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アイスランドで凍りついて Frozen in Iceland

2008-10-10 | グローバル経済
2008-10 No.010

今、バイキングの国アイスランドの金融危機が、欧州特に英国とオランダにショック・ウェーブを及ぼすという未曾有のサイド・ショーが展開しています。アイスランドでは15%以上の高金利政策が取られてきたことから、キャリー取引で莫大な預金がアイスランドの銀行の欧州支店の口座に流入し、しかもその残高は9月に入って急増していました。

アイスランド政府が外国人の預金は保護しないと発表したため欧州ではパニック状態に陥り、英国政府が介入しアイスランド銀行の英国子会社を英国政府の管理下におくという強硬措置(placed in administration)に出たのです。しかもその接収の法的根拠を「テロ対策法」に求めたのです。この結果アイスランド側の親銀行も破産とみなされる事態になり、両国政府間の関係は現在極度の緊張状態となっていると報道されています。

アイスランド政府は事態打開のため上位3行を国営化することにより沈静化を図った一方で、IMFとも救済策を求めて協議に入っています。このように欧州から「冷たい」仕打ちを受けたアイスランドに40億ユーロ(約5600億円)の特別融資を申し出た国があります。ロシアからです。アイスランドは東西冷戦時代は、対ソ連の防衛網の一翼を荷っていたのですが、基地が2年前に撤去されてからはいわば戦略上の「空家」となってきたところに、このロシアの秋波が送られてきたというわけです。

一方英国政府は国内の預金者保護のために、個人については全額保証をすることきめました。しかし大口の預金者であるある金融機関や歳入を預金していた地方自治体や警察などに対しては一様に保護が適用されるか否かは予断を許さぬ状況です。FTの本日の論説は、これらの大口預金者はリスクを予見できる能力があったのに泣き言をいっているのは笑止であると叱咤しています。しかしながら、保護対象の線引きはただちに明確にするべきであると主張しています。なぜなら、これからも「外国政府が外国人預金を保護しない」という事態は起こりうるからであるといっています。


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