩です。
そこの先生曰く、
「センセ、雨漏りには、紙おむつがいいんですよ。
今はいいおむつが出来ていて、雑巾より吸収力があるから、
センセも試してくださいよ」
道理で教室で授業をしているとき、
学生さんの机の横にあちこちおむつが置いてあって気になっていたのですが、
そういう訳かと納得出来ました。

そこで診療所のスタッフにその話をすると、
早速診療所にあるおむつを使ってみて、
「センセ、これいいです。バッチリです。すごい吸収力」

毎日降る雨に、おむつも大活躍。
あっと言う間に残りわずかになり、
買い出し係は僕なので、
当然僕が買い出しに行くことになりました。

そこで商品名をメモすると
「男性用尿漏れパッド、大判サイズ」  ええっ。

この商品を持ってドラッグストアのレジを通るとき、
つい「これ雨漏りに使うんですから」と
云いそうになってしまったのは僕だけでしょうか。


人に歴史あり です

2020年07月20日 | 診療
 「一通の手紙」の後、2日ぐらいして、やはり患者さんから
同じような手紙が届きました。
今度の患者さんは名前をみると、顔を思い出せる方なので、
何が書いてあるか開封する前にドキドキすることはなかったのですが。

2通も同じような手紙が来るなんて不思議です。

 高血圧で内服中の柴沢さんは、通い始めて数年の80歳前後の患者さんです。
今でも現役で、お仕事をしています。
塗装業を営んでいて、屋根の上に昇ったりしているそうです。
先日のこと、
高い屋根に登るので、僕が 気を付けてくださいよ、高いところから落ちないように、
というと、
「なーに、この辺の高いところなんて、たいしたことねぇよ」
「おらぁ、わかいこときにゃ、東京タワーに登ったんだから。東京タワーで仕事してんだでぇ」
えぇ-、あの東京タワーを作っていたんですか?
「ほーだ、いちばん先のとこは行かなかったんだが、だいたい300mぐらいのとこまでは登ったんだから」
そりゃすごいわ、もちろん命綱つけていたんでしょ?
「その頃は、そんなもんはつけてなかったなぁ」
と遠くを見るような目をして話してくれました。

申し訳ないけれど今の柴沢さんからは想像出来ないし、
こんな田舎にそんな人がいるなんて、

人に歴史あり です、本当に。

1通の手紙

2020年07月13日 | 診療
梅雨空が続いています。
州地方は水害がひどくて、テレビの映像を見ているだけで、
胸が苦しくなります。

医療系では 雨が降っている日は、一般に患者さんは減ります。
今年は新型コロナの外出自粛で、さらに減っています。
うちの診療所も例外ではなく 患者さんは少なくなってきています。

ある医院では、「患者さんが減っているから」というだけで、
スタッフが正社員からパートにされたという話を聞きました。

うちはそういうことはやりませんが、
でも、経営ははっきり言うと苦しいです。

そんななか、1通の手紙が診療所の院長宛に届きました。

普通の手紙ですが、女手の手紙。

すわ、何か間違いはなかったか、失礼はなかったかと頭をめぐらせ、
クレームが来るようなことはなかったか、
それとも就職の依頼か?などと不安をかきたてられましたが、
読んでみると、

医療機関への感謝と励ましの内容。
ブルーインパルスや窓から拍手といった類いでしょうか。
うちは新型コロナにも関与していませんし、普通の田舎の診療所ですから、
褒められても、「褒められるようなこと していないです。」と
斜に構えてしまいます。

でも、
実はうれしいもんです。
自分がやってきたことを認められたみたいで。
いや~ン あんまり褒めないでと照れてしまいます。

まぁこれからも頑張ろうと大いに励みになりました。










褒めてないって

2020年07月06日 | 診療
数ヶ月前のお話です。

診察室での会話。
何事もざっくばらんな三島さんが、診察が終わった後、
僕の後ろにいる看護師さんに、
「看護師さんは若いね~。俺なんかより全然若いでしょ。いくつなの?」と
椅子に座っている僕の頭越しに話を振っていました。
看護師さんは
「いやいや、もう若くないですよ。」と少し困った様子です。 
たぶん三島さんは、看護師さんを喜ばせようとしてそんな言葉を言ったのだと思います。
はっきり答えない看護師さんにしびれを切らしたのか三島さん。
「ねえ、いくつなの? 僕より三つか四つは絶対若いと思ってるンだけど。」
その言葉に僕はびっくり。
後ろにいる看護師さんの気配がさっと変わったのがわかりました。
「わたし、三島さんより10年以上下なんです。」

三島さん 褒めたことにならないって。










新型コロナウィルスのせい

2020年06月30日 | 診療
新型コロナウィルスによる自粛生活が解除になってから、
2週間。
人々の生活も少しずつ元に戻りつつあるようです。

もともとそんなに多くないうちの診療所の外来は、自粛期間が終わっても
増えるということはありません。
そんななか、高血圧で通院している宇垣さんのお母さんがやってきました。
診察終わって、仕事にコロナの影響はあるの?忙しかったんじゃないの?と聞いてみました。
宇垣さんのお母さんのお仕事はモーテルのお掃除だと承知していたものですから。
すると、
「センセ、暇ですよ。」
えっ、長い休みだったしいそがしかったんじゃ?
「センセ、自粛で旦那が家にいるんじゃ、外に出られないじゃないですか。暇でしたよ。」
あ、そういうことですか。