世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

ロシア、人権活動家連続暗殺事件 Who is next?

2009-07-17 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2009年7月17日(金)

チェチェンの著名な人権活動家であるナタリア・エステミロバ氏(Natalia Estemirova)が、7月15日にチェチェンの首都Groznyの家から、誘拐され、射殺死体となって、隣接する共和国内のイングーシで発見された。

同氏は、ロシアの人権団体「メモリアル」に所属、チェチェン共和国政府やロシア軍による住民への人権侵害を、長年にわたり証拠を集め克明に調査していた。

ロシアでは、同じくチェチェンの人権侵害とロシア軍の残虐行為について調査と抗議行動を続けてきた、著名ジャーナリストのPolitkovskaya氏が、2006年10月7日に暗殺されたことに始まり, 今年に入っての弁護士のMarkelov氏の暗殺に続いて、今回人権活動家の彼女がその犠牲になったことで、ロシアという国には「法の正義」はまだ確立していないこと、「暴力の支配」する恐怖政治が今なお行われていることを、改めて全世界に印象つけることとなった。

Groznyで行われた、彼女の葬儀に参加した人々の列は、200メートルにもなったが、警官隊が、強制的に解散させてしまったのである。葬儀に参加した人が、持っていたプラカードには “Who Is next?”(次に誰を殺すつもりなのか?)と書かれていた。

この言葉こそが、雄弁にもロシアの圧制と無法状態の現状を語っている。これら一連のチェチェン問題にかかわる暗殺には、プーチン首相の忠実なる「下僕」であるチェチェンのRamzan Kadyrov大統領が直接関与していることは、同大統領が、人権団体メンバーへの直接脅迫行為を行っていることからも明らかであるとと人権団体側は強く非難している。

ロシアのメドベージェフ大統領は、今週この時期に、たまたまミュンヘンを訪問中で、メルケル首相との会談を行った後の記者会見で、Ramzan Kadyrov大統領の関与には否定的な意見を述べた後に:

「直ちに殺人犯の捜査に着手する。エステミロバさんは、大変有益な仕事をしてきた。彼女は、真実を語り、ロシアの現状について率直な、時には厳しい意見を述べてきた。その活動こそが、時の権力が不快感を持ったり、不都合に感じたりするが、人権活動家の存在価値なのである」( “That is why human rights activists are valuable, even if those in authority find them inconvenient and unpleasant.”)

このメドベージェフ大統領の反応は、2006年にPolitkovskaya氏が暗殺されたときの、プーチン大統領(当時)が、彼女の暗殺事件をしばらく黙殺した後にだした、彼女に対するすげないコメント(dismissive comments)とは大違いである。

ロシアは変われるか?


最新の画像もっと見る