2010年7月14日(水)
Financial Timesは、米国商工会議所会頭のTom Donahue氏とのインタビュー記事を掲載し、ビジネス界とオバマ政権の間にある対立の構図を鮮明に描き出している。その記事の見出しは、「オバマ、企業政策で非難ごうごう」(Obama berated on business)となっている。
米国商工会議所は最大のビジネス界を代表するロビー団体で、今夏にオバマ大統領の失政を追及する「雇用拡大サミット」(a jobs summit)を計画している。それに向けてオバマ政権に対する批判のトーンを上げているが、特に「オバマ大統領が、あまりにも労働組合寄り」(pro-union)で、「規制導入にばかり熱心すぎて、その結果企業はあえいでいる」という点に攻撃の的を絞っている。
Donohue氏は語る。「大統領選挙で、労働組合がオバマ大統領に献金した額は、およそ450億円。これで労組のための政策に熱心な理由がわかる」と手厳しい。これに対して商工会議所側は、今秋の中間選挙で共和党を強く支持することを表明していて、約50億円の献金を行うことを決めている。
民主党は、今週「金融再規制法(the financial re-regulation bill)」の議会通過のために全力を挙げているところだ。これを「企業の活力を削ぎ、投資活動を鈍らせるもの」と同会頭は批判している。
さらにまた、共和党や米国商工会議所が強く反対している環境関連法案には、温暖化ガス削減のための排出権枠を各産業・企業に割り当て、もしその枠を企業が守れなければ排出権を外部購入させるといういわゆる、「キャップ・アンド・トレード」(cap and trade)が含まれている。
一方、産業界を代表する巨大企業GEのトップ、Jeff Immelt会長は、今月初め、イタリアでの民間経済人との夕食会でオバマ大統領を批判したことは既報のとおりである。
「やっと回復し始めたばかりの米国景気に水を差すのが、金融危機後の経済立て直しと称して大統領が取っている『過剰規制』(over-regulation)政策である」と批判したうえで、
「米国経済界は大統領を好きでないし、大統領は経済界のことを好きではない。大統領と、こうも馬が合わなければ(not in sync)どうしようもない」とまで言った。
もっとも、この発言の引き起こした波紋の大きさに驚いたImmelt会長は、今週火曜日に、Financial Timesのインタビューに応じて、「景気は回復している。成長路線は、政府と産業界で整合性がなければならない。成長も雇用拡大もオバマ大統領と産業界にとって等しく重要だ」と、前言を実質的に撤回した。
財界・共和党の連携と、労組・民主党の連携は、米国政治のもっとも基本的な構造であることに変わりはない。オバマ大統領が就任以来、倒産した大型企業の救済を行い、景気刺激のために大型の財政支出を断行したおかげで、産業界も恩恵をこうむったはずなのに、財界は、「大統領を責め」、「共和党支持」を外せないし外さない。
Financial Timesは、米国商工会議所会頭のTom Donahue氏とのインタビュー記事を掲載し、ビジネス界とオバマ政権の間にある対立の構図を鮮明に描き出している。その記事の見出しは、「オバマ、企業政策で非難ごうごう」(Obama berated on business)となっている。
米国商工会議所は最大のビジネス界を代表するロビー団体で、今夏にオバマ大統領の失政を追及する「雇用拡大サミット」(a jobs summit)を計画している。それに向けてオバマ政権に対する批判のトーンを上げているが、特に「オバマ大統領が、あまりにも労働組合寄り」(pro-union)で、「規制導入にばかり熱心すぎて、その結果企業はあえいでいる」という点に攻撃の的を絞っている。
Donohue氏は語る。「大統領選挙で、労働組合がオバマ大統領に献金した額は、およそ450億円。これで労組のための政策に熱心な理由がわかる」と手厳しい。これに対して商工会議所側は、今秋の中間選挙で共和党を強く支持することを表明していて、約50億円の献金を行うことを決めている。
民主党は、今週「金融再規制法(the financial re-regulation bill)」の議会通過のために全力を挙げているところだ。これを「企業の活力を削ぎ、投資活動を鈍らせるもの」と同会頭は批判している。
さらにまた、共和党や米国商工会議所が強く反対している環境関連法案には、温暖化ガス削減のための排出権枠を各産業・企業に割り当て、もしその枠を企業が守れなければ排出権を外部購入させるといういわゆる、「キャップ・アンド・トレード」(cap and trade)が含まれている。
一方、産業界を代表する巨大企業GEのトップ、Jeff Immelt会長は、今月初め、イタリアでの民間経済人との夕食会でオバマ大統領を批判したことは既報のとおりである。
「やっと回復し始めたばかりの米国景気に水を差すのが、金融危機後の経済立て直しと称して大統領が取っている『過剰規制』(over-regulation)政策である」と批判したうえで、
「米国経済界は大統領を好きでないし、大統領は経済界のことを好きではない。大統領と、こうも馬が合わなければ(not in sync)どうしようもない」とまで言った。
もっとも、この発言の引き起こした波紋の大きさに驚いたImmelt会長は、今週火曜日に、Financial Timesのインタビューに応じて、「景気は回復している。成長路線は、政府と産業界で整合性がなければならない。成長も雇用拡大もオバマ大統領と産業界にとって等しく重要だ」と、前言を実質的に撤回した。
財界・共和党の連携と、労組・民主党の連携は、米国政治のもっとも基本的な構造であることに変わりはない。オバマ大統領が就任以来、倒産した大型企業の救済を行い、景気刺激のために大型の財政支出を断行したおかげで、産業界も恩恵をこうむったはずなのに、財界は、「大統領を責め」、「共和党支持」を外せないし外さない。