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米国、金利引き上げで「出口戦略」着手 A shot across the bow

2010-02-20 | グローバル経済
2010年2月20日(土)

世界中が注目してきた米国政府の金融政策の変更に関して大きな動きが今週起こった。

米国の中央銀行の機能を持つ連邦準備制度(Federal Reserve Board)が、公定歩合を0.25%引き上げたのである。このFRBの金利引き上げを報じるBBC放送は、「不意をつくFRBの動き」(surprise Federal Reserve move)と表現している。

この動きを受けて通貨間の金利差に連動する外為市場では、ドルはいっせいに各通貨に対して上昇。一方、金利上昇による景気後退の心配や、ドル金利の更なる上昇による資金の米国への還流懸念を材料にアジア各国の株式市場は大きく下げた。

しかし欧米では、金曜日に発表になった米国の消費者物価指数が小幅上昇にとどまったことから、インフレによる金利上昇圧力が弱まったと見て、後半に戻し小幅上昇で引けた。

FRBは、今回金融政策の中心をなすFFレートに手をつけなかったことを根拠に、大きな政策変更ではないことを強調している。

しかし、市場関係者は単純にはその言葉を額面どおりには取っていない。東京三菱銀行のチーフエコノミストのコメントをBBCが紹介している。「FRBは躍起になって公定歩合の引き上げをテクニカルなものといって回っているが、市場は、警告のための威嚇射撃(a shot across the bow)だと受け止めている」というのがもっとも実態を表している。

FRBのプレスリリースがそのHPに掲載されている。注意深く書かれているが、米国は緊急経済対策、金融対策の「出口戦略」にとりかかったようだ。その重要な冒頭部分は次の通りとなっている:

『木曜日に連邦準備制度(FRB)は全会一致で、「金融市場の状況が改善が持続的に推移(continued improvement in financial market conditions)していることに鑑み, 公定歩合を上げることを決定した。

これは、最近の一連の緊急信用供与プログラムを終結と同様にFRBの貸し出し制度の正常化の一端(a further normalization)である。企業や家計に対する金融引締めでもないし、景気対策や金融政策を変更しようとする意図を発信するものでもない。

これは1月の公開市場委員会(FOMC)は、フェデラルファンド(FF)を0-0.25%に据え置いたのであるが、景気の現況からすればFFレートを相当長期(an extended period)にわたって極端に低いレベル(exceptionally low levels)に維持することは合理的であると考えたからである。』





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