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オバマ大統領、アフガン撤退の決意は如何? A Powerful Quartet

2011-06-22 | 米国・EU動向
2011-06-22

オバマ大統領は、選挙戦突入を前に、今週現地水曜日アフガンからの兵員引き上げを公に発表する予定であると、 Financial Timesが伝えている。大統領は、水曜日にその決意会見を行ったあとに、NYの基地に赴き、イラク・アフガン派遣部隊を慰問する予定となっている。

現在、オバマ政権第一年目に増派された3万人を含めて10万人の兵力を展開しているが、撤兵規模については、ホワイトハウスは厳しいかん口令を敷いており、大規模撤兵に反対している軍部と調整が済んでいないことをうかがわせている。

軍部は、あくまで10万の兵力からの多少の削減(pressure from the military to unveil only a modest drawdown of the 100,000 US troops)にとどめるべしと主張している。

政権内部でも、撤兵に反対している強力な4人組( A powerful quartet)と称されているのはゲーツ国防長官、クリントン国務長官、マレン統合参謀会議議長、ペトレアス・アフガン方面軍司令官であり、強く現有勢力の維持を主張している。

しかし、オバマの政治基盤の民主党内部のみならず、共和党の強硬派の一角にも厭戦気分が充満し始めている。数千億円の戦費を浪費しながら、さしたる成果を米国にもたらしていないことにいら立っているのだ。その急先鋒はバイデン副大統領である。上述の3万人増派(the 30,000-strong surge)の際のオバマ大統領の公約によると、撤兵は7月から始めなければならないという事情も背景となっている。

オバマ大統領は、大統領選をにらみ公約通りの撤兵開始をメンツにかけても行わねばならない。しかし現実はタリバン勢力の衰える兆しはない。軍部の絶対反対の主張に抗してとりうる道は、形だけの撤兵、すなわち数千人規模の撤兵にとどまるのではと、FTは読んでいる。

一方、カルザイ大統領は、米国ともども穏健派タリバン勢力と、和平交渉を秘密裏に始めたことを公表した。いまだ不安定なイラク、方向感の出ないアフガン、アラブ社会全体の動揺による北アフリカ、サウジ半島の騒擾に、アラブ世界に多方面展開する米国にとって出口なしの状況に陥りつつある。

一方、国内経済の不振と失業率増加は、オバマの選挙戦の命取りとなりかねない。撤兵を急ぎ内にこもってモンロー主義に走るか、国内打開のために一挙に攻勢に転じて戦時景気刺激の賭けに出るか、オバマの決断は明日わかる。



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